表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚王子の異世界侵略  作者: 雪境 ユキ
第1章
4/5

最低へと成り下がる王子

では、本編をどうぞ。

《第1章 EP.3》


「よし、まずは敵国の戦力を教えてくれ」

王城の中にある会議部屋というのにオレは数人を招集した。招集したのは、こちらの主力戦力部隊の長達だ。

「はい。敵は、隣国の【デルローゼ】。この国は昔から栄えており………………」

「えぇい、いちいち説明しなくていい。大体把握してある。戦力を教えてくれ」

昨日、徹夜で書斎の本を読み漁ったからな…………あー、眠い……。

「は、はい!…………敵の戦力は、人数だけで言えば多く見積もっても残り一万程でしょう。数だけならこちらの方がまだ優勢です」

「数だけなら……………か」

「はい。敵にはあの『バルロ・ハルト』がいます。彼1人のみで、自国の戦力その約半分が犠牲になりました」

バルロ・ハルト…………こいつをどうにかしなければ勝ち目は無い………か。

「その………ハルトは、どんな武器を使うんだ?」

その武器によって対策を練らなければいけない。戦法も大きく変わるってものだ。

「それが……………見えないのです」

「………………え?見えない?」

オレは困惑した表情で尋ねた。

「はい。何かを使い攻撃はしているようなのですが、その武器が見えなくて……気づくと死んでいるんです」

それは………なんというか………………もう……

「チートじゃねぇか!?は?見えない?勝てる訳ねーじゃん!?ったく、挑もうとしたオレが馬鹿だったよ!はい、この会議は終わり。解散、解散!」

数秒の沈黙が部屋を包む……。

「ん?どうした?聞こえなかったか?解散って言っただろうが」

「…………………お、王子?どう、されたのですか…………?」

「……………うるせぇな。勝てもしない戦いに悩んで時間使ったって無駄なんだよ。お前らも自分の時間に当てろ?人生楽しんだもん勝ちってやつだぜ?」

そう言って、オレは部屋から出た。

あーあ………本当に言っちまった…………。

さて………オレはもうこの件とは無関係だ。遊ぶぞ、遊ぶぞ。



**************************************************************



今日も平和だな。空が青い。小鳥も囀っている。

戦争なんて、無かったんだろう。

あれから、側近達の姿を見ない。多分、オレに呆れてどこかに行ったんだろう。

そんな時だった。

ドタドタと音がして、近づいてきたと思ったら部屋のドアが全開で開かれた。

「お、王子!!大変です!皆さんが………騎士団の皆さんが………っ!!」

興味無いが、一応聞いておいてやるか………。

「皆さんが、この国の全戦力を集結し打倒【デルローゼ】を掲げて先程行ってしまわれました!!どうか、お止めに…………!」

はぁ…………そんな事か。クソどうでもいいな。

「何で止めなきゃいけないんだ。アイツらは、アイツらの好きにすればいいだろ。オレには全く関係な…………」

"パァン"

という乾いた音が室内に響き渡った。

しばらくして、ようやくオレは状況が理解出来た。叩かれたのだ、頬をコイツに。

「…………………は……?お前………………なに、して……?」


「…………最ッ低です!!」


そう言って、彼女は部屋から出ていった。

目には雫が溜まっていた。今にも溢れそうだった。

だが、彼女は耐えた。耐えていた。

こんな奴に涙なんか見せてはならないと、そう思ったんだろう。

オレは弱い。地位を利用してイキっているだけだ。

本当に、オレは弱い。


だから、オレはオレが嫌いだ。




お読み頂きありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