第二十五話 謁見
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なんか、慣れていないせいか、使いづらいです。
ゴーレムを倒した翌日の早朝、屋敷に王城からの使いが来て、日時を伝えてくれた。
伝えられた日時は明後日の正午だった。
私は謁見に備えて準備をするなどという事はせずに、ただひたすらに王都の図書館に通い詰めて謁見の日を迎えた。
師匠に「少しは緊張したらどうですか?」と言われたが、準備すべき事は全て領地で終わらしてきたのだ。
謁見の作法に、正装、魔法銃のプレゼン、などなど。
今更、いったい何をすると言うのだ?
とまあ、こんな感じでやってきた謁見当日。
私は珍しく、父と一緒に馬車に乗っていた。
訂正しよう。珍しくではない。初めてが正しい。
王様との謁見なので、家庭教師は同伴できないのだ。
馬車に揺られながら、王城の堀の上に掛けられた橋を渡って行き、門を通る。
結界に触れた感じがした。
本当に、王都は高性能な結界まみれである。
公にできない方法で魔力を集めないとこんな代物を維持できないと思うのだが。
「ティファニー、何度も言うが、くれぐれも失礼の無いようにな」
「はい、お父様」
私は作り笑顔でそう答えた。
しばらくして、馬車が止まった。
扉が開けられ、父が先に降りた。
それに続き、私も献上用の魔法銃が納められた鞄を持って、降りた。
周りに見られている可能性があるため、私は堂々とした態度で歩いた。
この王都の王城は絢爛豪華である事で有名だ。
真っ白な大理石を主な建材として建てられており、「白薔薇の城」なんて言われていたりする。
実際、噂に負けぬ程、王城は威厳と古くから続く歴史を感じさせる威容を誇りながらも、神聖さをも体現していた。
見た目よりも実用性や堅牢さを重視した帝国の城とは大違いである。
「お待ちしておりました。アシュトン伯爵様、伯爵令嬢様」
王城の侍女と執事たちが一斉にお辞儀をする。
一糸乱れぬ完璧さだ。
しかも、戦闘能力も高い。
流石は王城に勤めているだけの事はある。
全員が上級魔法を使えてもおかしくはない魔力量だ。
私たちは案内の人の後に続いて豪華で長い廊下を歩いた。
城の構造は意外と複雑では無さそうである。
侵入のされなさよりも利便性を追求したようだ。
まあ、どこかに隠し通路や隠し部屋があるだろうが。
しばらく歩くと城の演習場に着いた。
ここが今回の謁見の場所である。
謁見は本来なら謁見の間にて行われるが、今回は非公式の謁見であるし、献上品のデモンストレーションも行うため、演習場で謁見する事になったのだ。
ちなみに貸切ではなく、王族の警護をする近衛騎士がいたるところにいる。
「陛下がお越しになられるまでしばしお待ちください」
どうやら、国王陛下はまだ来ていないようだ。
まあ、当然の事だけど。
身分の低い者より遅く、会場に来るのが、身分の高い人なのだ。
私たちはしばらく待った。
そして、遂にその時が来た。
「国王陛下の御成!」
私たちはそう聞くなり、臣下の礼をした。
常時発動していた『感知魔法』(超微弱)も止めた。
いつも発動していた『感知魔法』を止めたせいで、目が見えなくなったように錯覚してしまう。
『感知魔法』の利便性に依存し過ぎていたな。
私がそんな事を考えていると、足音が近づいてきた。
「面をあげよ」
私はそう言われてから、頭を上げ、国王陛下を拝謁した。
そこには豪華な儀礼服とマントに身を包み、王冠を乗せ、王笏を持つまるで、肖像画から飛び出してきたかのよくな王様がいた。
「息災であったか?アシュトン伯爵。貧民が街に流れ込んだと聞いたぞ?」
「お気遣いありがとうございます、陛下」
「献上したい品があるそうだな。そちらの令嬢が開発者か?」
「はい、娘のティファニーです」
「ティファニー・フォン・アシュトンと申します。お初にお目にかかり光栄です、国王陛下」
「まだ若いのに物怖じせず、堂々としている。将来が楽しみな子だな、アシュトン伯爵」
「はい、末恐ろしい子です」
「それで、どのような品を献上してくれるのだ?」
私は鞄から魔法銃を取り出した。
「こちらでこざいます。魔法銃と名付けた魔法具です。従来の火吹き弓や石飛ばしなどの魔法具よりも威力に優れております。また、魔法を飛ばす魔法具共通の欠点であった射程の問題も解決しております」
私がそう言うと周囲にざわめきが起こった。
実は魔法を飛ばす系の魔法具にはとんでもない弱点があるのだ。
