第十二話 資金問題の画期的解決策
PV1000突破記念に本日、二話目投稿してみました。
本当にありがとうございます。
資金問題、それは古今東西、何かをしようとすると誰しもが直面する問題である。
今は教会から押収した資金があるが、都市全域を覆う大城壁を拡張しようとしているのだ。
しかも、その他諸々もしようとしているのだ。
当然、足りない。
色々と資金をやり繰りしているが、足りない。
圧倒的に足りない。
人口が増えたからと言って税収が上がるかと言うと実は、直ぐには上がらない。
なぜなら、仕事も急に増えたわけではないからだ。
一応、希望した仕事のない者を働き手の足りていない農村に送ったり、冒険者になりたいと言った者を冒険者ギルドに送り込んだりはした。
でも、それらの結果が出るには数年はかかる。
商人から借りるのは良くない。
とんでもない暴利を貪ってくるからである。
昔からの付き合いがある商人なら話は違うが、うちにそんな人脈はない。
増税は論外だ。
人口が急激に増え、混乱している街でそんな事をするのは愚策すぎる。
ただでさえ、食料の値段が高騰しているのだ。
暴動が起きかねん。
「仕方が無い、商売するか」
素人が商売。
普通なら愚策だろう。
だが、私には一つだけ、これなら売れると確信している物がある。
武器である。
今、王都では派閥争いが起こっている。
直接的な武力衝突は無いが、それでも武器の需要が高まっている。
間違いなく売れる。
しかも、上手くやれば貴族や王族とのコネも作れる。
プランはこうだ。
王位を争っている、第一王子と第二王子と第三王子には武器を売らない。
では、どこに売るのかと言うと、王様に売るのである。
つまり、国王派につくのである。
国王派と中立派は仲が良い為、中立派のアシュトンの人間である私が、国王派についても問題にはならない。
もちろん、対人用としてだと聞こえが悪い為、対魔物用として売る。
偶然にも魔物相手よりも人間相手の方が使い勝手が良かっただけの話だ。
そして、力を持った王に次の王を決めてもらい、他の派閥を黙らせる。
私は武器が売れて儲かる。
国は無駄な争いをせずに済む。
完璧な計画。
ちなみに銃なら、既にこの世界にはある。
ライフリングすら刻んでない単発の見栄えだけが立派な貴族の道楽用のお粗末な物がではあるが。
まあ、この世界で火薬技術が発達しないのは、当たり前と言えば当たり前である。
そんな物よりも魔法の方が実用的であるからである。
火薬をわざわざ生産する?
火魔法を使えばいいじゃないか!
となるのである。
実際、私もそう思う。
故に私は魔法具としての銃を作ろうと思う。
今更だが、魔法具とは物体に魔法陣を刻み込み魔力を流しただけで誰でも魔法が使える道具の総称である。
構想は割と昔から練っていた。
『石弾』を『加速魔法』で加速し、「魔法具の射程問題」と言う問題を解決する。
ちなみに、「魔法具の射程問題」とは要するに使用者の魔力操作能力によって射程にばらつきがあると言う問題の事だ。
もしも解決できたら、素晴らしい発明になるだろう。
欠点は魔法具である以上、その場で『加速魔法』に込める魔力量を変える事はできない事だが、誰でも簡単に中級魔法並みの攻撃ができるという大きな利点の前に霞んで見えるだろう。
「聖女様、どうされましたか?」
どうやら、熟考し過ぎたようだ。
「資金不足の解決方を考えていました。ちょうどいい事を思いついたので早速、試してきます」
「資金問題の解決策を思いつかれるとは流石、聖女様!」
聖女ね。
「では、実験の前に怪我人の治療をしてきます」
こうして、私は元教会に行き『中位範囲治癒』を数回、使ってから屋敷に戻った。
◆◇◆◇
私は屋敷に戻り、師匠に会いに行った。
「魔法具の作り方を教えてください」
「唐突ですね。どうしてそうなったのですか?」
「工事の資金不足を賄う為です。武器を作って国王に売り込むのです」
「なるほど。それで、どんな武器を作るのですか?」
「銃です。『石弾』を『加速魔法』で飛ばすのです」
「なるほど。単純ですね。それなら、魔力消費量も抑えれて、コストも安くできますね。そう言えば昔、どこかの国の研究者が火薬で金属の球を飛ばす兵器を作り、『銃』と名付けていましたね。
