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ナイトクラブのアイドル 2

 朝礼を終え、職場である五階のVIPルームに上がった岳は、さっそく予約台帳を確認することにした。


「高木さん。予約台帳、見ていいですか」

「もちろん。はい、今日もよろしく」


 自分たちより一足先に上がっていた高木が、相変わらずの笑顔で先ほどの台帳を差し出してくれる。


「確認し終わったら、いつも通り受付カウンターに置いといてね」

「わかりました」


 予約台帳を渡した高木は、そのままネクタイの先端をワイシャツの胸ポケットに収めると、カーテンで仕切られたバックヤードへ入っていった。いつものように箒やちり取りを出して、みずから五階フロアを掃除して回るのだろう。


「高木さん、私、おしぼり巻いておきます」

「届いたリキュール、チェックしまーす!」


 チーフの背中に他のスタッフたちも次々と声をかけ、VIPルームは開店に備えてスムーズに動き出した。

 総支配人の石川が親分肌ならば、高木は優しい兄貴分といった感じの幹部スタッフだ。親しみやすい笑顔と落ち着いた人柄で、岳たちアルバイトが何かミスをしても、決して声を荒げるようなことはない。「やっちゃったもんは、しょうがないからね」と割り切りながら原因を確認し、適切なリカバリー方法を教え、ときには自分でお手本を見せてくれたりもする。


 VIPルームに配属当初の岳が、スパークリングワインのコルク栓を音高く抜いてしまい、しかも天井にまで飛んでいくという大失態を犯したときもそうだった。

 スパークリングワインの類いはそうならないよう、トーションと呼ばれるサービス用ナプキンで瓶の口をくるんだり、コルクを上手に親指で押さえたりしながら、静かに抜栓するのがサービスマンとしてのマナーとされている。そのときの岳もトーションを使ってはいたが、お客様を待たせてはいけないという思いが先行するあまり、一気に緩めてしまったコルクが、ポンッ! という見事な破裂音とともに飛び出してしまったのだ。

 幸いコルクは誰にもぶつからなかったし、テーブルにも落下しなかったものの、複数組いたVIP客は当然ながら皆びっくりしていた。


「し、失礼しました!」


 慌てて謝る岳の背後から素早く、けれども落ち着き払った歩調で現われたのが、高木だった。


「大変失礼致しました。開けたのはうちの新人ですが、ボトル自体もスパークリング・ヌーヴォーだったので、想定以上に活きがよくなってしまったようです。お詫びというわけではございませんが、せっかくですからこちらのスパークリング・ヌーヴォー、VIPルームにいらっしゃる皆様全員で、一緒に味わってみませんか。今年の葡萄も美味しいですし、もちろんこの場に居合せていただいた方々にだけの、内緒のサービスですよ」


 最後はいたずらっぽく唇に指を当てた彼が、既に用意していたワインクーラーを掲げてみせると、逆にすべてのテーブルから一斉に拍手が湧いた。岳がサーブに失敗した目の前の社長さん夫妻も、「気にしなくていいよ。むしろ盛り上がってるじゃないか」と笑顔で言ってくれて、あっという間にフロアの雰囲気はもとに戻ったのである。


「申し訳ありませんでした……」


 定位置のVIPルーム受付カウンターに戻った高木を追いかけて、岳はすぐに謝った。


「ミスだって認識して反省もできてるんだから、全然大丈夫。それにここだけの話、ちょっと助かったよ。キャンペーンだとかで業者さんから、スパークリングを何本かもらっちゃってたんだ。でも全部ヌーヴォーだから、話題になってるうちに飲んでいただいた方がいいでしょ」

