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家族 ト 手掛かり

大切な人々を失い、無力感に打ちひしがれた紡。

しかしそこで途絶えることはなかった。

神によって告げられた「ゲームオーバー」の言葉。それは、彼の人生が単なる「転生シミュレーション」であったという事実を突きつけられる。


後悔の中で紡が見つけた、唯一の希望。それは、失われた命を取り戻し、二度と悲劇を繰り返さないという揺るぎない決意。

神から与えられた圧倒的な力――因果を操る能力の真髄を習得し、再びあの世界へと舞い戻る。


これは、二度目の生を歩むことを決めた青年が、失われた絆を再び紡ぎ、宿命に抗い、大切な人々を守り抜く物語。彼が見たのは、希望か、それとも新たな絶望か。繰り返される「日常」の中で、紡は己の全てを賭け、未来を切り開く。

 紡は、結の言葉を聞きながら、彼女の周囲に常に漂っている因果のノイズに改めて意識を集中させた。

それは、砂嵐のように見えていたこれまでのノイズとは異なり、微細ながらも複雑なパターンを含んでいるように感じられた。


 紡の因果を見る能力は、通常では見えない因果の流れを可視化する。だが、結の周囲のノイズは、その常識を覆すものだった。

まるで、彼女の存在そのものが、因果の法則に絶えず干渉し続けているかのような……。


「変成錬成、か……。具体的に、どんな風に因果を操るんだい?」

紡は、疑問を率直に尋ねた。


「えっとね、例えばこの金属の塊を……」

結は、テーブルの隅に置かれていた小さな金属片を手に取った。

紡の視界では、その金属片の因果が、結の手のひらから放出されるノイズによって、微かに揺らぎ始めているのが見える。


「こうやって、イメージするだけで、色々な形にできるんです!」

結が集中すると、金属片はみるみるうちに形を変えていく。最初はただの塊だったものが、やがて滑らかな曲線を描き、数秒後には精巧な鳥の彫刻へと変貌した。

その過程で、結の周囲のノイズは一時的に激しく揺れ動き、完成と同時に再び落ち着いたが、それでも紡が感じるノイズの強度は依然として高かった。


「すごい……本当に、どんな形にも変えられるんだな」

紡は、感嘆の声を漏らした。それは、まさに錬金術師のようだ。そして、その変成のプロセスで生じる因果のノイズが、石凝の資料から感じたノイズと酷似している。


(そうか、変成か……! 怪異を生み出している奴らは、この子と同じように、「変成」させているのかもしれない……!)

