『王都散策』
さて、本当に困ったぞ………
頼みの綱であった協会で断られてしまった。
半分以上うちのギルドに問題がある訳だが、このままギルドに帰るとアリアに怒られてしまう。言い訳を考えなければ!
とりあえず、街を散歩するか。
街の中央大通りは、約30メーター位道幅があり、外壁正門(南門)から王城正門まで大きなお店が立ち並び、通りの中央には色々な露店があり、盛大に賑わっている。王城正門を中心にして、扇の様に放射線状の道が張り巡らせてある。
移動は楽だが防衛には不向きである。城壁と外壁の二重構造で、緊急時、城壁内に街の人間を全て収容できるスペースと飢えさせない為の大きな貯蔵庫に確保してある。市街地戦を想定した作りとなっている。
とりあえず、今のところ攻め落とされた事はない。
暇だし、特に理由は無いが、南門目指すかな。
時間を潰すには丁度良い。距離にして約1キロ位あるだろうか、人々の活気を感じながら、色々な店を眺める。
なんか楽しそうで羨ましい。
俺なんて、これから説教なのに………
悶々と考えているうち、南門に辿り着く。
久々に来たけど、本当に大きな壁だな。ドラゴンの攻撃にも耐えそうだ!
正門には関所があり、衛兵が20人位でビザの手続きや、検疫など様々な仕事をしていた。
衛兵は、ハイスピードで自分達の役割をこなしていたが、南門が一般人唯一の出入り口である為、半端でない渋滞が起きていた。
これは、改善の余地有りだな………
関係ないけど、地獄の様な職場環境………
今度、王様に会ったら進言しようかな。と考えつつ衛兵に話掛ける。
「お疲れ様。隊長、忙しいようだねー」
「お疲れ様ですっ!って……ロキさんですか!邪魔しないでくださいよっ!」
「邪魔って………気遣っただけなのに」
俺って、何処に行っても迷惑だと思われるのだろうか?
少し悲しくなってきた!
「ねー、ねー、暇じゃないのは分かってるんだけど、話を聞いてくれないかな?」
「わかりました、手短にお願いします」
「衛兵って職業、ブラックだと思うんだ。うちのギルドの冒険者に転職したい人いないかな?」
「…………いないと思いますよ」
「なんで?」
「あんな廃人達に囲まれた生活、想像しただけで背筋が寒くなります」
「みんな優しいよー」
「一般人を怪物の檻に入れるのと同じです」
「扱い酷いなー……」
「いえ、ロキさんのギルドの方々には色々と助けて頂き、大変感謝しておりますが、我々レベルの人間がその環境で生きていくにはハード過ぎます」
ハード過ぎるらしい……………
「仕方ないか………」
「お役に立てず、申し訳ありません」
スカウト失敗………上手くいかないものだな。
ふと、長蛇の列を見ていると100メートル先位で人がパタっと倒れた。
「……なんか遠くの方で人倒れたみたいだから見てきていい?起き上がらないし、列に並んでて死んだんじゃお宅らの責任になるんじゃない?」
「………すいません、お手数ですがお願い致します」
「了解ー」
さて、何が起きたのか見てこよう!
ロキは、門を越えた瞬間に飛び上がる。
驚く人々を無視しながら、100メートル先の目標に辿り着いた。
「どうしたの?大丈夫?」
と話掛けると、少しボロい服を着た女の子が必死な顔で答える
「……お腹が空いて動けません、1週間何も食べられませんでした」
これは、大変だ!この渋滞の影響もあるが、周りに人がいるのだから助けてあげれば良いじゃないか!!可愛そう……
「誰か食べ物か飲み物譲ってくれないかな?」
「………私達も食糧等がギリギリのところです。他人を助けられるほどの余裕がないのです」
うーん………俺が助ければ良いんじゃないか!!
「じゃー、俺がこの娘を助ける」
そう言うと、女の子を脇に抱えて門まで飛び上がって戻る。
「隊長ー、この子、餓死寸前だから、うちで引き取るからピザの発行スルーするねー。後に、うちの職員が来て書類通すからー」……
「まてっ!勝手な事をするなっ!」
と衛兵が騒ぎ始めるが、隊長は普段道理に静かに答える。
「承知しました、宜しくお願い致します」
「隊長ー!」
「………お前らこそ何を考えている。この人が引き取ると言うのだから、何も問題ない。仕事しろ!」
と隊長はいつも通りの仕事に戻る。
「んじゃ、宜しくー」
さて、さっさと連れて行くか。
ロキは、魔法を使いギルドハウスに転移した。
1人ゲットーと心で叫びながら、ウキウキして帰っていく。
その姿を見た人々は、あれって人攫いじゃないのか?と内心思った。




