第十三話 魔法具作り
第十二話のエピソード名が未設定と言うあり得ないミスをしていたので、慌てて修正しました。
ごめんなさい。
私がそう唱えると、発射された弾は鎧を貫いた。
反動が無いためとても撃ちやすかった。
「おお、鎧が貫通されてやがる。すげぇな」
「下級魔法五発分ぐらいの魔力でこれなら、効率はいいですね。後は射程と精度を試したいのですが」
「それはこんな狭い所じゃだめだな。あんたの屋敷なら試せるんじゃないのか?」
「では、貴方もついて来て下さい」
「おいおい、俺みたいな平民が貴族様の屋敷を行っても大丈夫なのか?」
「いいんですよ。平民が出入りする事なんてよくある事ですし、職人の方が直接見た方が気づく事もあるでしょ」
「じゃあ、ありがたく行かせてもらうぜ」
◆◇◆◇
私たちは歩きながら銃について意見を交わした。
「魔法で弾を直接、装填できねぇのか?そしたら素早く撃てるし、連射もできるだろ?」
「いい案ですね。慣れればできると思います。今は慣れてないので薬室にピンポイントで出せられないのですよ」
「なるほどな。とこでよ、弾を炸裂させたら強いんじゃね?」
「その弾なら既に開発しました。榴弾と言います。昔、魔法を開発していた時に作りました。他にも徹甲弾と言って硬い魔物を貫く弾も開発しました。重くして貫く物と速くして貫く物を作りました」
「重くて、速くて、炸裂する弾はどうだ?」
「それも昔作りました。魔力消費量が跳ね上がって実用的ではない物になってしまいましたが」
「なるほどな。ところで、銃を改良するならどこを改良して欲しい?」
「銃身の長さと内部の溝ですね。最適な回転数が存在するはずなのですよ」
「それは試行錯誤で探すしかないな。にしてもあの溝をまた彫るのか。あれ、結構手間が掛かるんだぞ」
「頑張ってください。銃の改良は貴方でないとできないのですから。私はその間、魔法の改良をします」
「鍛冶は俺、魔法はお前だな」
そんな会話をしていると、直ぐに屋敷に着いた。
私はガストンを訓練場に案内した。
「ここです」
「おお、ここなら射程も精度も測れそうだな」
「そうですね。では撃ちますよ」
私は無詠唱で弾を作り装填すると、的に向かって構えた。
そして、無詠唱で『加速魔法』を発動した。
すると、弾は真っ直ぐに飛んで行き、的に当たった。
「無言でも魔法を使えるんだな」
「無詠唱魔法です。にしても、流石に上級魔法でようやく壊せる的は流石に破壊できませんか。精度は結構いいですね。職人の腕と銃身が長いおかげですね」
「ありがとうよ。で、溝の方はどうだ?」
「比較対象がないのでなんとも言えません」
「そうか、今度は何梃か作って比較するか」
「そうですね。不採用になった銃は魔法具作りの練習に使ってもいいですか?」
「おお、もちろんいいぞ。それじゃあ、俺は銃を作ってくる」
「いつぐらいになりそうですか?」
「何挺も作りたいからそうだな、二週間くれ」
「わかりました。では、またニ週間後にお会いしましょう」
「おう、じゃあな」
こうして、私の魔法具作りが始まったのであった。
◆◇◆◇
「魔法具を作るには魔法陣の形に溝を彫ります。そこに溶かした魔鉄を魔法を発動する際のイメージをしながら魔力を込めて流し込みます。冷えてから魔力を流し込み魔法が発動したら成功です」
「わかりました!」
私は今、師匠から魔法具の作り方を教えてもらっている。
「では早速やってみましょう。お嬢様、この魔法陣が何の魔法かわかりますか?」
師匠は懐から魔法陣が既に彫られた板を出した。
魔法陣に描かれている術式は知識さえあれば解読する事ができる。
ちなみに師匠によると、私は幼い頃から魔法関連の勉強をしてきたおかげか、解読速度が物凄く速いらしい。
「『氷球』の魔法陣ですか?」
