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一二三(ひふみ)の壺のはなし  作者: ぽすしち


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12/15

どうにもならぬ


「は、はい。 しかしながら・・・、その梅干しに・・・カビが・・・」



「 カビだけのければ、どうにかなろう 」



「い、いえ。それが、どの壺も、中の中にまでおよびまして、・・・お出しできる梅干しが、もう、のこりわずかと・・・」



「 わずか!?なにを申す、今年のぶんだと金もわたしてあるのだぞ! 」



「は、はい!ですので、おかえしいたします!」



「 金をかえしてすむはなしか! 」



「ですが、すべてカビにやられてしまい、どうにもなりませぬ!」



「 ええい!すべての壺がだめになるなどなかろう!いくつにも分けてあると申したではないか! 」



「はい、わけてございますが、」



「 さては! 《殿様の梅干し》を、他へながしたか!? 」



「 と、《殿様の梅干し》? ――  いえ、たしかに殿様へお分けしておりますが、あの梅干しは、わたくしのものでございます!」



「 殿の領地にある梅の木ならば、殿の梅だわ! 」



「うちのじいさまが天女にもらった梅の木ならば、その実をどうしようとうちの勝手!」



「 この ぶれいもの!! 」



 いつの間にか身を起こし怒鳴っていたこちらに、むこうのお付きの男も膝でにじりよっていた。



 しかも、そのおとこが刀をつかみ、鞘から身をひきぬこうとするのがいやにゆっくりとみえた。




  刀など、どこにあった?



 おかしい。このとしよりのおつきの男は、梅干しの代金をこちらに渡すとき、お城の台所もだいぶ厳しいというはなしをしたあと、おのれの刀も売って、この金をつくったと・・・。


 


 だが、たしかにそこで、ぎらぎらとしたながい刃物がゆっくりとぬかれようとしている。





『  まあねエ、こうなっちなうんじゃねえかと心配したのさ。

    さあ、いまがあの薬の飲みどきだよ。持ってるんだろオ?さっさと飲んじまいな 』




 御簾のほうから、殿様のほそい声ではなく、あの《薬売り》のこえがした。






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