第十七話 山賊たちの拠点にサプライズ訪問!
投稿してから、色々と気になって修正を入れたくなる現象発生中。
私たちはあの山賊から聞き出した本拠地の入り口の前の茂みにいた。
「師匠、ここのようですね」
「そうみたいですね。中にいる山賊は二十五、魔法使いはその内の一人だけですか」
「意外と居残り組は少ないのですね」
「大人数で襲撃した方が成功率も上がりますし、戦利品の運搬も楽だからでしょう」
「奥に随分と弱った反応がありますけど」
「連れ去られた女性でしょうね」
「やはり、山賊は抹殺すべきですね」
「では、見張りを排除しましょうか」
「はい」
「私が左を狙うのでお嬢様は右を狙ってください」
「わかりました」
私は魔法銃を構え、殺さないように見張りの腹部を撃った。
師匠は『石弾』でもう一人の見張りの腹部を撃っていた。
すぐ側なのに、魔力をあまり感じなかった。
やはり、師匠の魔力操作能力は凄い。
「師匠、この気絶した奴はどうしますか?」
「後続の騎士が来るはずなので任せましょう」
「一応、念の為に『麻痺』をかけておきます」
「そうしてください」
無詠唱で一人ずつ『麻痺』をかけた。
「これで、しばらくは動けません」
「闇魔法、意外と便利そうですね。私も習得してみましょうか?」
基本四属性は光属性や闇属性の相性が悪いため、適性属性が土属性の師匠が闇魔法を習得するには相当な努力が必要となるが、まあ何事にも例外はある。
「師匠ならできますよ」
お世辞ではなく、本当に習得できそうで怖い。
師匠が闇属性の上級魔法を使っても、違和感が無い。
「ありがとうございます。さて、突入しましょうか。まずは攫われた人のところに急いで行きますよ。人質にされると面倒ですし」
「はい」
私たちは『感知魔法』で洞窟の構造と山賊の配置を魔法使いに勘付かれないように慎重且つ迅速に調べつつ、洞窟内に侵入した。
「中は暗いので足元に気を付けてくださいね。まあ、盗賊が焚いた灯りがありますし、『感知魔法』で地形を完全に把握することもできますから、大丈夫でしょうが」
「改めて『感知魔法』の便利さを実感させられますね」
「これで、魔力消費の激しさと制御の難しさがどうにかなったら、最高なのですが」
「いや、師匠、そんなに魔力消費していませんよね?しかも物凄く簡単そうに使っていますよね?」
「一応、面倒だなぐらいには思っていますよ?そう言うお嬢様も涼しげな様子で使っていますよね?」
「寝ている間以外、常時展開していたおかげです」
「お嬢様も大概ですね。さて、構造も把握できましたから、攫われた人の救出に向かうとしましょう」
「はい」
途中で出会った山賊は手早く、気絶させながら、洞窟の中を『感知魔法』を頼りに進んでいく。
そして、『身体強化魔法』を使いながら進むこと十数分、攫われた人たちのところに着いた。
「なっ!侵入者だと!見張りは何をやってぇ……」
私は勢いよく突入し、如何にもなセリフを吐く居残り組のトップらしき魔法使いに魔法銃で榴弾三連発を喰らわした。
「お嬢様、私は攫われた女性たちの保護と治療をしてきますので、そちらは任せました」
「こいつなら、既に気絶させたのですが」
「討ち漏らしの事ですよ。残り、十四います」
「わかりました」
私は気絶した魔法使いから魔法具らしき物と杖を取り上げ、魔法袋にしまった。
そして、強めに『麻痺』をかけた。
更に、魔法がしばらく使えないようにするために『封印魔法』を掛けた。
『封印魔法』と言っても、一時的に魔法を使えなくするだけのしょぼいやつだが、まあ、こんな下っ端感丸出しの三流盗賊にはちょうどいいだろう。
「さて、残敵掃討するとしますか」
私は自分自身に『身体強化魔法』をかけ、『感知魔法』の出力を絞るのをやめた。
敵に魔法使いはいなくなったため、逆探知される可能性が消えたからである。
出口付近の敵から効率的に倒していく。
もちろん『麻痺』をかけ忘れる事はない。
こうして、名も無き(知らないだけ)盗賊団は突入から三十分足らずで全滅したのであった。
◆◇◆◇
その後、アシュトン領の騎士が呼んできた町の衛兵に捕縛した賊を全員、引き渡した。
ちなみに、アジトにあったお宝は師匠と私で山分けした。
この世界において、盗賊の持ち物は討伐した者の物になる。
とは言え、めぼしい物はなかった。
精々、私が持っていた魔法袋と同じぐらいの容量の魔法袋が手に入ったぐらいだ。
まあ、時給換算したらあの冒険者ギルドでの金策にも劣らないが。
ん?そう考えると盗賊狩りって、なんて素晴らしい金策なんだろう!
