イケメン二人に言い寄られても、どちらか一人をちゃんと選ぶ自信があなたにはありますか?
……って、そう思うと浮舟って本当に波乱の人生よね。そういう、平安の超有名貴族二人と恋をして、板挟みにあうんだもの。どっちの殿方がいいかしら……選びきれないわ……って。
そうか、そりゃ悩むよなぁ。岡田准一と松本潤に同時に口説かれたら、困っちゃうよ。きっとそういう感じなんだろう。
ここにきて、少し浮舟に同情。でも、私はちゃんと断るぞ。どちらかのルートに絞って、一人の相手を攻略してみせる!
「いやー、目の保養、目の保養!それじゃ、母は常陸へ帰ります。中の君にくれぐれもご迷惑をかけないように。」
「え、母上帰っちゃうの?」
いそいそと帰り支度を始めた母上。
「ええ。いつまでも常陸を留守にはできません。中の君がいれば大丈夫でしょう。明日の朝には発ちます。」
そんなぁ。中の君は優しくしてくれるけれど、そんな頻繁に会えるわけでもなく。このお邸で一番心強い仲間は、やはり母上だった。寂しさが募る。
「そんな顔しないの。また様子を見に来るわよ。」
母上に髪を撫でられて、不覚にも気持ちが安らぐ。私の「本当のお母さん」ではないのに。不思議なものだ。
母上が帰り、さっそく寂しくなった私は中の君にアポをとってみたけど、駄目だった。
今日が例の「髪の毛洗うイベント」の日だったらしい。あれには時間かかるから、私が構ってもらえる時間はどうせないだろう。ちぇ。
することもないので、ぼーっと庭の景色を眺めてみる。庭になんてこれっぽっちも詳しくないけれど、常陸の庭とは全然違うのがすぐわかった。並んだ石一つ、植木一つとっても、どれも皆綺麗に揃えられていて、キラキラ輝いて見えた。
同じ庭といっても、こうも変わるものなのね……。
平安の趣味なんてさっぱり私には理解できないけれど、ほんの少し見えてきたものはある。季節とか、景色とか、そういうものに対してものすごく敏感だということだ。
現代ではなくなってしまったり、すぐそばにあるのに見過ごしていたりするものにも、丁寧に美点を見つけ出している。私は暇だ暇だと毎日過ごしているけれどーーいや、平安の人たちだってきっと暇なのだ、暇だからこそ、色んなものを具に見て、感じて、表現して生きているのだ。