「はあ」

「それでも余ったら三階に下ろして、イケメンコンビにカクテルの材料にしてもらえばいいしね」

(かい)(どう)さんとジュリアンさん、ですね」


 アーステーブルのときと同様、研修期間中、世話になった二人のバーテンダーの名前を岳も口にした。

 三階バーラウンジ、ユア・ヘヴンの看板バーテンコンビ、(かい)(どう)(かっ)(ぺい)()(しろ)ジュリアンは高木が言う通りのイケメンコンビで、彼らを目当てにリベルナに通う女性客も多いらしい。海道の方は愛想のよいトークで盛り上げながらのサービスを、ドイツ人とのハーフであるジュリアンは、クールに振る舞いながらも鋭い洞察力でやはり気の利いたサービスをしてくれるので、特に彼らの目の前となるカウンター席は、いつも取り合いになるほどなのだとか。


「なんかもう、あそこまで行くと二次元の人ですよね。アニメとかゲームに出てきそう」


 その何日か前、電話で話したときに芹奈もそんなことを言っていたが、すぐに、


「私はもうちょっと現実的っていうか、親しみやすい感じの方が好みですけど」


 と、複雑な顔になりかけたこちらを見ているような台詞も続いたので、少し――いや、かなりほっとしたのはここだけの話である。

 なんにせよ、そうやって次の手まで考えたうえで、高木が見事にフォローしてくれていたことがわかり、岳はあらためて感謝するしかなかった。


「ありがとうございました。本当に」

「いやいや。むしろ岳君は、よくやってくれてるよ。俺なんて新人の頃、同じミスで照明割っちゃったことあるもん」

「え? 高木さんがですか?」

「うん。あれ? 言わなかったっけ? 俺もまったくの未経験で、この業界に入ったんだよ」


 軽い口調で教えてくれたところによれば、三十五歳になる高木は、なんと大学を卒業してから五年ほど、小学校教員をしていたのだという。


「な、なんで学校の先生からクラブの黒服に?」

「ふっふっふ。この話は、また岳君が何かミスったときのフォローがてら教えてあげよう。ほら、テーブル回って、空いてるグラスとかお皿がないかもチェックしてきて」

「あ、はい!」


 小型のカウンター越しにポンと肩を叩かれた岳は、


 だからって、ミスするわけにはいかないよな。


 と気を引き締め直して、仕事へと戻ったのだった。




 かように人当たりのいいチーフが率いていることもあってか、五階のVIPルームも売上は好調のようだ。四階を見下ろせるダンスビュー・エリアも含めて、全部で八卓あるテーブルは、平日の夜でも大部分の時間で半分以上が埋まっている。今では岳もすっかり慣れたが、常連には芸能人やスポーツ選手、政治家や大企業の社長さんなど、こちらが一方的に顔と名前を知っている人も多かった。

 そんな中、一見客として今日の十九時に、人気アイドルの西島マナミが予約を入れてきたのである。


「西島さん、やっぱりこっちに座られるのかな」

「どうでしょう。人目につくのがお嫌なら、カーテン席でしょうけど」


 予約台帳を確認し終えた岳が、ダンスビュー・エリアのテーブルを拭いて回っていると、同僚の(なか)(ばやし)(ゆう)()が声をかけてきた。岳が拭き終えたテーブルに、手早く紙ナプキンや宣伝用フライヤーを補充し、メニューなども整えていってくれる。入店は彼女の方が一ヶ月だけ早いが、ほぼ同期と言えるタイミングだし勤務シフトも大体重なっているので、このあたりはもはや阿吽の呼吸だ。さっぱりした性格の結子は二十七歳の派遣OLで、昼は化粧品ブランドの美容部員をしているのだとか。「派遣元が副業OKだから」とのことで、趣味である海外旅行の資金を稼ぐために、リベルナでのバイトも始めたのだという。


