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新しい名前、新しい力


 突然のスチームパンクに感動していると、アルテミスの元へ1人の男性が走って来た、つなぎを着ている


 「アルテミス! 無事だったか 何かわかったか?」


 「ようロキ なんとか帰って来れたよ でも、これといって何も得られる物はなかった 他の奴らも、もしかしたら、、」



 「そうか、、残念だ その子は?」


 「ああ、地上の施設に居たから連れて来たんだ、、あそうだ、この子のスキルを調べてもらえるかい? 機械が故障してるみたいでアンノーンって表示されるんだ」



 「アンノーン? おかしいな、、少し見てみるか、こっちへ」


 スチームパンク風の施設の中を、興奮気味にキョロキョロと見渡しながら、コウヤは小さな小屋の中へと入った


 部屋の壁には大型のモニターがあり、ロキがキーボードをカタカタと叩く、キーボードの横に置いてあるクリアケースを開けると、大人ほどの手の形をした枠が書かれていた


 「これは俺が作った新型なんだがな ボウズ ここに手を乗せな」


 ロキがそう言うので、コウヤは言う通りそれに手を乗せた


       ピピピッ



 「ダメだな スキル不明だ、、なんだこの子は」


 ロキが不思議そうにコウヤを見つめる


 「不明じゃ仕方ない、、それよりこの子の格好をどうにかしようか、髪の毛も切った方がいいし、なにより服を着させよう これじゃ可哀想だ」


 「そうだねぇ あたしの服じゃ大きいし ロキ、子供用の服ってある?」



 「そうだなぁ、、ちょっと待ってろ」


 奥からロキが小さな服を持って来た、コウヤはその場で裸にされてアルテミスに髪の毛を切ってもらった 

 その後、小屋の前に出されてロキが蛇口を捻ってホースから水を出し、コウヤを洗う


 (うわっ冷てっ、、お、、なんかだんだん温かくなってきた お湯出るんだなぁ 世界観がよくわからん ああ〜スッキリする〜)


 アルテミスがコウヤの身体を拭いて、着替えさせた

 ロキがコウヤをまじまじと見ている


 「おっ なかなか似合うじゃないか」


 (おお! なんか良いなこれ ブラウン系の半ズボンと、ゴーグルの付いたキャスケット帽子 白いYシャツにサスペンダー 革のブーツまで くぅ~!スチームパンクっぽいなぁ!)


 アルテミスがコウヤの両腕を上げ下げしながら聞く


 「ロキのお下がりだけど どうだい? 少し大きくないかい?」


 「うん大丈夫! 気に入ったよ! ありがとうロキさん!」


 コウヤは嬉しそうにロキを見た


 「はは 気に入ったならよかった ん? その後ろ髪はどうした?」


 「あたしがやったんだ ちょうど長かったからね」


 気になったので後ろの髪の毛を触ると、右側が細長く三つ編みにされていた


 コウヤは三つ編みをいじって楽しそうに肩にかけた


 それを微笑ましく見守るロキとアルテミス、そこで何やらアルテミスが思い出した


 「そうだ ロキ あんた『スコール』と『ハティ』の完成はまだ先なのかい?」


 「ああ、、もう少しかかるな 皆頑張って作ってる所だ 後は乗組員をどうするかだなぁ、、俺とアルテミスは確定としてだ、他に戦闘員が欲しいところだな 職人連中、特にアルゲスとステロペス、プロンテスは連れてくけど、戦闘は出来ない」



 「そうだねぇ 神威くらいのスキルは無くても、スキル持ちは欲しいところだねぇ」


 「まぁ仕方ない スキル持ちが居ないからコイツを作ってるんだ 欲しいのは人手だよ」



 「人手ねぇ あ、そうだ この子の名前はどうしようかね」


 (ん? この子って俺の事か ここで名前言ったらややこしそうだな 考えてもらいましょう かっこいい奴を頼むぜぃ?)


