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一二三(ひふみ)の壺のはなし  作者: ぽすしち


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3/6

天女がのこした梅の木の実




 二、




   ―――――――






 その男はふるくて汚れた白い着物をからげ白い脚絆でなにか背負い、杖をもち、いっけん修験者シュゲンジャかともおもったが。ぼさりとのびた髪もそのままで、頭にはなにもかぶっていない。

 背負った箱はこぶりで、杖はねじれたような細工がしてあり、それらにも着物にも、なにか経のような文字のようなものがかかれていて、なんだか気味が悪かった。



「 このあたりに、天女がのこした梅の木になる梅の実があるって、きいたことねえですかねエ 」



 いきなりおとずれた男は、《天女の梅》の実をさがしているのだと、あたりの梅の木を杖先でしめしたあと、かってに台所の土間へはいってきた。



 こちらはちょうど、きょうのぶんを殿様のところへおさめにゆこうと、台所においた壺に手をかけたところだった。




「 ・・・さあ・・・ 」

 手をかけていた梅干しのはいった壺のふたをもどし、背にかくすようにして男へからだをむけた。


 この男はこの村にはいり、ここをまっさきにめざしてきたらしい。



 ということは、うちが天女に梅をもらった者の家だと知っていて来たということか・・・。



 だが、あきらかにこのあたりの者ではないこんなあやしい男が、いったいどこでうちの梅のことを漏れ聞いたのだろう。




「 そうですかい? まあ、わけたくねえっていう気持ちはわかるが、こちらもすぐひきさがるわけにもいかないねエ。  ―― いまのお殿様の倍の金をだそう。それでどうだ?」



「『いまの』・・・ 」 お殿様にわけているのも知っているのか。

 だとしたら、お殿様のほうからはなしがもれたのか?あれだけもらさぬよう念押ししたのに・・・。





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