紡の脳裏に、一つの可能性が閃いた。怪異を生み出すために使われている「封印の文様」。

もしそれが、特定の因果を変成する事によって作られているのだとすれば、結の能力がその謎を解き明かす鍵になるかもしれない。


「どう……したんですか……?」

結は首を傾げた。


「いや、君のような変成させる能力って、他には誰が使えたりするのかな?」

紡は、慎重に言葉を選びながら質問をした。朔月は、紡と結の会話を黙って聞いている。彼女には、紡が何を言っているのか、正確には理解できていないだろう。

しかし、紡の真剣な表情と、結の能力が持つ可能性の大きさは、彼女にも伝わっていた。


「今は私だけです! 前は、お父さんも使えてたんですけど……」

結は、記憶を辿りながら答えるが、どこか寂しげな表情を浮かべる。


「そっか、ありがとう、結ちゃん。とっても参考になったよ」

紡は、心から感謝の言葉を述べた。カイも、結の足元に擦り寄り、「ワン」と小さく鳴いた。


「でも、どうして急に私の能力について聞いたんですか?」

結が尋ねる。紡は、一瞬言葉に詰まった。石凝の調査は、二人だけのの機密情報だ。それを安易に外部に教えるわけにはいかない。しかも、朔月もいる。


「うーん……それは、まだ教えられないんだ。せっかく話してくれたのにごめんね」

紡が正直に答えると、結は残念そうな顔をした。


「そうですか……、でも調査員さんが調べてることですもんね!何でも協力します!」

結は一瞬、寂しそうな表情を浮かべるも、再び輝いた笑顔で紡への協力を申し出た。


 紡は彼女へ感謝した一方で、どうすればいいか頭を悩ませる。因果のノイズは、彼女の周囲から常に感じられる。

つまり、彼女が因果を変成する能力を使っているか否かに関わらず、そのノイズは存在している。


 これが、怪異の意図的な生成に関わるノイズと酷似しているということは、結の能力が、その犯人の能力と何らかの共通点を持っているか、

あるいは全く別の因果が複雑に絡み合っている可能性を示唆している。


「ねぇねぇ、ツムくん」

朔月が紡の方へ向き直る。


「何を調べてるのか分からないけど、結ちゃんに、普段使ってる道具とか、おじいちゃんが作ってくれたものとかを見せてもらったらどうかな?」

「結ちゃんの能力で作ったものなら、ツムくんが知りたい事とかが分かるかも知れないよ!」

朔月が、ふと名案を思いついたように提案した。


「おお! 朔月さん、それだ!」

紡は、朔月の提案に目から鱗が落ちる思いだった。機密情報に触れることなく、結の能力とノイズの関係性を探る。これは良い方法だ。


「結ちゃん、もしよかったら、君が普段使ってる道具とか、おじいさんが作られたものを見せてもらえないかな? そこから、何か分かるかもしれない」

紡は、結に尋ねた。


「はい! もちろんです! 今、おじいちゃんが作ってる武器があるから、それを見てもらうのが一番分かりやすいかも!」

結は、嬉しそうに立ち上がると、店の奥にある工房へと紡と朔月を案内した。



 工房の中は、さらに金属を叩く音が大きく響き渡っていた。壁には、完成途中の武具や、様々な種類の金属の塊が積まれている。


 工房の奥では、初老の男性が、真っ赤に熱した金属をハンマーで叩く作業に没頭していた。


 その男性こそが、結の祖父、鍛守 源蔵(かなもり げんぞう)だった。

彼は、年季の入った作業着を身につけ、銀色の髪を後ろにきっちりと結わえている。額には、長年の鍛冶仕事で刻まれた深い皺が何本も走り、火傷の跡も見て取れた。しかし、その顔は決して厳しくなく、むしろ穏やかで、孫娘を見守る優しい眼差しを宿していた。


 真っ赤に熱した金属をハンマーで叩くその手つきは、無駄な動きが一切なく、しなやかでありながらも力強い。まるで金属と対話し、その魂を引き出しているかのようだった。

額に汗を浮かべながらも、その表情には職人としての揺るぎない誇りと、長年培ってきた技術への自信が満ちあふれており、工房の熱気と金属の音が彼の存在感を一層際立たせていた。


「おじいちゃん!」

結が声をかけると、源蔵は作業の手を止め、振り返った。彼の顔には、優しい笑顔が浮かんでいる。


「おお、結。それに朔月ちゃんも。いらっしゃい」

源蔵は、紡と朔月を見てにこやかに挨拶した。


「源蔵さん、こんにちは! いつもお世話になってます!」

朔月は、にこやかに挨拶を返した。紡は、源蔵の因果をそっと探ってみる。彼の因果は、温かく、穏やかで、しかし確かな強さを秘めているように感じられた。


 そして、彼の周囲からも、微かな因果のノイズが感じられた。それは結のノイズほど強烈ではないが、やはり通常の人間からは感じられないものだった。


(この人も、変成錬成の能力者なのか……?)