「けど、十九時にご予約って早くない? オープンと同時だよ」


 美容部員らしく綺麗に描かれた眉をひょいと上げ、結子が同意を求めてくる。


「ですね。やっぱり人が多い時間帯は、避けたいんですかね」

「だとしたら、やっぱカーテン席かな」


 VIPルームの一番奥に位置する二つのテーブル、通称「カーテン席」だけはビロードのカーテンで、パーテーション状に囲うことができるようになっている。言うまでもなく、あまり人目につきたくないVIPのためだ。ただしカーテン内でのアクシデントや、逆に万が一、不埒な行為に及ぶお客さんが出ないよう、テーブル担当スタッフが必ず一名は内側で控える形を取る。


「まあ時間が時間だから、どちらでもご要望にお応えできるし、いつも通り丁寧に接客すれば大丈夫だよ」


 いつの間にか背後にいた高木が、明るく割って入った。今度は粘着ローラーで、床のカーペットをコロコロと丁寧に掃除している。


「あ、はい!」

「私もサービスしたいなあ」

「でも結子ちゃん、忘れずに他のご予約も確認しておいてね。いつもの(おか)さんも入ってるし」

「本当ですか? やった! 岡さん、超好きなんですよ! チップ沢山くれるし」


 結子らしい素直なリアクションに、岳は高木と顔を見合わせて苦笑してしまった。

 チップの有無はさておき、今日もしっかり準備して気持ちよくお客様を迎えなければ。




 西島マナミとマネージャーの女性は、予定通りオープンと同時の十九時ちょうどに現われた。


「二階フロント、(おお)()(がわ)です。十九時に五階ご予約の西島マナミ様とお連れ様、チェックイン完了です」


 総支配人の石川に各フロアのチーフ及びサブチーフ、ダンスフロアのDJ、そしてVIPルームスタッフ全員が片耳につけているイヤフォンへ、フロントチーフの大井川(まさ)(よし)から、インカムでの無線連絡が届く。


「アーステーブル島、了解」

「三階海道、了解です」

「同じく三階ジュリアン、了解です」

「四階()()(おか)、了解しました」

「四階ワン、了解っす」

「五階高木、了解です」

「石川、了解。すぐに私もご挨拶に伺わせてもらう」


 各フロアからの返事が次々と飛び交う合間を縫って、岳も黒ワイシャツの襟元にあるピンマイクを口元に寄せ、同様の言葉を囁いた。


「五階蓮山、了解しました」


 テーマパークや大型スポーツ用品店、さらには病院などもそうだが、敷地や館内が広い職場では離れた場所にいるスタッフ同士が、無線やPHSを使って連携を取り合う形が多い。ナイトクラブも例外ではなく、中規模以上の店舗では多くがこうしてインカムを利用しながら、VIPへのきめ細かなサービスや各種館内トラブルに対応するのである。


《あれ、なんか仕事できる人って感じがしますよね。昨夜の岳さんも格好よかったです!》


 芹奈がそんなメッセージを送ってくれたのを思い出し、岳は緩みそうになった頬を慌てて引き締めた。

 半月ほど前、VIP客の一人が館内のどこかにスマートフォンを置き忘れてしまったものの、やはりインカムで全フロアが情報共有、直前に食事したアーステーブルですぐに発見できたという事件があった。

 見つかったスマートフォンは、リフトこと料理用エレベーターで五階へ送ることもできたが、大事を取って芹奈が直接届けてくれた。たまたまだがその際、岳自身が、


「五階蓮山です。先ほどのスマートフォン、一階スタッフの東日下さんが無事、ご本人のお手元まで届けてくれました。ご協力ありがとうございました」


 と、彼女の眼前で素早くインカム報告してみせたのである。


「どうしたの、岳君。なんか嬉しそうだけど」


 顔を上げて受付カウンターの脇に並ぶと、高木がどこかおかしそうにこちらを見ていた。


「いえ! なんでもないです!」

「ひょっとして西島さんのファンとか? じゃあ最初のご案内、任せちゃおうかな」

「え? さすがに最初は、高木さんがご案内するんじゃ――」

「いいのいいの。どうせ俺は、あとで石川さんと一緒に、あらためてご挨拶させてもらうから。それに西島さん、ちょっぴり草食系な男子が好み、とかどっかのインタビューで言ってたし。よし、決定。テーブルへのご案内と館内の諸々の説明は、岳君でいこう」


