疑問
「…………」
あいつら……
どうしてるかな……
「……い…」
ちゃんと暮らしていけてるだろうか……
「お…い…」
母さんには……
謝らなきゃ……
「おーい!」
「んあ?」
目が開いた。
すると、目の前に見知らぬ顔が何個もあった。
「うおっ!」
「おおっと、起き上がるのはナシだ」
ピタッと顔の前に指をさされた。アルゴは動けなかった。
「さてさて。……YEEEEAAAAAHHHHHHH!!!」
混乱するアルゴを置いて、周りにいたやつらは歓声を上げた。
「な、何だ?」
頭が全然ついてこない。何で俺はベッドに寝ている? アルゴは記憶の糸をたぐった。
「確か……。俺は森で……。変な女にやられて……?」
「そんで、お前は運ばれてきたんだよ、俺らに」
起きた時に一番正面にあった顔の奴。年は同じくらいだろうか?
「寝たままだぞ。俺の名前はスカージ、宜しく。服はダメになっちまってたから悪いが俺らが勝手に着せた。それと、足の怪我は治しといたぜ」
「あんたの手柄みたいに言うな」
「あ痛っ」
スカージと名乗った男の後ろから、こちらは名乗りもしない女が後頭部にチョップ。なかなかの勢いだ。
「いや、えっと……」
確かに今着ている服はアルゴのものではない。
「と、とりあえずありがとう。あんたらは……」
アルゴは寝たままスカージに聞く。
「ああ、ここに所属してるメンバーだよ。俺も含めてな」
「いや、『ここ』ってどこだ?」
アルゴにとって当然の質問である。自分は森にいたはずなのに、いきなりこんな所にいたのだ。
周りを見回しても、知らない奴らがこっちを見てニコニコしてるだけ。
はっきり言って気持ちが悪い。
「まあまあ、詳しい事は後で所長が話すからよ。それより、あいつは心配じゃないのか?」
「あいつって?」
「ほら、あいつだよ」
スカージが指を差した方向を見る。
そこにはアルゴが森で守った生き物が、小さなベッドに寝かされていた。
アルゴはベッドから飛び起きようとした。
その瞬間、体中に激痛が走る。
「おい、あんまり激しく動くな!」
「そんなことより! あいつ!! お、おい生きてるんだよな!? ちゃんと生きてるよな!?」
スカージがため息をつく。
「当たり前だろ? そんな簡単に死ぬかよ」
それを聞いたアルゴの体から力が抜けていった。
「良かった……。ちゃんと守れたんだ」
安心してまたベッドに倒れこんでしまった。小さい生き物はベッドの上で気持ちよさそうに寝ている。スカージはベッドのそばにあった椅子に座って喋りだした。
「まあ、しかしびっくりしたぜ。いきなりレーダーに反応があってさ。いや、俺は故障だと思ったんだ。新しく、無駄に範囲広いレーダー取り付けて、もう壊れやがった、ってな。けど、所長が『魔弾』だって言うからよ。行ってみたら、お前とその『神魔』が倒れてたってわけよ」
「あ? 『マダン』? 『シンマ』? 何だそれ――」
「おっと、おめーが起きたらすぐに所長のとこに連れてくんだった。ほれ、特別に俺が車椅子押してやる。体中バッキバキだろ。初めて撃つと誰だってそうなる」
スカージは質問などそっちのけで、アルゴを部屋から連れ出した。