紡は、内心で驚いた。親子代々、廻環術師の家系なのだろうか。


「そちらのお方は?」

源蔵は、紡を見て尋ねた。


「あ、こっちは、今日から管理局に入ったばかりの新人さんで、杜野紡くんです! 私と一緒に巡回に来たんです!」

朔月が、紡を紹介した。


「杜野と申します。よろしくお願いします」

紡は、丁寧に頭を下げた。


「ほう、管理局の新人さんか。どうぞ、ごゆっくり見ていってください」

源蔵は、柔らかな笑顔で紡を迎えた。


「おじいちゃん、あのね、杜野さんが、私の変成錬成の能力について、色々聞きたいって!」

結が、早速本題に入ろうとする。源蔵は、少しだけ目を細めた。


「そうか。お前の能力が、どこかで役に立つのであれば、喜ばしいことだ」

源蔵は、そう言うと、作業台の上に置いてあった、まだ形になりきっていない金属の塊を紡に見せた。


「今、調査員さんの新しい武器を鍛えている最中でな。ちょうどいい。結、お前の能力を見せてやるといい」

源蔵の言葉に、結は嬉しそうに頷いた。


「うん!」

結は、その金属の塊に手をかざし、目を閉じた。紡は、結の周囲に漂う因果のノイズが、まるで荒々しい嵐のように激しく揺れ動くのを感じた。

そのノイズは、金属の塊の因果に直接作用し、その形状を刻一刻と変えていく。紡の因果を見る能力でも、その変化の速度と精密さには驚かされる。


 数秒後、金属の塊は、先ほど店内で見た刀とは異なる、より複雑で優美な曲線を持つ剣の形へと変貌した。

刃紋はまるで水面に月が映り込んだかのように美しく、刀身からは微かな光が放たれている。


「すごい……これが、変成錬成……」

紡は、思わず声を漏らした。この能力は、怪異の意図的な生成に使われている文様を作るのに、まさにうってつけではないか。

そして、その過程で発生する因果のノイズが、石凝の資料から感じたノイズと完全に一致していることに、紡は確信を深めた。


(犯人は、間違いなく、この『変成錬成』と同じ、あるいは酷似した能力を使っている……!)

紡は、静かに拳を握りしめた。しかし、その顔に表情は出さない。周囲にはこの秘密を悟られてはならない。


「どうだい、新人さん。結の能力は、なかなかのものだろう?」

源蔵が、紡に語りかけた。その顔には、孫娘への深い愛情と、誇らしげな笑みが浮かんでいる。


「はい、素晴らしい能力だと思います。これほどの能力は、見たことがありません」

紡は、素直に賞賛の言葉を述べた。源蔵は、満足そうに頷いた。


「結はな、生まれつき、因果の流れを繊細に感じ取る力に長けていた。それは、我が家に代々伝わる能力の中でも、抜きん出ている」

源蔵は、そう言って、結の頭を優しく撫でた。結は、嬉しそうに目を細めている。


「だがな、因果と言うのは無常でな。結の両親は、突然いなくなってしまったんじゃ……恐らく人攫いじゃろう……」

源蔵の言葉が、途中で途切れた。彼の表情に、一瞬だけ深い悲しみがよぎる。結は、その言葉を聞き、顔を伏せた。紡は、朔月が隣で息をのむのを感じた。


(やはり……結ちゃんの両親は……)


