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一二三(ひふみ)の壺のはなし  作者: ぽすしち


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あんたのせいになる


  面倒などと思ったことはない。



 だが、梅の実が減ってきているのはほんとうだ。


 このあやしい男は、どこかで『漏れ聞いた』のではなく、どうやらほんとうに《天女の梅の木》のことを知っているようだ。




「 さあ、その後ろの立派な棚に並んでるのが、梅の実を漬けてある壺かい? 」


 こちらが背にした大きな棚を目でさす。梅干しの壺だけをおさめるためにつくった、三段もある壁いっぱいの棚で、倒れないように家の柱にしっかりつけてある。



「 ―― いやいや、やはり、お殿様をお断りするわけにはまいりませぬ。なにしろお殿様が《天女の梅干し》をほしがるのは、おからだがよわくやまいにかかりやすいからで、この梅干しをたべてからは熱もださず調子よくすごされていらっしゃる」



「 ほうら、こりゃあ『いい薬』になること間違いない。 あんたねエ、よおく思案してごらんなネ。どちらにしろ、梅の木が死んだらもう本物の実はとれなくなる。挿し木の梅の実じゃあほんとの効能がでないだろうから、どのみちお殿様はまた病弱にもどる。 そしたらきっと、それはあんたのせいになる 」



「 ど、どうしてわたくしのせいに? もともとお殿様は、 」



「 いちどは、からだが丈夫になったんだろ?だから、それが病弱になったなら、それは、《お殿様のからだを丈夫にした梅干しをとどけなくなったあんたのせい》ってことになるさ 」



「 いやいや、そんなばかな 」



「 そうかね?そうおもうなら、それもいい。あんたはこの先すこしずつのこりすくなくなってゆく梅干しを、毎日、残りの数を気にかけながら届け続けるわけさ。 あんたのうしろにならんでいる壺の、さて、どれくらいが《本物の天女の梅の木になった実》なのかねえ」






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