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【BL】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。  作者: 明太子


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6/6

その6

オーディスは窓の外を眺めて、話を続ける。


「ここから近いのは確かリズリー伯爵領にある宿場町だな」

「…え」


オーディスの一言でセシルの表情が曇った。


「どうした?」

「…いえ、なんでもありません」


セシルは取り繕うように笑顔を作るが、胸中は憂鬱であった。


彼にとって、リズリー子爵の娘は避けたい存在。

2人は貴族学校の同級生だったが、リズリー子爵の娘はセシルを事あるごとに『貧乏』と蔑んできたのだ。


(彼女と会いたくないなぁ…。会わなければいいのだけれど…)


セシルが心配しているうちに、馬車はリズリー子爵領の宿場町に到着した。


宿屋で部屋を取り、食事を済ませた後、オーディスとセシルは街へ散策に出た。


「伯爵様!あれ、見てください!パンが山みたいに積んであります!」

「パンは大抵山みたいに積んで売るものだぞ?」


セシルは空元気を出して明るく振る舞うが、上手くいかない。

周りをキョロキョロと見回すと、雑貨屋の店先にあるハンカチに目が止まる。


「可愛い…」


それはピンクのバラの刺繍が施されたタオル地のハンカチだった。

オーディスは咄嗟に声を出していた。


「…買うか」

「え、ええっ!高いですっ!パンが10個も買えますよっ!」

「…お前の価値基準はパンなのか」


オーディスはハンカチを手に取ると、完全な無表情で店内に入り、会計を済ませた。

そして店を出た後、セシルにハンカチを差し出した。


「ほら」

「わぁ、ありがとうございますっ!伯爵様からのプレゼント、嬉しいですっ!俺、一生大事にします!」


セシルが受け取ろうとした瞬間、ひゅうっと風がハンカチをさらっていった。


「あぁっ!ま、待ってー!」

「おい、走ると危ないぞ!」


セシルの耳にオーディスの言葉は届いていなかった。

おっちょこちょいな足取りで石畳をバタバタと駆けていき、どうにかハンカチをその手に掴み取った。

だが、しかし。


「わあっ⁉︎」

「きゃっ‼︎」


セシルは何かに盛大にぶつかった。


「ちょっと!何するのよっ!」

「も、申し訳ありません…!…えっ」


そこへセシルが聞き慣れた罵声が落ちる。


「リズリー子爵令嬢…?」

「あなた…」


ぶつかったのはセシルが最も会いたくなかった相手、リズリー子爵令嬢であった。


「まぁ…。あなた、そんな安っぽいハンカチを追いかけて…。学生の頃から相も変わらず貧乏たらしいのね」


セシルのことを馬鹿にして、リズリー子爵令嬢はお付きの侍女たちと一緒にクスクスと笑った。


「それは俺が婚約者に贈ったものだ」

「伯爵様…!」


オーディスは穏やかに、しかし容赦なく遮った。

声の温度は低く、その表情には冷徹さが滲み出ている。


令嬢は言葉を詰まらせると、ふらふらとオーディスに近づく。


「オーディス様、私のためにこのハンカチを…?」

「あぁ…?フランチェスカ嬢…」

「えっ…⁉︎お、お2人、知り合いなんですか…?」


リズリー子爵令嬢もとい、フランチェスカ・リズリーはつい先日、オーディスに婚約破棄を申し入れた前婚約者であった。


執事から婚約破棄の話を聞いてもなお、興味を持たなかった上、セシルのことで頭がいっぱいだったオーディス。

リズリー子爵領内に入るのにも関わらず、フランチェスカの存在をすっかり忘れていた。


(そういえば、彼女はリズリー子爵の娘だったか…)


前婚約者に会っても無関心なオーディスとは対照的に、フランチェスカはどこか嬉しそうだ。


「オーディス様、私を迎えに来て下さったのね!」


フランチェスカはそう言うと、オーディスの右腕にくっついた。


「なっ…!」

「は、はぁ…⁉︎どういう勘違いをしているんだ!お前は俺に婚約破棄をしただろう!」

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