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一二三(ひふみ)の壺のはなし  作者: ぽすしち


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11/15

おそれながら




 四、




   きょうこそは、こんどこそ、とおもいながらときは経ち、半月がすぎてしまった。





 《天女の木》の梅干しがなくなることは、まだ殿様に伝えられずにいる。




 まいにち、震える手で壺から梅干しをとりだす。




  ひい  ふう  みい



 底に残った梅干しをみてみぬふりで、早々に蓋をとじる。




 かかげ持つ梅のはいった器が、日に日に、重くなってゆく。




 お城までの道のりが、なんだかみじかくなってゆく気がした。





 震える膝をすすめ石段をのぼり、門を通され、いつのまにか、いつもの廊下をすすみ、いつもの大広間へととおされた。




 くちがかってに、本日の梅干しをおさめにまいりました、といって、からだがかってに、縮こまるようにして畳に額をつける。



「 ―― うむ。あすもたのむぞ 」

 これはあの。お殿様のお付きの、年をとった男の声だ。



 「 まいにち、世話をかけるな 」

 離れたところから細い声がした。御簾みすのむこうにいるお殿様だ。




「い、いえ、とんでもございませぬ」



「 このところは、庭へでて歩きまわるのも疲れなくなったぞ。あとすこししたら、馬にものれるようになろう 」


 言ってほそいわらいごえをたてた殿様が、せきこむのを耳にしながら、もう、 ―― ここまでだ、と観念した。




「お、 おそれながら・・・ この、・・・梅も・・・のこりすこしとなっておりまする・・・」




「 おお、だが、ことしの梅の実も漬けたときいたぞ。それに、おぬしの前の代から残っている梅干しもあるのだろう?」

 このお付きの男は、うちの棚にたくさんの梅干しの壺があることを知っている。





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