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性的に奔放でデレがデレデレで超絶イケメンで金も地位も名誉もあるヤリチンは好きですか?

時は数ヶ月前に遡る。


「二条院に来てもらうのは、吝かではないのですが……。」


私たちが事前に中の君に二条院行きを相談したときの、中の君最大の懸念事項は――


「宮様は、色好みなのです。なので、年頃の娘がいるとなると……。」


「いろごのみ?」


「色を好む……つまり、そうですね。性的に奔放でいらっしゃいます。」

「性的に奔放。」

「おじい様である光源氏に憧れておられて……その……女の人が大好きなのです。」


どうやら、匂宮は、いわゆる「ヤリチン」らしかった。


確かに、ヤリチンのいる邸に私がいるというのは妻としては気が気でないだろうし、私としても「新編 源氏物語」がバッドエンドに終わるのはどうしても避けたい。


「そういう訳で、あくまでも内々で、お部屋も一応端にしつらえさせたいと思います。ごめんなさいね、ご面倒をおかけして。とはいえ、宮様には正妻の六の君様もいらっしゃいます。そんなに頻繁に二条院へおられるということもないでしょうから……。」




・・・・・




そんな話だったのに、結構長くいる。親子でいちゃいちゃしている。でも考えてみればそうだよね……いくら中の君が正妻じゃなかったとしても、子どもがいれば顔見に来たいよね。そういう気持ちは、ヤリチンであっても変わらないのだな。うんうん。


しかし、「姿を見れば病も治る」と言われていた光源氏に憧れて女性を食べ歩いている男とは、一体どんな奴なのか。ちょっとだけ、覗いて見ちゃおっと。「垣間見」を初体験。


 中の君の隣りに座っている男は、なるほど、イケメン。薫様が「生徒会の書記」――きれい目男子だったのに対し、匂宮様は、なんかもう、イケメン。言動はなんだかヤンキーを思わせるワガママさも見えるけれど、そこには粗さ、下品さはない。「宮様」たる気品というか、「金持ちが醸し出す余裕」みたいなものが全面からにじみ出ている。そういう男が、「ちゅっちゅ~!」とか言っているわけで……。


喩えるなら、学ランのボタン全開け・ポケットに手を突っ込みして風紀委員に毎回注意されるけど、生徒会が困っていると助けてくれる。猫が捨てられていたらつい連れて帰っちゃう。そんな、実は御曹司。的な。


って、喩えが喩えに全然ならない!!!なめてんのか!!!!……ってくらい、設定てんこもりもうお腹いっぱいみたいな見た目と言動に加えて、さらに彼は女好きのヤリチンだというのだから、どういうことやねん!!!!スーパーマンか!!!!!


でもきっと源氏のほうがすごかったんだろうな。私は匂宮様で胃もたれだけれども。


「ほんっっっっっとに、きれいねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「わっ。いたのか、母上。」

私の隣りで突然嘆息を漏らし出したのは、母上だった。匂宮様に見惚れ過ぎて、存在感が吸い取られていたらしい。


「そう……まるで、手折ってきたばかりの桜の花のようにきよらで……あの美しさをお目にかかれるならば、たとえ七夕の彦星と織姫のように引き裂かれてもいいッ!年に一回でもお逢いできればそれで十二分に幸せ……!それほどまでにお美しくていらっしゃる……!」


あ、また始まった。平安喩え話。いつも通り私には訳わかんないけど、多分要するに言いたいことは私と同じだろう。もう面倒くさいから、一言でまとめて「綺麗なヤリチン」くらいにしておこう。実際に本人の前で使ったら死刑じゃ済まなそうだけれど。


「浮舟。もう少将のことなんて忘れましょう!京都には素敵な殿方がたくさんいるのです。あんな男!大したことない!やはり私には、男を見る目がないようです!」


……男を見る目がないのは、知ってた。




「じゃあ中の君、もういい時間だ。」


おっ。「匂宮様」が立ちあがった。帰るのかな?帰れ帰れ。


「俺たちはそろそろ熱い夜をおっ始めようぜ!」


キメ顔。うわっ。おっさんかよ。私たちがいることを知っていることもあってか、中の君は顔を真っ赤にする。

「え、え、いや、でも若様が……。」

「おいお前たち、若君の世話をよろしく。……ほら、いくぞ。」


そう言い残すと、匂宮様は……否、「綺麗なヤリチン」は、中の君を強引に引き連れて寝室へと消えて行った。


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