僕は見た
2014年8月の夜だった。
もう覚えていない。
夜だった。
僕は長く起きていた。
暑かった。
クーラーが壊れていた。
僕は窓を開けた。
「ゴー」という音がした。
僕は窓から首を出して空を見上げた。
黒いゴミ袋のようなものが飛んでいた。
光っていた。
V字型だった。
空が少しオレンジ色だった。
僕はずっと見ていた。
黒いゴミ袋のようなものは僕の家の窓の上に降りてきた。
あまり大きくなかった。
大きさは5メートルぐらいだった。
「ゴー」という音が凄く大きく響いていた。
僕は怖かった。
僕は窓を閉められなかった。
僕は気付いた。
黒いゴミ袋のようなものは金属だった。
V字型のUFOだった。
正式名称は未確認飛行物体。
ただ滞空していた。
光は赤だった。
綺麗に並んで下に5つ付いていた。
僕は何も出来ずに立ち尽くしていた。
V字型のUFOはやがてゆっくりと北に飛んでいった。
僕は震えながら窓を閉じた。
僕は障子を閉めた。
僕は眠れなかった。
クーラーが直った。
僕は眠れなかった。
僕は怖かった。
僕はパニックだった。
スケッチブックを棚から取り出して、見たUFOの絵を描いた。
下手だった。
ただの馬鹿の落書きに見えた。
僕は泣いた。
明け方にお母さんが来た。
僕は抱き着いた。
怖かった。
お母さんはすぐに救急車を呼んだ。
僕は精神病院にしばらく入院した。
少し前の話。