4話 入学式④
(何でここにいるんだ。)
担任として入って来たのはシャムスの姉であるエレナ=ソーサリーだったのだ。
「おい。」
ゴビが話しかけてきた。
「んっ?なんだ?」
「"ソーサリー"ってもしかして。」
「はー。」
(めんどくさい事になった。)
「ああ。俺の姉だ。何をやってるか知らなかったが、まさかここで教師をやっているとは。」
「ははっ。お前も大変だなー。」
ゴビが面白いものをみたというように笑った。そんな事を話しているうちにエレナが話し出した。
「えーっと、じゃあこれから適性属性の測定をするよー。属性について説明できる人いるー?」
「はい。」
一人の男子生徒が手を挙げた。
「じゃあそこの君!ごめんねー。まだ名前を覚えていないのー。」
「僕の名前はガルマ=アルデルフィアです。基本属性には炎、水、土、植物、風、光、闇の七種類あり、その人が使うことのできる属性を適性属性といいます。そして、その属性の中でも、光属性と闇属性は珍しく重宝されます。同様に適性属性が多い人ほど重宝されます。逆に、適性属性がゼロの人は攻撃魔法もできなく、いじめや迫害の対象となります。」
最後に少し頬を吊り上げ彼は言った。
「よく勉強してるねー。でも、属性ゼロの人はいじめや迫害の対象ではないよー。そこは間違えないようにねー。」
「はい。」
少し落胆した様な表情で彼は答えた。
「適性属性の測定はこの水晶の形の機械で行うよー。左の水晶から順に炎、水、土、植物、風、光、闇の適性を測る装置になっているんだ!」
前に登場したのは、ミズアラーレと呼ばれる適性属性を測るための装置だ。五十年程まえに『魔法界の革命者』と呼ばれたリヴォル=オリバスによって発明された。この機械には現代でも活用されるかなり高度で画期的なシステムが利用されている。
(こんな高価な装置を平然と出せるとは、流石は第一魔法学園といったところだな。)
「じゃあ今から測っていくから、一番左の列の人から順に前に来てねー。」
左の席の人から順に前へ行って属性を測っている。このペースでは、シャムスの番はまだまだ先になる事だろう。
* * * * *
「シャムス、シャムス!起きろ!」
「むぅー。なんだー?」
「寝ぼけてないで早く起きろ。次はお前の番だぞ!」
「まじか⁉︎」
「ああ。みんなお前のこと見てるぞ。」
ゴビはケラケラ笑いながら言った。
「うるさい。」
「そんな事言ってないで早く行けって。」
「分かったけど、お前、覚えとけよ。」
絶対この仕返しはしてやるとシャムスは心に誓った。そしてシャムスは席を立ち教室の前の方へ向かって行った。
「はいはーい。じゃあ次は"眠ってた"シャムス君の番ね。印象が強すぎて名前覚えちゃったー。」
教室に笑いが巻き起こった。
「もうやめて下さいって。」
「ごめんねー。」
エレナは笑いながら答えた。
(絶対「ごめん」とか思ってないだろこいつ。)
シャムスは虎のように睨みつけた。
「それで、いいの?適性属性の測定なんてしちゃって。」
エレナが声を潜めて話しかけてきた。
「みんなやってるんだからやるしかないだろ。姉さん。」
「はー。まあ決めるのはシャムスだからいいけど、忠告はしたわよ。」
エレナはそこら辺の事情を知っているため気にかけてくれているのだろう。
「分かってる。ありがとう。まあでも、これからどんな事になっても俺は大丈夫だから。」
「分かったわ。じゃあ始めるわよ。」
「ああ。」
測定は炎、水、土、植物、風、光、闇の順で進んでいった。しかし、どの一つも彼の魔力に反応して光ることは無かった。
(分かってても辛いな、この事実は。)
「測定終わったよ。言いづらいんだけど、シャムス君は適性属性なし、つまり属性ゼロです。」
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