表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/32

お姫様抱っこで彼と駆け落ち〜元カノと住んでた部屋で新生活〜

そんな大混乱の私を尻目に、薫様は私を抱えて車へと運ぶ。車、といっても勿論自動車ではなく、牛車のことだけれど。ひょいと車に移され、あっという間に私たちは出発する。こんなんでいいのか、引っ越し!

いや、でもやっぱりこういうのってなんだかドキドキするかも……。なんだか逃避行めいているというか。駆け落ちみたいっていうか。物語の醍醐味っていうか。


「中の君に挨拶するのが礼儀かもしれないが……まあ後でいいだろう。僕たちがこういう関係になったと知れるのもなんだか気恥ずかしいしね。」

頬を赤らめる薫様。横顔がなんだか可愛らしく映る。イタズラを隠そうとする子どもみたいだ。確かに、ずっと仲良くしてきた女友達の妹といきなりこんなことになったなんて、ちょっと言いにくいのかもしれない。


私は、気になって気になって仕方がなくなって、尋ねる。そう、愛の巣の場所だ。

「か、薫様……私たち、いったいこれからどこへ行くのですか……?」

「宇治だよ!」

にっこり、という効果音が聞こえてきそうなばかりの満面の笑み。

「宇治。」

私の心の温度が、スッと下がる。

宇治って。心機一転新生活!どころか、薫様と大君の、思い出の場所……。

「そう!宇治!ちと山奥だがいいところだよ。邸も綺麗に設えてあるから心配することはない。」

昔の女が住んでいた場所に、私は据え置かれるってか。それってもう、完全に私は大君の代わりでしかないんじゃん。大君から、離れる気なんて、この人には本当に本気でサラサラないのだ。

わかっていたはずなのに、一瞬でも華やいでときめいてしまっていた自分が憎らしい。

そして、私のそんな心情を一ミリも察することなくニコニコしながら私を宇治へと連行するこの男もまた、憎らしい。


意気込んではいたものの、私に、この人の心をこちらへ向けさせることなんて、できるのかなぁ。


ああ、前途多難。


うじうじ悩む私を乗せて、牛車は一路宇治へと向かうのであった……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