 人格者の高木だが、時折こうして突拍子もない指示をしてくることがある。しかもそれらは、無茶振り気味ではあるものの、たしかに頑張ればなんとかなるというレベルの仕事ばかりだから困ってしまう。元小学校教諭だからか、少しだけ高いハードルへのチャレンジを通じて、部下が成長していく様を見るのが楽しいのかもしれない。


「いやいやいや!」


 とはいえ、今回はさすがに岳も激しく首を振った。いくらなんでも入店二ヶ月の身には責任が重すぎる。何せ、当代随一の人気アイドルに対する最初のアテンドなのだ。リベルナの第一印象が、岳にかかってくると言っても過言ではない。


「普通、こういうのはチーフが――」


 重ねて辞退しようとした、そのとき。

 VIPを迎えるために開け放たれたガラス扉の向こうで、館内エレベーターの階数表示が動いた。液晶パネルに《4》という数字がほんの数秒だけ灯り、それが《5》に変わった次の瞬間、自動ドアが静かにスライドする。


「いらっしゃいませ」


 反射的に姿勢を正した岳は、気づけば高木や結子たちと声を揃え、笑顔で挨拶していた。

 職業病、恐るべしと胸の内でつぶやいた直後。


「こんばんは。お世話になります」


 涼しげな半袖ワンピースを着た小柄な女性が、自分たち以上の輝く笑みで会釈を返してくれた。いや、顔だけでなく全身が輝いて見える。これが芸能人オーラというものだろうか。 

 本物の西島マナミが、そこにいた。

 西島マナミ。キュートな童顔と親しみやすいキャラクターから、二十数人からなる所属グループ内でも、ファンの数は一、二を争うと言われる大人気アイドル。年齢はたしか、芹奈と同じ二十歳だったはずだ。隣に立つ三十代くらいのパンツスーツの女性が、一緒に来たマネージャーだろう。


「いらっしゃいませ、西島様。お待ちしておりました」


 さすがに慣れた様子で挨拶を重ねた高木は、「じゃあ岳君、ご案内を」と本当に先ほどの言葉通り、接客を岳に丸投げしてきた。しかも、


「では、こちらの蓮山が、お席までご案内させていただきます」


 と、ご丁寧に名字まで伝えてしまう(といっても、胸のネームプレートにしっかり彫られてはいるのだが)。

 もはや逃げようがない。仕方なく岳は、引き攣っていないだろうか、と自分の笑顔に若干の不安を感じながら定番の案内から入った。


「ようこそ、リベルナ東京へ。お荷物や上着など、こちらのクロークでお預かりすることもできますが、よろしいですか?」


 VIPルームには二階フロントとは別のクロークもあるので、特に冬場などはコートを預ける人が多いのである。


「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。トモカさんは?」

「私も大丈夫。ありがとうございます」


 トモカさん、とマナミが呼んだマネージャー女史は、台詞の後半は岳に向かって言いながら微笑んでくれた。マナミのような圧倒的な華やかさこそ感じられないが、こちらも目鼻立ちの整ったかなりの美人だ。


「西島のマネージャーをしております、(あき)()(とも)()と申します。オープン早々からお邪魔してしまい恐縮ですが、どうぞよろしくお願いします」

「い、いえ、こちらこそ」


 切り揃えたボブカットを揺らしての丁寧なお辞儀に、岳もぎくしゃくと礼を返す。高木のひとことによって、ひょっとしたら最初だけでなく、ずっと自分が固定で担当すると思われているのかもしれない。