 紡は、胸を締め付けられた。怪異の意図的な生成。そして、因果を操る能力。これらの点が、線で繋がり始める。

犯人はおそらく、変成錬成の能力者、あるいはその能力に目をつけ、利用している者だ。そして、結の両親がその犠牲になった。


「だからこそ、私は結に、この仕事から離れて、自由に生きてほしいと願っている。だが、結は頑として聞かぬのだ……」

源蔵は、悲しげな目をしながら、それでも結への深い愛情をにじませた。紡は、そんな源蔵の言葉を聞き、結の決意の強さを改めて感じた。

彼女は、両親の犠牲を無駄にしないために、この能力を、この仕事を継ぐことを選んだのだ。


「そんな事が……。言いづらいことを聞いてしまって、すみません」

紡は、源蔵と結に謝罪した。調査のためとは言え、辛い過去を掘り起こしてしまった事に、罪悪感を感じたのだ。


「いえ、気になさらないでください。それに、今は結が一緒に居てくれるだけで、私は十分幸せですから」

源蔵は、結の肩をそっと優しく抱き寄せた。そこには、優しく、温かな橙色の因果が二人を繋いでいた。



 源蔵と話した後、工房の片隅にある、年季の入ったテーブルに、紡と結、そして朔月とカイが座った。

源蔵は、二人の様子を温かく見守りながら、奥で再び作業に戻っている。紡は、先ほど感じた因果のノイズについて、結に詳しく尋ねることにした。


「結さんの能力で、どんな物質でも変成できるのは分かったけど、何か能力を使う時に、普段から感じているものなのかい?」

紡は、核心に迫る質問を投げかけた。


「うーん、そうですね…… 最近、ずっと変な感じがあります。なんか砂嵐?みたいな、ザザーッって感じ……、って言うんですかね?」

「おじいちゃんも、私の因果は少し特殊だって言ってたから、そのせいかなって思ってたんですけど……」

結は、素直に答えた。やはり、彼女の変成錬成の能力は、常に彼女の周囲に因果のノイズを発生させているのだ。


「その砂嵐みたいな感覚って、何か影響があるの? 体調とか、周りのものとかに」

紡は、さらに尋ねる。


「……特に、身体に影響はないかな? でも、たまに、因果の強い場所に行くと、もっと砂嵐の音が大きくなるような気がするんです」

「あとは、物を変成するときに、少し疲れるくらいで……」

結は、首を傾げながら答えた。その言葉に、紡は一つの仮説を立てた。


 結の変成錬成の能力は、対象物の因果を直接操作する。その際、彼女自身の因果と、変成する物質の因果が複雑に絡み合い、それがノイズとして現れるのではないか。

そして、そのノイズが、怪異を生み出す因果の文様と酷似している。


(つまり、怪異の意図的な生成に使われている文様は、結ちゃんの『変成錬成』と同じ、あるいは非常に似た能力で生み出されている可能性が高い……)


 紡は、思考を巡らせた。犯人は、変成錬成の能力を使って、特定の物質から怪異の発生を促す文様を作り出し、それによって怪異を生み出している。

そして、その過程で、結の周囲に発生するノイズと同じ、あるいは酷似した因果のノイズが発生する。


「その音が大きくなる時って、どんな時なんだい? 例えば、怪異の残穢がある場所とか……」

紡は、さりげなく、怪異の残穢との関連性を探ろうとした。


「えっとね、一番強く感じるのは、おじいちゃんの工房で、すごく大きな金属の塊とか、珍しい鉱石を加工している時かな」

「あとは、お祭りの前とか、たくさんの人が集まる場所でも、なんだか因果がざわつくような感覚があります」

結は、紡の質問に真剣に答えようと、一生懸命に記憶をたどった。朔月は、二人の専門的な会話に、少し置いてきぼりを食らったような顔をしている。


「へぇ~、結ちゃんって、そんなことまで分かるんだ! すごいね!」

朔月は、感心したように声を上げた。紡は、内心で冷や汗をかいた。朔月に怪しまれてはいけない。


「うん、朔月さんがいつも使ってる武器も、結さんが因果を変成して作ってくれてるんだもんな。すごい能力だよな」

 紡は、慌てて朔月に話を向け、話題を逸らした。朔月は、自分の武器の話題になると、嬉しそうに頷いた。


「でしょー! 結ちゃんの作ってくれる武器、すっごく使いやすいんだよ! 他の工房の武器とは全然違うの!」

朔月は、結の作った武器を自慢するように語った。結は、照れくさそうに「えへへ」と笑った。


(これで、何とかごまかせたか……)

