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一二三(ひふみ)の壺のはなし  作者: ぽすしち


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ひい ふう みい

数を数える男を年寄りの女がのぞき、はなすうちにおもいだす。。。。というはなし。

『人魚のはなし:のあやしい《薬売り》と、『ネコマタを 』の婆さんがでてきます。。。。。



 一、




      ひい  ふう  みい




   数はそこまでしか数えられない。



    ひい  ふう  みい



  もう一度かぞえる。



    ひい  ふう  みい



 そこまでで、また、はじめにもどる。



   ひい  ふう




   「 だれぞ おるんか 」



 しわがれた声がして、すこし光がさしこんだ。




「 ―― あ・・・ 」


 ひさしく数えることのほか、声を出していない。それに、ここをのぞくようなものなどいままでいなかった。



「 ・・・か、かぞえて・・・おりまする・・・」




「 かぞえて?  あけていいかの? 」




「 あいや、その、・・・・どうかご勘弁を・・・・ 」


 すべてあけられてしまったら、この姿をさらさなければならなくなる。




「 ふん。なにをかぞえてなさる? 」


 しわがれたその声は、どうやらとしをとった女のようだ。




「 その・・・。梅を・・・梅の実をかぞえております・・・ 」



「 そうだとおもうたわ。なぜ、数えなならん? 」




   なぜ?



 はて、なぜだったか・・・・。



「 ・・・あ。 ああ、そうだ、そうじゃった。 その、梅を、梅干しにして、いちにち三粒みつぶ献上けんじょうせねばならぬので・・・ 」



「 ほお、どこぞの殿様にか? 」



「 とのさま・・・あの殿様は・・・さて、どこのお殿様だったか・・・ともかく、お殿様がどこぞでうちの梅のはなしをお耳にされて、わざわざおつかいのかたがみえられましての、うちでつくった梅干しを、日に三粒所望しょもうされたいと・・・ 」





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