初めての依頼
「そうか。頑張れ」
頬を押して突き放して、適当に流す。俺の態度が気に入らないのか、梶原は再びどしどしと近づいてきて大きな声を出した。
「なんでそんな他人事なの!つばちゃんも参加するんだよ!」
「協力するとは言ったけど、参加するとは言ってない」
不服そうな視線を感じる。面倒だ。なだめるように、俺は補足した。
「協力するって言ってるじゃないか。俺だって全く干渉する気がない訳じゃない。ちゃんと力にはなるつもりだ」
「ほんとに?!流石つばちゃーん!」
俺は両手を握られて、はげしく上下に振られた。やめろ。取れる。
梶原は早速パソコンを開いた。このパソコンは科学技術部専用のもので『なんでも屋』のサイトを管理できるらしい。機械に詳しくないから、そのへんのことは不安だが梶原に任せている。
梶原は、マウスとキーボードを操作している。
しかし俺が次に梶原を見た時、好奇心に満ちた目は消えていて、不可思議に満ちた目で画面を見ていた。
梶原から目を離して数秒すると、視界の右端でなにかが動くのが見えた。梶原が俺に手招きををしている。
「なんだ」
「おかしいんだよこれ!」
「機械不良なら管轄外だぞ」
「機械不良なら俺は直せるよ。機械の扱いは得意だからね」
得意げに手に腰を当てた。
へえ。機械扱いが得意とは意外だな。悪いが絶対に音痴だと思っていた。
「じゃあ何だ。恐喝か?差出人不明なのか?」
面倒になって、適当な事を言う。当たると思って言っていないから、梶原の反応にはびっくりした。
「そうなんだよ!」
「は……?」
梶原が教卓をバンッ!と大きく叩いた。梶原は前のめりになった。姿勢が戻ったと思えばパソコンの画面を俺に向けてきた。相川が、少し迷惑そうにこちらを見ているのが視界の端に写った。
「誰からの依頼かわからないんだよ」
初めてみたが、この以来箱は差出人が一番上に書かれ、依頼内容はその下に書かれている。白い背景に薄青色の縁取り。名前と依頼内容はその線に区切られている。
しかしその依頼は、差出人が『???』となっている。入力されていないのだろうか。
「いたずらだろ。次の依頼を待つんだな」
興味本位ですることなんていくらでもある。いきなり学校のサイトに意味のわからないコーナーができたら、悪戯をしたいと思うやつがでてきてもおかしくはない。
俺はパソコンの画面を見るのを止めた。
「でもよく見てよ。依頼内容があまりにもリアルすぎると思わない?」
声と掴まれた腕によって引き止められる。俺は渋々依頼内容の文に目を通した。ここに書かれていたものはこうだ。
『この街に詳しい君たちへ
私の想い人を探してください。お願いします。意味のある高校生活にしたいので、よろしくお願いします。明日の5時に伺います。』
一通り目を通した。なんだコレ。
「抽象的すぎるだろ」




