私だって福山雅治と結婚したい!!!!!
「もぉ~!ほんとに素敵な殿方ねぇ!薫様というのは!」
はっちゃけながら報告してくるのは、私のーー正確には「浮舟」のーー実の母上である。どうやら、薫様が二条院にやって来ていたところを偶然(本当に偶然かどうかはさておき)垣間見していたらしい。
「……そうかしら?」
私がシレッと答えてみると、母上はエキサイトした様子でまくしたてる。
「なに言ってるのっ!いっくら貴女が器量よしだからって、出自はどうにもならないのよ?!本当だったら、お会いすることすらかなわないようなお相手よ?!それなのに薫様は貴女のことをたいそう気に入って、お嫁にしたい、なんて話をくれて……!」
私が「のんびりお庭の花を愛でる遊び」をしているあいだに、あっという間に話は進んでいた。
人のいないところで、薫様は中の君様に縁談を持ちかけていたらしい。
でも、母上。それは、私のことが好きだからじゃないのよ。私にそっくりな異母姉、大君さんのことが好きなだけなのよ。
わかっていても、思っていても、流石に言えない。私が大君の容姿のことを知っている訳がないのだから、信じてもらえる訳がない。また「物の怪!」と騒がれても、困る。
この時代の人たちときたら、よくわからないものは全部「物の怪!」とするのだから、厄介だ。「モノノケのせいなのぴょん!」とダンスを踊る現代と、日本人は本質的に何にも変わりはしないのかも。
そんな風に千年にも引き続くニンゲンの愚かさに思いを馳せている間にも、母上のエキサイティング薫語りは終わってはいなかった。
「……とにかく、意中の相手である貴女が目の前にいても取り乱すことなく毅然としていられる上品さに、私は惚れたのです……。貴族の男とは、そうでなくてはなりませんねっ!ああ、やはりお婿さんには、薫様こそ適任ではないかと私は思います……是非婿に来てほしい……!少将なんて相手にならないわっ!」
最早誰の結婚相手を探しているのかわかったもんじゃない。……いや、母上から見たら薫様は「婿」に当たる訳だから、関係性は合っているんだけれど!母上が先にメロメロだ。
というか、左近少将や常陸介に比べたら、京都の名のある貴族のほうがなににつけても優れていることは明白だ。ましてや超有名貴族の薫様や匂宮様が上位にあたるのは当たり前のことだよね。
極端な話、「近所のお兄ちゃんよりも福山雅治のほうがかっこいいわね!福山雅治と結婚しましょうよ!」みたいなことなわけで、そんなの婿候補として比較するほうがどうかしているのだ。私だって、福山雅治や向井理や菅田将暉と結婚したい。
あーあ。お母さん、菅田将暉の新しいドラマ録画しておいてくれてるかなぁ。




