第二十二話 魔鉱迷宮
PV3000突破しました。
誠にありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
冒険者ギルドから出た後、魔法協会と道具屋に行き、迷宮探索に必要な品を買い、英気養うべく屋敷の自分の部屋に帰るなり速攻で寝た。
そして翌朝、魔力が完全復活した私は意気揚々と出発した。
王都の城門はまだ開いていない。
と言うか、開くまで待とうとしたら、二時間はかかる。
なので、門番に賄賂を渡し、非常時に早馬が使う小さな門から外に出る。
尚、貴族としての権利を行使しただけなので、グレーゾーンではあるが違法行為ではない事を強調しておこう。
門を抜けると『身体強化』を発動し、教えられた道を通り、迷宮に向かって走る。
ここまでして急ぐのには単純且つ、極めて重要な理由がある。
早く行かないと良い獲物がなくなるからである。
冒険者とは基本的に強欲だ。
いい獲物は一瞬で狩り尽くされる。
故に急がなくてはならないのだ。
この時間帯なら冒険者は迷宮で野宿している人しかいないだろう。
これなら、やりたい放題できる。
さて、話は変わるが、私のお目当ての魔晶石を手に入れるには二通りの方法がある。
単純に掘る方法と魔物から剥ぎ取る方法である。
それぞれメリットとデメリットがある。
掘る方はまとまった量が手に入るが、魔物由来の物より質が劣る。
魔物から剥ぎ取る方法は質は比較的いいが、量があまり手に入らない上に魔物討伐の手間もかかる。
普通の冒険者なら、どちらで稼ぐのかを迷うところだが、私は別だ。
「私は一人だからな。大量に持ち帰るのは不可能だから、質優先で決まりだな。と言うより、いざと言う時の為に持ち歩く事を考えたら、質優先は当たり前なんだよな」
さて、早く行って、質の良い魔晶石が採れそうな魔物を狩るか。
魔力消費を抑えつつ、『身体強化』で爆走した。
途中で遭遇した魔物は無視し、十数分走り、私は迷宮の入り口に着いた。
ちなみに、この迷宮は冒険者たちから「魔鉱迷宮」と呼ばれている。
そんな魔鉱迷宮の入り口は昔に使われていた坑道である。
なんでも、鉱石が掘れなくなり廃棄された坑道が迷宮化し、再び掘れるようになったらしい。
意味がわからないが、迷宮とはそういうものである。
迷宮内はヒカリゴケと言う自生していた苔のおかげで真っ暗ではなかった。
それでも、十分暗いが。
私は『感知魔法』の反応を頼りに奥へと突き進んで行った。
一層にいるような弱い魔物には用は無いので、発見しても無視してどんどん奥へ進む。
早歩きすること、数分。
私は一層のフロアボスのところに辿り着いた。
『感知魔法』のおかげで最短距離で来れられたようだ。
勢いよく扉を蹴り飛ばし、ボス部屋に乱入し、『爆裂槍』をボスらしき反応に向かって速射した。
一瞬にして、ボスらしき魔力反応(にしては弱いが)が消えた。
人ではない事しか確認せずに始末したが、残骸を確認すると、どうやらアイアンゴーレムだったようだ。
ただの鍬で武装した魔力がちょっとだけしか使えない村人五人組でも勝てる相手でだった。
『爆裂槍』はオーバーキル過ぎた。
戦闘時間、一秒未満とは瞬殺し過ぎたな。
まあ、魔法使いの戦いの鉄則は先手必勝、不意打ち、一撃必殺だと師匠が言っていたからいいか。
一応、魔石だけは回収してから、私は次の階層に降りた。
事前情報によると、ここの迷宮は宝箱がないらしい。
つまり、最短距離で踏破しても問題が無い訳である。
と言う訳で、私は目的の高品質の魔晶石が採れそうな魔物が出てくるような深い階層まで爆速で踏破する事にした。
『身体強化』と『感知魔法』を常時発動し、脳内で迷宮の地図を作成しつつ爆走、魔物と遭遇しても無視、どうしても邪魔なら魔法銃で排除、ボス部屋は反撃される前に一撃必殺&瞬殺、途中で迷宮内で野宿していた冒険者と遭遇しても無視。
と言う具合で私はあっという間に二十層まで踏破した。
補足だが、ボス部屋は階層ごとにあるわけではない。
浅い階層(一層目を除く)にはあまり無いのが普通だ。
他にも五層ずつに存在するタイプもある。
「さて、二十階層のボスはどんなやつだろうな。これで五体目のボスなんだから、強いかな」
私は『身体強化』で爆走しつつ、部屋に飛び入った。
そして挨拶がてら、『爆裂槍』を十本ほど撃ち込んだ。
ちなみに、『爆裂槍』を十本も発射したのは、二十層のボスは十五層のボスよりもそこそこ強めだと聞いたからである。
ボスらしき魔力反応に『爆裂槍』が着弾し、大爆発が起きる。
ボスがまだ生きているのを目視で確認すると追加の『爆裂槍』も撃ち込んだ。
『魔力感知』に反応があったので、急いで横に飛び、反撃を回避する。
「あんなに『爆裂槍』を撃ったのに生きているなんて。流石はボスと言ったところだな」
相手はゴーレムなので、生きていると言うより、稼働と言う方が適切だが、そこは気にしない。