今度、またやろう!
「ところで師匠、あの山賊たちはあの後、どうなるのですか?」
「鉱山奴隷になります。一生、過酷な労働をして、今までの罪を悔い改める事になります」
一生、ね。老いて奴隷として使いようがなくなる前に死ぬと言う事か。
今更だが、この王国には奴隷制が存在する。
奴隷には二種類の奴隷が存在する。
借金を返せずに奴隷となった、借金奴隷。
犯罪を犯し奴隷となった、犯罪奴隷。
まあ、他にも連れ去られて奴隷にされた違法奴隷もいるが、それは割愛。
借金奴隷は比較的扱いがいい。
中には教養を詰め込まれて高級奴隷として売られる者もいる。
だが、犯罪奴隷は悲惨だ。
扱いが家畜以下なのである。
基本的に使い捨てで、動けなくなるまで働かせたら、捨てられる。
そんな扱いなのである。
まあ、山賊の末路には相応しいとは思うが。
ちなみに、我が国は違法奴隷が比較的少ないとされている。
「可哀想だと思いますか?」
「いえ、まったく。自業自得だと思います」
「お嬢様ならそう言うと思いましたよ。ですが、人前ではそんな事を言ってはいけませんよ。一応、聖女なのですから」
実は、教会と和平してから私は教会から聖人認定を受けた。
つまり、今の私は非公式聖女ではなく、公式聖女なのだ。
教会の聖女には二種類の聖女がいる。
神聖魔法及び光属性に適性があり、教会本部で教育を受けた職業としての聖女。
活動が評価され、聖人認定された称号としての聖女。
私は当然、後者の聖女だ。
リシアが推薦してくれたらしい。
教会本部も私と親密アピールをして周辺の街の教会への不信感を吹き飛ばしたかったようだ。
信者が減ってこの大陸での存在感がなくなるのをよっぽど恐れているようだ。
この大陸におけるオーツ教信者なんて、この国にしかいないからな、そりゃそうか。
私としても教会とは仲良しアピールがしたかったので断る理由が無かったので、受けた。
「安心してください。そんなヘマはしませんよ」
「お嬢様の安心してくださいは安心できないのですが。それはそうと、これがお嬢様の分ですよ」
師匠が大銀貨の入った皮袋を渡してきた。
「これは?」
「報奨金です。受け取ってきました。なんでも、あの盗賊団は結構有名なやつらだったそうです」
「弱かった気がするのですが?」
「不意打ちだったからでしょう。普通、千五百mから爆裂する槍が飛んでくるとは思いませんよ。感知圏外からですよ?」
「確かにそうですね」
ん?
もし、相手が同じ方法で狙撃してきたら、どうやって避けよう?
迎撃なんて間に合わないな。
まあ、王都に着くまでに馬車の中で考えるか。
「それにしても、たくさんお金が入っていますね」
「冒険者ギルドで貼り出されていた山賊の討伐クエストの報酬、町からの報奨金、賊の受け渡し料を合計した結果ですね。特に最後!全員、四肢の欠損もなく捕えられたのが大きかったのです」
「しかも、アジトで回収したお金もありますからね」
「盗賊狩りは金策としても、治安維持としても、いいですね」
「そういえば師匠、あの保護した女性たちはどうなりましたか?」
「引き渡しました。身元がわかった者はそこに送り返されます」
「わからなかった者は?」
「町で第二の人生を送る事になります」
師匠はぼかして言ったが、新しい場所でしかも襲われて間もない人が簡単に暮らしていけるとは思えないが。
この世界は物騒である。
「盗賊は狩るべきですね」
「その通りですね。さて、そろそろ出発するようなので馬車に乗りましょうか」
「はい」
私たちは再び馬車に乗り込んだ。
そして、進み始める馬車。
私は再び確信した。
歩いた方が速いと。
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