「その通りです。ウィスキーを飲む時の相棒です」
師匠は実はお酒が好きである。
よくバルコニーで月を眺めながらお酒を飲んでいる。
氷で割っているあたり、あまりアルコールに強くは無さそうだが。
「まあ、お嬢様も大人になったらお酒の素晴らしさが理解できますよ。では、魔法陣を刻む練習をしましょう」
「師匠、魔法陣を彫る練習はしなくてもいいのですか?」
「それは職人の仕事です。魔法使いは彫る練習をする時間があったら刻む練習をするべきなのです」
「わかりました。ところで師匠、魔鉄はどこですか?」
私がそう聞くと、師匠は懐からインゴットを取り出した。
「ここです。さあ、溶かしてみましょう」
「その前に師匠、なぜ懐からインゴットが出てくるのですか?」
「そう言えば教えてませんでしたね。ローブの内ポケットを魔法具にして拡張しているのです。やり方は簡単です。ローブの内側のポケットを魔法袋のように魔法で拡張するだけです」
「どうしてそこに色々な物を収容するのですか?」
「魔法使いはここに全てを収容するべきと言うのが私の持論です。利便性が素晴らしいのですよ。外側からは取れないので物取りに盗られないのですよ。そして、式典のような武器を持ってこれないような時でも杖を忍び込ませられるのです」
最後だけ、想定が物騒な気がする。
なぜ、式典で杖を使う事になる事態を想定しているの?
「師匠から物を取れる物取りなんて冒険者として活躍した方がいいんじゃないですか?」
「そうですね。Bランクまで確定で上がれますね。まあ、そんな事をおいておいて、このインゴットを溶かしてください」
「わかりました」
私は無詠唱で『火球』を発動した。
ただの『火球』では魔鉄を溶かすには火力が足りない。
だから、『火球』を小さくし、魔力を馬鹿みたく注ぐ。
「魔法陣制御力に物を言わした力技ですね。まあ、効率はいいのですが」
魔法は基本的に魔力を大量に注ぐと、効果も増す。
だが、多すぎると魔法陣が崩壊する可能性が上がる。
故に魔法陣が崩壊しないように制御する必要がある。
まあ、つまり集中力が物凄く要求されて、とても疲れるという事だ。
私はやっていて思った。
これは魔力の効率はいいけど、疲れると。
後で、『加速魔法』ならぬ、『加熱魔法』を作ろうと決意した私であった。
火を当て続けると直ぐに魔鉄が溶け始めた。
「イメージを魔力に乗っけて、その魔力を均一になるように魔鉄に込めて、溝に流し込んでください」
「はい!」
私は『氷球』を発動する際のイメージを魔力に乗せて魔鉄に込めた。
魔力との親和性が比較的高く、魔力が込めやすいとされている魔鉄だが、あまり物に魔力を込めた経験が少ないせいか、少しだけ手間取った。
魔力を込め終えると溝に流し込んだ。
「できました!」
「初めてにしては上出来ですね」
「そう言えば師匠、どうして『氷球』の魔法を指定したのですか?」
「実は今日、お酒が飲みたい気分でしてね。お嬢様の作る氷は何故か美味しいのですよね。魔法具を作ってもらえば、あの美味しい氷が飲み放題だと気づいたのですよ」
あっ!そう言う事か。
前に水属性の派生属性である氷属性の魔法を教えてもらっている時、師匠が「お嬢様、美味しい氷を作れたりしませんか?」と尋ねてきたので、ミネラルウォーターをイメージしながら氷を作ったのだ。
「師匠、その『氷球』はただの氷ですよ。普通の水をイメージしたので」
空気中の水蒸気の味がどんなものなのかは知らないが、ミネラルウォーターほど美味しいとは思えない。
「お嬢様、作り直しましょう。もう一度やり直すのです。反復練習にもなります」
「はい」
その後、いつもよりも熱血教師になった師匠であった。
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