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EMMA  作者: 妻川清太
4/7

疑問

「…………」


あいつら……

どうしてるかな……


「……い…」


ちゃんと暮らしていけてるだろうか……


「お…い…」


母さんには……

謝らなきゃ……


「おーい!」


「んあ?」

目が開いた。


すると、目の前に見知らぬ顔が何個もあった。

「うおっ!」

「おおっと、起き上がるのはナシだ」

ピタッと顔の前に指をさされた。アルゴは動けなかった。


「さてさて。……YEEEEAAAAAHHHHHHH!!!」


混乱するアルゴを置いて、周りにいたやつらは歓声を上げた。


「な、何だ?」

頭が全然ついてこない。何で俺はベッドに寝ている? アルゴは記憶の糸をたぐった。


「確か……。俺は森で……。変な女にやられて……?」

「そんで、お前は運ばれてきたんだよ、俺らに」


起きた時に一番正面にあった顔の奴。年は同じくらいだろうか?

「寝たままだぞ。俺の名前はスカージ、宜しく。服はダメになっちまってたから悪いが俺らが勝手に着せた。それと、足の怪我は治しといたぜ」

「あんたの手柄みたいに言うな」

「あ痛っ」

スカージと名乗った男の後ろから、こちらは名乗りもしない女が後頭部にチョップ。なかなかの勢いだ。


「いや、えっと……」

確かに今着ている服はアルゴのものではない。


「と、とりあえずありがとう。あんたらは……」

アルゴは寝たままスカージに聞く。


「ああ、ここに所属してるメンバーだよ。俺も含めてな」

「いや、『ここ』ってどこだ?」

アルゴにとって当然の質問である。自分は森にいたはずなのに、いきなりこんな所にいたのだ。


周りを見回しても、知らない奴らがこっちを見てニコニコしてるだけ。


はっきり言って気持ちが悪い。



「まあまあ、詳しい事は後で所長が話すからよ。それより、あいつは心配じゃないのか?」

「あいつって?」

「ほら、あいつだよ」


スカージが指を差した方向を見る。


そこにはアルゴが森で守った生き物が、小さなベッドに寝かされていた。

アルゴはベッドから飛び起きようとした。

その瞬間、体中に激痛が走る。

「おい、あんまり激しく動くな!」

「そんなことより! あいつ!! お、おい生きてるんだよな!? ちゃんと生きてるよな!?」

スカージがため息をつく。


「当たり前だろ? そんな簡単に死ぬかよ」


それを聞いたアルゴの体から力が抜けていった。


「良かった……。ちゃんと守れたんだ」

安心してまたベッドに倒れこんでしまった。小さい生き物はベッドの上で気持ちよさそうに寝ている。スカージはベッドのそばにあった椅子に座って喋りだした。


「まあ、しかしびっくりしたぜ。いきなりレーダーに反応があってさ。いや、俺は故障だと思ったんだ。新しく、無駄に範囲広いレーダー取り付けて、もう壊れやがった、ってな。けど、所長が『魔弾』だって言うからよ。行ってみたら、お前とその『神魔』が倒れてたってわけよ」


「あ? 『マダン』? 『シンマ』? 何だそれ――」


「おっと、おめーが起きたらすぐに所長のとこに連れてくんだった。ほれ、特別に俺が車椅子押してやる。体中バッキバキだろ。初めて撃つと誰だってそうなる」


スカージは質問などそっちのけで、アルゴを部屋から連れ出した。


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