紡は、内心で安堵した。


「結ちゃん、もしよかったら、その砂嵐のことについて、もう少し詳しく教えてほしいんだけど、管理局まで来てもらうことってできるかな?」

「管理局の室長が、君の能力について、管理局の役にも立つんじゃないか、って考えているみたいで」

紡は、石凝の名前を出すことで、結を管理局に誘おうと考えた。石凝ならば、朔月に悟られることなく、結から詳しい話を聞き出せるだろう。


「管理局ですか!? 私がですか!?」

結は、驚いたように目を丸くした。管理局は、廻環術師だけが入れる場所だ。武具装備屋とはいえ、自分がそこに呼ばれるとは思っていなかったのだろう。


「うん。結ちゃんの能力は、本当に凄いよ。きっと、管理局に、みんなの平和のために役立つはずだから」

紡は、結の目を見て、真剣に語りかけた。結は、少し考え込むような素振りを見せた後、力強く頷いた。


「はい! もし私にできることがあるなら、喜んで協力させていただきます! でも、おじいちゃんに相談しないと……」

結は、少し心配そうな顔をした。


「もちろん、おじいさんにもちゃんと説明するよ。きっと、理解してくれるはずだ」

紡は、そう言って結を安心させた。



 結との話が終わり、紡と朔月は再び巡回に戻った。結の周囲から常に放出されている因果のノイズは、紡の心に新たな希望と、同時に重い使命感を与えていた。


(これで、怪異を意図的に生み出してる奴の正体に、一歩近づけるかもしれない……!)

紡は、今回の巡回で得られた情報を整理しながら、街を歩いた。朔月は、すっかりお祭りの話題で頭がいっぱいになっているようだ。


「ねぇねぇツムくん! お祭り、何食べたい? 私はね、絶対リンゴ飴とたこ焼きは食べるんだ!」

朔月が、楽しそうに紡に語りかける。


「そうだな……屋台とか、しばらく行ってないから、何があるのか楽しみだ」

紡は、笑顔で答えた。1周目では、こんな風に誰かと一緒に祭りに行くなんてことはなかった。

あっという間に平穏が崩され、祭りの賑わいとは無縁だった。だが、今は違う。隣には朔月がいて、背後にはカイがいる。そして、協力者となりうる結も現れた。


(この平和を、絶対に守り抜くんだ……!)

紡の決意は、より一層強固なものになった。


 巡回を終え、管理局へと戻る道すがら、西の空はオレンジ色に染まり始めていた。

祭りの準備が進むにつれて、街全体がざわめき、人々の期待感が高まっているのが肌で感じられる。


「あー、お祭り楽しみだなー! ツムくんも、絶対来てよね! 花火、一緒に見ようよ!」

朔月が、振り返って紡に笑顔を向けた。その屈託のない笑顔に、紡の童貞心がまたもや刺激される。


「え、あ、うん……もちろん、行くよ……!」

紡は、しどろもどろになりながら答えた。朔月は、満足そうに頷くと、スキップでもしそうな勢いで管理局の入り口へと向かっていった。


(花火……一緒に、か……)

紡は、熱くなった顔を隠すように、空を見上げた。夜には、あの空に、美しい花火が咲き誇るのだろう。

そして、その裏で進行している、怪異を意図的に生み出すという忌まわしい計画。


 紡は、その全てを食い止めるために、自分の能力を最大限に活用すると心に誓った。


 管理局の入り口をくぐると、石凝の事務室から、忙しなく書類を捌く音が聞こえてきた。紡は、今日の報告をどう伝えるべきか、頭の中で整理し始めた。


 結の存在と、彼女の能力が持つ可能性。そして、その能力が発現する際の因果のノイズと、怪異を意図的に生み出す因果のノイズとの酷似性。

これらを石凝に伝えれば、きっと調査は大きく前進するはずだ。


「杜野。ご苦労だったな」

石凝が、机から顔を上げ、紡に声をかけた。彼の顔には、普段通りの厳格な表情が浮かんでいる。


「はい、室長。いくつか、ご報告したいことがあります」

紡は、まっすぐ石凝を見つめ、静かに答えた。彼の視線の先には、未来へと続く、因果の道筋がうっすらと見えているような気がした。

てとまるです。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。


今回も新キャラ登場回になりました。

おじいちゃんキャラは私が好きなので、出したいとずっと考えていました。

その内、イケてるジジイも出したいと思っているので、お待ちいただけると幸いです。


さて、物語は少し不穏な空気を残して終わりました。

次回は、どのように話が進んでいくのか、お待ちください。


それでは、よろしくお願いいたします。

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