第三十二話 叙爵式
久しぶりの更新です。
待っていた方、申し訳ありませんでした。
ちなみに式中のセリフは適当です。
こうした方がいいんじゃないと思われた方、ぜひ感想に送ってください。
私たちは王都の城門に来ていた。
「聖女様、そちらの少女はどなたでしょうか?」
今更だが、ヒェロナは綺麗な素肌の上に私のローブを着ているだけである。
控えに言って、見た目が不審者なのだ。
だがしかし、私には秘策がある!
「森で倒れていたところを保護しました。どうやら記憶が無いようで可哀想だったので、連れ帰る事にしました」
「そうでしたか!どうぞお通りください!聖女様!」
いかに結界が高性能でも不審者の連れ込みごとき、権力者の一言でどうにかなるのだ!
「本当に入れましたね!?」
検問を抜けてしばらく歩くとヒェロナは目を輝かせながらそう言った。
初めての人間の街に興奮しているようだ。
ここ、三日前にあなたが粉砕しようとしていた街なんだけど。
「言ったでしょ。抜かりは無いと」
当然だが万が一にも誰かに聞かれると、結構まずいので『遮音結界』を効力を発揮できる限界まで出力を落として張ってある。
ここまでの超低出力なら、そこらへんの魔法使いでは例え真横を通り過ぎても不審に思う事はないだろう。
私たちは色々と話しながら屋敷街に入り、アシュトン家の屋敷に向かった。
屋敷に帰ると、お父さんが上機嫌で迎えてきた。
「ティファニー、よくやった!お前の功労が評価されて、褒美が貰える事になったぞ!」
でしょうね!あれで褒美貰えなかったら、逆にやばい。
「まだ内示ですよ、お父様」
「その歳でドラゴンスレイヤーになるとは、素晴らしい偉業だ!よくぞ成し遂げた!」
にしても、何故こんなに上機嫌なのだろうか?
あっ、褒美の内容を知らないのか。
「ありがとうございます、お父様」
「謁見は明後日に行われるそうだ!」
「わかりました」
「ところで、その少女は誰だ?」
「森で保護してきました。色々とあり、メイドとして雇う事にしました。いいですよね?お父様?」
「ああ、勿論だ!」
「ありがとうございます」
お父さんから許可を貰った後、私たちは私の部屋に向かった。
部屋に入ると、即座に『遮音結界』を張った。
「こんなにあっさりと許可を貰えるとは思いませんでした」
「そうですね。まあ、上機嫌だったからでしょう。さて、これで貴女はメイドとして働く事になりました」
「ドラゴンをメイドにする魔法使いがいるのですね」
「使い魔ほど信用できる存在はなかなかいませんからね。そんな使い魔を側に置くにはメイドにするのが一番です」
「素直に使い魔だと説明しては?」
「使い魔と言えど、魔物扱いですからね。色々と不都合があるのですよ。特に最近は、使い魔を持たない魔法使いが多いですからね」
「わかりました」
◆◇◆◇
そして二日後、私は王城へ赴く為、正装に着替えていた。
「似合っていますよ。お嬢様」
「私もそう思います」
「師匠もヒェロナもやめてください。この服、色々と嫌いなのです」
私は侍女服を着た師匠とメイド服を着たヒェロナに着替えさせられていた。
自分で出来ると言ったのだが、「これが仕事なので!」と言われてこうなった。
「お嬢様、今の私は家庭教師ではなく、侍女ですよ。呼び捨てにしてください。他の侍女たちに示しがつきません」
「『遮音結界』を張っているから大丈夫ですよ」
私がそう言うと、扉がノックされた。
「お嬢様、お準備はお済みになったでしょうか?」
「ええ、終わったわ」
私は結界を消してから、そう言った。
部屋から出てホールに向かうと、正装のお父さんがいた。
「準備は終わったか、ティファニー?」
「はい、お父様」
私はお父さんと一緒に屋敷を出て、馬車に乗り込んだ。
馬車に乗る事、数十分。
王城に着いた。
馬車を降りると、相変わらずの歓迎を受けた。
そして、侍女に案内されて控室のような部屋に入った。
なんか、とんでもなく豪華な部屋である。
貴賓室とか迎賓室とかそう言う類の部屋なのだろう。
しばらくすると、謁見の準備も終わったのだろう。侍女さんに呼ばれた。
城内をしばらく歩くと謁見の間へ案内された。
中には既に結構な数の貴族たちがおり、私を見るや色々と話始めた。まあ、そりゃ、こんな少女がドラゴンスレイヤーだと言われても理解し難いよね。
謁見する際の貴族の入場順は基本的に偉い人が後だ。
つまり、私は一番最初に呼ばれてもおかしくないのだが、すでにお父さん、つまり伯爵までもが、参列していた。
家柄だけではなく、戦果も反映されているようである。
しばらくして、侯爵や公爵も入場して来た。
私は暇なので、貴族家の紋章と当主の顔を一致させていた。
にしても、男女比が凄いな。
私以外にほんの数名ぐらいしかいないじゃないか。
そんな事を考えていると、最後の家族が入場し終えた。
「国王陛下の御入場!」
近衛騎士団長がそう大声で言うと、貴族たちは一斉に跪く。勿論、私もそれに続く。
「表をあげよ!」
私たちは一斉に顔を挙げる。
私は王族の名前と顔を一致させるべく、色々と考え始めた。
王様の隣は王妃様。
もう一方の隣は第一王子。その隣は第二王子。さらに隣は第三王子か。
いっちゃ悪いが、第一王子はパッとしないな。
王妃の子ではあるが、魔力量が多い訳でもないし、覇気がある訳でもない。
それに比べて、第二王子は如何にも聡明そうで、イケメンで、魔力量も多い。ただし側室の子。
なるほど。そりゃ、跡目争いの火種になるわ。
第三王子は?って?
論外。後ろ盾が無さ過ぎる。話しにならない。
ちなみに王女様は外国に嫁いだ第一王女を除いて二人いる。
どちらも大変可愛らしいと聞いている。
第三王女は私と同い年だからいつか学園で同じクラスになるだろう。
私がそんな事を考えている間にも褒美の授与は着々と進んでいた。
この国において褒美の授与は功績の低い者から順に行われる。私が呼ばれるのは最後の方だろう。
ヴァンパイアロード討伐の方も同時にやるようだし。
にしても、一部の貴族の顔色が悪いな。
ああ、王都に援軍を出さなかった貴族か。
結局、他の街でスタンピードは起こらなかったらしいから、あの人たちは後で降格されるんだろうな。
可哀想に。
「ティファニー・ファン・アシュトン!前へ!」
どうやら私の番が来たようだ。
私は前へ出て、跪く。
「アシュトン伯爵令嬢。此度の戦いにおける其方の活躍は誠に見事であった。千の魔物を撃ち払い、千の民を癒し、ドラゴンすらも退けた其方の武功を讃え、子爵位と領地を与える。これより、其方はティファニー・フォン・ヘクセと名乗るがいい」
あ、だいぶ前に断絶した子爵家だ。
たしか領地は西の端、辺境ではあるが、そこそこ大きく、豊かではないものの、そこそこの街があったはず。
いきなりそんな場所を与えられるとは、余程今回の武功を評価されたようだな。
「身に余る光栄、誠にありがとうございます」
こうして、私は貴族家当主になった。
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