 「ん~~ 名前かぁ 俺はそういうのは苦手なんだ」


 そこへ、職人らしき人達が小屋へ入ってきた、太っちょ、ノッポ、少し背の低い者


 「あ〜、腹減った ボス〜飯の時間ですぜ〜」

 「ボスも人が悪ぃや」

 「そうっすよ どっか行ったまま帰って来ないんすから」


 「おお お前ら悪かったな アルテミスが子供連れて来てて、ちょっとバタバタしてたもんでな」



 「へぇ~ ボスと姉さんの子供ですかい?」

 「いつの間にガキこさえたんで?」

 「マジっすか!? なるほど、たしかに目元がボスに似てるっすね」


 「似るわけないだろ! 地上から連れて来たんだよ!」



 「なんで〜 違えのか〜」

 「拍子抜けですわ」

 「どおりで似てねぇわけっすね」


 「お前らな まぁ話は後にして飯にしよう」



 この世界初の飯にありつける、そういえばコウヤは何も食べていないと思いつつも、不思議と腹は減っていない オーガとの記憶が無いのだから仕方がない



 「さあ食べてくれ えっと、、ボウズも食べろ」


 (なんだこれ、、 銀色の皿にペースト状の物が、、ディストピア飯か! これはこれでテンション上がるなあ)


 不思議な食べ物だ、スプーンですくい食べてみると、美味くもなくそれでいて不味くもない ポテサラに近い食感 味は魚のすり身のような気もするし、紙粘土のようでもある


 (これ、、原材料は何なんだ? 怖くて聞けないぞ、、)


 ロキがコウヤに聞いてきた


 「モウルドの味はどうだ? 産まれたばかりなら食事は始めてだろう」


 「え あ、はい 美味しいです」


 (もーるど? もしやカビの事か、、? カビにしては美味いな ちょっと楽しいぞこれは)


 モウルドを食べながらアルゲスと呼ばれる太っちょが話し出す


 「ボス〜 この小僧の名前は何てんですかい?」


 「ああ それなんだがな まだ決めてないんだ 何か候補はあるか?」


 少し背の低いプロンテスと呼ばれる若者が手を上げた


 「はいは〜い! あるっすよ! 『エル』なんてどうっすか? デッカく育つようにって意味っすよ〜」


 「エルかぁ いいんじゃないか? どうだボウズ」


 「は、はい それでいいです」


 コウヤの名前が『エル』となった、モウルドを食べ終えると皆が仕事へ向かった 何やら大きな機械を作っている 外装の隙間からギヤが見える、エルは興味深く作業を見ていたが、生前の記憶から事故を思い出し、すぐ小屋へ戻ろうとした


 「エル!危ねえ!」


 上から声が聴こえた、エルが上を見ると大きなスパナが目の前まで来ている 咄嗟にそれを躱した、すると勢い余って小屋へ激突した


 下に居たロキとプロンテスが心配そうに駆け寄って来た


 「大丈夫か!エル!」

 「しっかりするっすよ!」


 「だ、大丈夫です いててぇ、、」


 ロキが上を見上げて怒鳴り散らす


 「馬鹿野郎! 危ねえだろ!」


 上に居たアルゲスとステロペスが不安そうに答える


 「すんませ〜ん、、」

 「申しわけねぇ、、」



 「ったく、、それにしても エル、お前よく避けれたな それに、、こんな一瞬でこんな所まで、、」


 ロキの言う通り、スパナの落ちた場所からこの小屋までの距離は約20m 何が起きたのかわからないが、エルが瞬時にここまで飛んで来たのは間違いない


 「ボス もしかしてエルってスキル持ちっすか?」


 「いや わからん、、調べてみたら不明と出たからな」



 「不明っすか、、もしやとんでもねぇスキルなんじゃないっすかね! ほら新種とか!」


 「新種か それなら頷ける ナノマシンが言語化出来ないようなレアスキルなのかも知れん」


 (へ? 俺スキルあったんだ 不明なんて言うから期待してなかったけど そうだよな、転生したんだからそのくらいは無いと困る)


 エルが小屋にぶつかった衝撃で倒れた棚の下からアルテミスが出てきた


 「ててて、、お前ら、、」


 「「「あ、、」」」


 なぜかエルまで殴られた、スキルの事は忘れ去られ、皆仕事へ戻って行った





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