回避する前にいた場所を確認すると、床が砕けていた。
「威力が高いな」
私は少々間が抜けている声でそう呟いた。
ゴーレムは威力を上げる為に巨大にしたり、出力を上げると、小回りが効かなくなり機動性が落ちる。
つまり、この目の前の巨体のミスリルゴーレムは鈍足なのだ。
おそらく、対鉱石系の魔物対策として重装備をしてきてしまい、機動力が無くなった冒険者をボコボコにする分には十分速いし、強いのだろう。
だが、素早く動き回る魔法使い相手に闘う事を微塵も想定されていない。
まあ、素早く動く魔法使いが少数派なので、当たり前と言えば当たり前である。
私は魔法銃を構えて、徹甲弾を連射した。
一応、効果はあるようだが、なんせ相手は巨体な上に硬いのだ。
こんな小銃では高が知れている。
こうなったら、魔法で大砲バージョン撃つか。
「この距離なら追尾機能はなしでいいか。弾は大口径にして、弾速よりも質量と爆発力優先で作るか。相手は純度は低そうでもミスリルの塊だからな、生半可は威力じゃあ、駄目だな」
私はゴーレムのパンチや体当たりなどの遅い過ぎる攻撃を躱しながら、呪文の組み合わせを考え、杖を取り出して詠唱を始めた。
まずは、『風壁』で砲身を作っていく。
勿論、大口径だ。
そして、今度は砲弾を作る。
『岩投槍』を無詠唱で発動し、砲身の口径と同じ太さの岩の弾丸を作る。
密度を高めた為、とても重い。
最後に弾頭に『爆裂魔法』を仕込む。
そして、ゴーレムに狙いを定めて『加速魔法』をかける。
弾がとても重いため、これでもかと言うほど『加速魔法』に魔力を注ぎ込む。
最後の仕上げに即行で考えた魔法名を唱える。
「『砲撃魔法』」
あまりにもそのまま過ぎる魔法名を唱えると巨大な弾はミスリルゴーレムの首のあたりに着弾し、大きく凹ませ、爆発した。
ただでさえ、砲弾の運動エネルギーにより折れかけていた首が完全に吹き飛んだ。
「『爆裂魔法』を仕込んだだけのことはあるな。本当は胸部に撃ち込みたかったけど、そうすると核まで吹っ飛ぶからな」
私は念の為に吹っ飛んだ頭部に『爆裂槍』を無詠唱で撃ち込み、破壊しながらそう呟いた。
そして、倒れたゴーレムに慎重に近づき、魔法袋から取り出したツルハシで胸部を掘り始めた。
見た目が完全に死体蹴りだが、仕方が無い。
私の弱すぎる腕力では掘られないので、『身体強化』で体を強化してからツルハシに魔力を込め、頑張って掘った。
しばらく掘ると、遂にゴーレムの核が姿を現した。
結構、質の良い魔晶石だった。
弱いゴーレムと違い、良いゴーレムは基本的に充電式だから、核は魔石ではなく、魔晶石だろうと思ったのだ。
私は掘り出した魔晶石を取り外し、魔法袋に仕舞った。
ミスリルが含まれているはずなので、ゴーレムの残骸を回収するべく、『爆裂槍』で解体した。
魔法袋の入り口が小さいため、解体する必要があるのだ。
解体を終えて全部を収納すると、ゴーレムが巨大だったせいで、新しく道具屋で買った魔法袋が二つも一杯になってしまった。
全てを回収し終えた私はゴーレムの撃破と共に出現した階段で下の階の広場のような場所に降りた。
ボス部屋の次の場所は何故かセーフティーエリアになっている事があり、魔物が襲いかかってこないのだ。
勿論、わざと誘導して呼び寄せた場合は除く。
そのため、よく冒険者が休憩場所として利用されている。
実際、目の前には迷宮内で野宿していたであろう先着の冒険者パーティーが休憩していた。
冒険者同士が迷宮で遭遇しても、無視が暗黙の了解なので私は無視しようとしていた。
だが、相手は声を掛けてきた。
「嬢ちゃん、ここは危ない所だぞ。一人かい?仲間はどうしたんだ?」
「元から一人ですが、何か?」
「ここから先は危ない所なんだぞ。パーティーを組まなくても大丈夫なのか?良かったらうちのパーティーに入るかい?」
親切心か、打算か、邪な気持ちによって話しかけてきたのかは分からない。
実際、こんな感じで話を持ち掛けられ、迷宮内で即席のパーティーを組んで途中で裏切られたと言う事件もあるぐらいだ。
基本的によく知らない冒険者を信用してはいけないのだ。
「冒険者を見たら、まずは盗賊だと思え」と言う格言があるほどだ。
少なくとも自分の名前を明かさないやつとはパーティーを組むつもりは無い。
「結構です。一人で行ける所まで行くだけですから」
「でも、ほら、危ないだろ。それにもう一人、魔法使いが加わってくれると、火力が上がって攻略が楽になるんだ」
「あのゴーレムを突破したはずのパーティーの火力ならこの階層の魔物ぐらい、さくさくと倒せると思うので大丈夫ですよ。では、さようなら」
あの手の話に乗っかると、裏切られずとも、後で報酬で揉める事もある。
断る一択である。
私は魔力回復薬を一瓶、飲み干してから『身体強化』を発動し、再び走り出した。
よろしければ、高評価、ブックマークお願いします。




