2話 入学式②
「まさか生徒会長だったとは。」
会場に入り、シャムスは呟いた。
(魔力のまとい方や雰囲気からこの学校ではかなりの実力者だろうなとは思ったけど、まさかなあ。)
そんな事を思いながら彼は自分の席へ向かった。みんなひだりに詰めているところを見ると、早い者順で座っているようだ。それに従って彼も椅子に腰をかけた。
「ハロー。」
隣の女子が声をかけてきた。
「私はソルネ=フィーリア。んで、隣のこの子が友達のルンルン=アデレア。君の名前は?」
「ちょっと、ソルネちゃん!」
隣のルンルンという女の子はいたって常識的なようだ。名前は変だが。
「ちょっと今私達のこと馬鹿にしてたでしょ!」
「私もそんな気がします!」
(超能力者か!)
そんな事を思いながらシャムスは答えた。
「いやいや。そんなことはないよ。俺はシャムス=ソーサリー、よろしく。」
「よろしくお願いします。」
「よろしくね〜。」
* * * * *
「起立、気をつけ、一同、礼。」
入学式が始まった。
「着席。校長先生のお話です。レオ=オルディオ先生、よろしくお願いします。」
「皆さんこんにちは。今ご紹介に有りました、校長のレオ=オルディオです。皆さん、ご入学おめでとうございます。しかし、皆さんはここに入学したからといって満足してはいけません。皆さんがこれから魔法技師を目指すにしろ、国の魔法部隊入隊を目指すにしろ、これからやりたいことを探すにしろ、ここはその夢へのただの中間地点です。なので、ここに入学したことに満足せずに切磋琢磨して、更に上を目指して下さい。」
「現実的な話をします。ここに入学した新入生の方々の中で、最高を収めることができるのは1割にも満たないでしょう。魔法の世界とは、そういうものです。だからこそ、慢心せずにさらに上のステージへ進んでいって下さい。」
最後に校長はシャムスに目をやった。シャムスは会釈をした。彼ら2人以外の誰も認識できないようなちょっとしたやり取りであった。
「次に在校生代表の挨拶です。テレリア=ファルメスさん、お願いします。」
「はい。」
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。この満開のサクラも、皆さんの入学を祝福しているように思われます。・・・」
素晴らしい挨拶とはこの事を言うのだろう。会場の全ての人々が彼女に見入っていた。それは、シャムスも例外ではなかった。
「ありがとうございました。次に新入生代表挨拶です。新入生代表・・・」
(もうダメだ。)
この時、シャムスの意識は天に旅立った。
* * * * *
「シャムス、シャムス。」
隣のセレネが声を潜めて名前を呼んでいる。
「ん?」
「入学式の最中に何寝てんの!」
「へっ!」
「・・・さんありがとうございました。」
どうやら入学式は終わりに近づいているようだ。
(やっちまった。入学式ぐらいはしっかり起きてようと思ったのに。)
彼は入学式をほとんど寝て過ごしてしまった。
「これで入学式を終わります。起立、気をつけ、一同礼、着席。これから新入生の皆さんには教室へ移動してもらいます。上級生の指示に従って移動を開始して下さい。」
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第3話は、9月27日日曜日の21時に投稿する予定です。今後ともよろしくお願いします。