「はい、それの魔法具版です」
「確かに、強力な兵器になりそうですね」
「なので、魔法具の作り方を教えてください」
「魔法具を作るには魔法具にしたい物に魔力を込めながら特殊な金属で魔法陣を刻みます。つまり、魔法具の銃を作りたいのならば、まず銃を手に入れなくてはなりません」
「その銃も色々と改造をしたいのですが」
ライフリングとか、銃身の長さとかを。
魔法で球を飛ばすなら、要らない機構なんて邪魔でしかないし。
「では、街の工房に行って要望を伝えて試作品の銃を作ってもらっては?」
「なるほど、ありがとうございました。早速、工房に行ってきます!」
「待ってください。どこに工房があるのかお嬢様は知りませんよね?私が案内してさしあげます」
「ありがとうございます」
私はどんな感じで作ってもらおうか考えながら、街に向かった。
◆◇◆◇
屋敷を出た私たちは街の商業区画に行った。
「ここが街一番の腕前の工房です。早速、入ってみましょう」
中に入ると若い店員さんがいた。
「あっ!聖女様!この工房に何の御用でしょうか?」
聖女ね。
これから武器を作ってもらおうとしているから、皮肉に聞こえてしまう。
「実は対魔物用の新しい武器を考えていまして、その事で親方と相談がしたいのです。お時間よろしいでしょうか?」
「はい!親方に確認して参ります!少々お待ちください!」
そう言うと青年は奥に走り去っていた。
そして直ぐに、親方と思しき筋骨隆々で短躯なドワーフの男性が奥から現れた。
ドワーフだ!ファンタジーの代名詞(異論は認める)の一つ!
初めて見た!
「お忙しい中、お時間をいただきありがとうございます」
「前置きはいらん。あんたが、聖女とやらか。で、どんなもんを作ってほしいんだ?」
どうやら、質実剛健な方のようだ。
では、早速本題に入らせてもらおう。
「簡単に言うと銃のような物です」
「銃だと?俺はあんなお遊び用の道具なんて、作らんぞ!」
「私もお遊び用の物はいりません」
「ほう、ではどんな銃を作ってほしいんだ?」
「精度を上げるため、銃身を長くし内部に薄い螺旋状の溝を彫って欲しいのです。口径は弾よりもほんの少しだけ細くしてください。それと、魔法具にするので、弾の発射機構はいりません」
「なぜ、螺旋状の溝を彫るんだ?」
「弾は回転しながら飛ぶと何故か、弾道が安定するのですよ。魔法の練習中に偶然気がつきました」
私もジャイロ効果の詳しい理屈は知らない。
だが、重要なのは過程ではなく、結果なのだ。
理屈なんぞ、どうでもいい。
「なるほど、面白い。いいだろう、作ってやろうじゃないか!これでつまらん物になったら承知しないからな!」
「ええ、もちろんです」
「一週間後に来い。このガストンが素晴らしい物を作ってやる」
「わかりました」
◆◇◆◇
そして一週間後。
「要望通り、作ってやったぞ」
ガストンさんはそう言って、前世で教科書で見た火縄銃のような物を持ってきた。
「銃身は鋼で作った。材木は普通のやつだが、試作品なんならそれで十分だろ」
「そうですね。これから改良を重ねないといけませんからね。さて、試し撃ちしたいのですが、どこでやればいいですか?」
「裏でやれ。試し切り用の庭がある。まあ、剣の試し切り用の庭だが、ある程度は代用できるだろ。ついて来い」
そう言って、奥に進んでいくガストンさんについて行った。
奥に進むと、カンカンと鉄を鍛える音が聞こえてきた。
鍛冶場特有の音楽を楽しんでいると、すぐに着いた。
「着いたぞ。ここからあの鎧を狙いな。壊しても構わん」
「壊してもいいとは、大盤振る舞いですね。ありがとうございます」
「廃品だから気にすんな。さっさと撃て。こっちもそれがどんなもんか、気になっているんだよ」
「私もですよ。では、『石弾』」
私は銃の薬室を見て、弾の大きさを確認しながら魔法で弾を作った。
作った弾を銃を装填して、私は銃を鎧に向かって構えた。
「『加速魔法』」
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