7話 授業
今日の1限目は、歴史の授業だ。
「じゃあ今日は、これまでにみんなが勉強してきたことの復習をしていくよー。これまでにみんなが習った歴史の中でも『創世記』『対魔王』『世界魔法戦争』について大まかに復習していこうと思いまーす。じゃあまず『創世記』について説明してもらおうかなー。じゃあー、セルネさん!お願いしまーす。」
セルネとは、ガルマの取り巻きの一人で、さっきのもめ事の時も、一緒にシャムスに対して罵倒の言葉を口にしていた。
「はい。『創世記』とは、この世界が神によって作られた頃の伝記です。まだ何も無くいわゆる『無』であったこの世界に神が舞い降り、そして私達が生活しているこの世界を作りました。そしてさらに神は植物や動物を創り出し、その動物が進化して私達人間になったと言われています。」
「そうだねー。しっかり勉強しているねー。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ次に『対魔王』について話してもらおうかなー。じゃあーー、ゴビ君。お願いしまーす!」
ゴビがハッとした表情をして、シャムスに小声でしゃべりかけた。
「俺、試験ほとんど勘で書いて合格したからこんなの言われても説明できる気がしねぇよー。助けてくれシャムス〜。」
全然立たないゴビの様子を見て、エレナが声をかけた。
「ゴビ君早くして下さーい。」
「アイツ貴族のくせにこんな事も分かんないのか?」
「ははっ、名ばかりの貴族ってやつか。」
「おいおい、言ってやるなよ。可哀想だろ。」
そんなゴビの様子を見て、ガルマの取り巻きが次々と悪口をいう。
「はー。今回だけだからな。」
「助かる。」
「俺の声に合わせて喋れ。」
「それじゃバレるんじゃ「大丈夫だ。早くしないとヤバイぞ。」」
全然ゴビが立たないので、シャムスがさいそくする。
(はー。身体の魔素を大気中の魔素に伝わらせてゴビの耳に送るようなイメージで"干渉"。)
「じゃあゴビ君お願いします!」
(そしたら大気中の魔素に伝わらせる魔素に自分の思考を刻んで送る。)
「はっ、はい。」
(『対魔王』と言うのは、この世界に魔王が生まれ、勇者がそれを討伐するまでの物語です。魔王はこの人間界を取り囲む"魔の森"の奥で生まれた言われています。魔王は手下の魔獣や魔族に命令して、かつて存在した小国の人間を次々と殺して行きました。もうどうしようできないかと思われていた時に、神が一人のラベル=アンドレイオスを勇者として指名しました。そして、彼と彼の仲間は多くのの戦いの果てに魔王を討伐し、世界を救いました。)
「簡潔にまとめられていて素晴らしいですね。じゃあ座って下さい。」
「はっ、はい。」
「めっちゃ分かりやすくなかった?」
「もったいぶってただけで、本当はすごく頭がいいのかもねー。」
「さすが貴族。」
ゴビの発表を聞いた後、前とは一転してみんな口々にゴビを褒める言葉を口にした。
(話を聞く前は嫌いだからと悪口を言って、でも頭がよく出世するかもというのを目にして、ゴビにも一応取り入っておこうと思い褒め称えるような言葉を口にする。都合の良い奴らだな。)
「じゃあ次もこのぐらい素晴らしい説明してもらいたいからー、ううんと、シャムス君よろしくねー。」
シャムスがめんどくさいと思いながら立とうとした時一人の男が待ったをかけた。
「先生!こんな『ゼロ』とかいう劣等生に任せなくても、僕ならばもっと良い説明をできます。」
「ガルマさんの言うとうりだな。」
「先生もなんでこんな劣等生なんかに。」
「差別とかはやめなさいって言ったんだけどなー。」
「劣等生が劣等生としての扱いを受けるのは当然の事と思いますが?」
「まあいいや。シャムス君、君の入試の点数を公開してもいい?」
「ダメです。」
「シャムス君の歴史の点数は450点。この年の一位よ。」
「先生、ダメって言いましたよね。」
「そんな、こんな劣等生が僕よりも点数が高いなんて。」
「でも、新入生代表の挨拶はクラウディア様がされていましたよね?」
「シャムス君めんどくさいとか言って辞退しちゃったのよねー。まあそういうことだから、シャムス君よろしくねー。」
「『世界魔法戦争』とは今存在する四大国が争い生じた最初で最後の世界全体で行われた戦争です。クラウディア王国王国とガルマニア王国が手を組み、シュツットブルグ王国と、ダーメホ共和国が手を組み争いました。この戦争での死者は、『対魔王』の時の死者よりもひどく多かったと言われています。さらにこの戦争では、どんどん魔法が使われて、各国も魔法の兵器としての利用のためにどんどん開発を進めて行きました。皮肉なことに、魔法が一番進歩したのはこの戦争中だと言われています。この時各地にあった小国もこの戦争の戦火に巻き込まれ、ほとんどが滅亡しました。この戦争は、クラウディア王国とガルマニア王国が辛うじて勝利しましたが、シュツットブルグ王国が魔法兵器開発を促進するなど、世界に様々な変化をもたらしました。」
そう説明してシャムスは席に座った。
「シャムス君ありがとねー。じゃあもう時間だから、これで授業を終わります。次の授業は魔法実習室5で行います。遅れずに来てくださーい!ありがとうございましたー。」
ご愛読ありがとうございました。
これからは、毎日20時に投稿しようと思います。これからも、よろしくお願いします。