 美女二人を前に緊張する岳を見て、結子や他のVIPスタッフはと言えば、明らかに笑いを堪えている。もちろん本人としては、それどころではないのだが。


「ええっと、テーブルのご希望などはございますか。真下のダンスフロアが見下ろせるお席と、そうではない普通のテーブル席、あとはカーテンで間仕切りができるタイプのお席と、三種類ございますが」


 なんとか次の説明に移ると、長い睫毛に縁取られた目を輝かせて、マナミがひょいと顔を覗き込んできた。


「あ、吹き抜けになってるってことですか? 素敵! 踊ってる人たちを見ながら、お食事できるんですね!」

「はは、はい。左様でございます」

「じゃあ、そっちにしてもらおうかな」


 近い距離のまま、マナミは無邪気な笑みを浮かべ続けている。のけぞるわけにもいかない岳が、さらに心拍数を高くしていると「でもマナミちゃん、まだオープンしたばっかりよ。ダンスフロアもあんまり人がいないんじゃないかしら」と、マネージャーの智花が冷静に割って入ってくれた。


「あ、そっか」


 頷いて体勢を戻すマナミの傍らで、智花は「すみません」と苦笑するような視線も、一瞬だけこちらに向けてくれる。妹の面倒を見る姉みたいにも見えて、こんな状況ながら、なんだか微笑ましくもある。

 お陰で落ち着きを取り戻せた岳は、通常の営業スマイルとともに自分も頷いてみせた。


「そうですね。今日は平日ですし、お仕事終わりにご飯を済ませてからいらっしゃる方々も多いので、ピークタイムは九時前後といったところでしょうか。ただ、スクリーンにいろいろな映像も映し出されますし、DJがプロジェクションマッピングなどもやってくれるので、何もなくてつまらないというほどではないと思います。他のお客様もまだいらっしゃいませんし、それらを一通りご覧になってから、より落ち着いたお席に移られても大丈夫です」


 以前、別のお客さんに同様の提案をしていた高木の方へと、「大丈夫ですよね?」とすかさず確認のアイコンタクトも送ってみる。回答は「もちろん」という笑顔だった。胸の前で小さくサムアップもしているので、むしろナイスアイデアだったようだ。


「へえ。ならお言葉に甘えて、そうさせてもらおうかしら。……って、私が見てみたいんだけど。マナミちゃん、いい?」

「全然オッケー。第一、智花さんがリベルナを紹介してくれたんじゃない。なんだってお勧めに従いますよ、お姉様」

「はいはい」


 おどけるマナミに、智花はまた苦笑している。やはりアイドルとマネージャーというよりは、仲のいい美人姉妹といった感じである。

 希望に従って、岳はVIPルーム内のガラス窓際、ダンスビュー・エリアへと二人を案内した。


「こちらのエリアが下のダンスフロアをご見学できる、ダンスビュー・エリアとなっております」

「わあ、素敵! あ、この席ならちょうどスクリーンも見やすそう! ね、智花さん?」

「うん。本当に素敵ね。開放感もあるし、ホテルのスカイラウンジみたい」

「じゃあ、ここに座っちゃっていいですか、蓮山さん?」

「え? は、はい、もちろんです! どうぞおきゃ、おかけください!」


 いきなりマナミが名前を呼んできたので、岳はふたたび動揺させられた。噛んでしまった事実に顔から火が出そうな気持ちでいると、またもや智花が助けてくれる。


「馴れ馴れしくてすみません、蓮山さん。この子の癖なんですけど、仕事現場のスタッフさんには、名前を覚えてくれて嬉しい、って言ってくださる方も多いんで、味を占めちゃってるみたいで」

「い、いえ」


 そんなことを言いながら、自分もさっそく名前を呼んでいることに、智花は気づいていないらしい。しっかり者に見えて、意外と天然な部分もある人なのだろうか。

 ともあれこうして、大人気アイドルと美人マネージャーの二人は、五階ダンスビュー・エリアに腰を落ち着けたのだった。

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