威力、必要魔力量は製作者の技量によって決まるが、射程は使用者の魔力操作能力に左右されてしまうという事だ。
魔力操作能力が低い人が使うと、魔法が飛んでいる最中に霧散してしまうのである。
そこで、私は考えた。
いかに魔力操作能力が低過ぎても、一瞬で霧散するわけではない。
ならば、弾が霧散するよりも早く着弾できるように、弾速を速くすればいいのではないかと。
「それは誠か?」
「はい」
私がそう答えると、「信じられん」とか、「ありえるのか?」とか聞こえてきた。
だが、国王陛下が手を少し動かすと、途端に静かになった。
「では、実際に見せてもらおうか」
◆◇◆◇
御前演習は国王陛下が最も信頼を置く、近衛騎士団の団長ギュスターブと言う人によって行われる事になった。
「それでは、撃ちます」
そう前置きを入れてから、団長は魔法銃に魔力を流し込んで撃った。
弾は魔力の力に頼らなければ追いきれないような速度で真っ直ぐに飛んで行き、的を粉砕した。
「どうであった?ギュスターブよ」
「はっ!魔力の制御を一切致しませんでしたが、ご覧の有り様です。弾を霧散するよりも速く飛ばす仕組みのようです。これを使えば、農民でもこのような結果になるでしょう」
周り近衛騎士たちが動揺している。
当然だな。
これを使えば、たとえ農民だったとしても、不意打ちで尚且つ頭部に命中したならという条件付きで騎士すらも殺せるのだ。
「使い勝手はどうだ?」
「弓や魔法よりも狙うのが簡単でした。また、魔力消費量も下級魔法三発分ほどでした。大量生産し、下級兵に大量配備したら、とても強力な兵器となるかと」
「そうか。ご苦労であった、ギュスターブ」
今更だが、あの献上品の魔法銃は私の魔法銃と色々違いがある。
まず、弾種が通常弾と徹甲弾の二つしかない。
数が多すぎても使いずらいと言うのが大義名分だが、実際は奥の手を隠しておきたいだけである。
次に、精霊石を搭載するのはやめた。
既に魔法具に精霊石をくっつけるという概念自体はある為、わざわざ発表する必要は無い。
次に、『加速魔法』の魔法陣が刻まれている事だな。
私の魔法銃は標的の距離によって使い分けたかったので、あえて刻まれていないのだ。
後は単純に素材と装飾が豪華なところか。
あれは全体的に白くて、金で装飾が施されている。
対して、私の魔法銃には一切、装飾がされていない。
「さて、アシュトン伯爵令嬢よ。素晴らしい魔法具であった。ところで、もしも、あれを量産しようとした場合、一ヶ月で何梃生産できるのだ?」
「現状では百挺が限界かと」
「百か」
魔法具の量産体制を整えるのは難しい。
量産と言う以上、質にばらつきがあってはならない。
しかも、主な使用場所が軍隊なのだ。
尚更、質の均一化を要求される。
なのに、魔法具の質は製作者個人の技量に左右されるのだ。
他にも問題点はある。
魔法具を作ると魔力が結構、消費されるという事だ。
平民の魔法具師の魔力量では一日に二挺ぐらいが限度なのだ。
「現在、量産体制を整えるべく、アシュトンフォードに流れ込んできた魔法使いの中でも見込みのある者の選抜と教育や、他の街での募集などをしていますが、量産体制が構築できるまで五ヶ月はかかるかと」
先程、やたらと問題点を挙げたが、実はとても簡単な対処法がある。
待遇を手厚くすればいいのだ。
そうすれば、数が少ないと言われている魔法具師でも、たくさん集まる。
そうなれば、技量で組み分けをして、質の均一化もある程度は出来る。
平民の魔力量が低い問題も魔力回復薬を飲ませれば解決だ。
まあ、この場合、新たにお金がたくさんかかるという問題点が発生するのだが。
「その量産体制が完成したら、どのくらい生産できるのだ?」
「現状の計画どおりにいけば、月に三千挺ほど生産できるかと」
「随分と増えたな」
「賃金を上げ、大量の魔法具師を動員し、魔力回復薬を飲ませれば、出来るかと。その分だけ必要な資金が高騰しますが」
普通、大量生産すれば安くできるのだが、魔法具だけは別だ。
なんせ、機械化できないからな。
あの大量生産すれば安くなる理論は機械化が可能な場合にのみ成り立つのだ。
まあ、この世界も文明が進めば、魔法具の安価な大量生産が行われるかもしれないが。
「わかった。では、アシュトン伯爵令嬢よ。その事業に対し、資金援助をする。王城の文官も派遣しよう。その代わりに量産体制を素早く整え、大量生産をするのだ」
「かしこまりました、国王陛下」
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