レアな植物
「うっわジオ見ろよ!薬草の草原がどこまでも続いてる!」
エルはさっき倒した魔獣に片足をのせながら(容赦ないな…)楽しそうに言う。
「ほんとだスゴイね、これだけあればポーション100個でも200個でも作れるよ。」
僕がそう言うといつもエルは
なら今すぐ作れ!と言う。
せっかちなのは彼女の短所の1つだしね。
「じゃあ今すぐ…つ、作ろう!」
ほーらいつもどお…、ん?
「作ろう《・・》?」
まさか、とエルを見つめると
エルは少し恥ずかしそうにしながら
「……実はアタシも1回作ってみたかったんだ、ポーション。」
と小さな声で言った。
うんうんもちろんだよ!
そっか、いつもどうでも良さそうに…だけどずーっと僕のポーション作りを見てたのはそう言うことだったんだ!!!
「うん!作ろう!!簡単だからすぐ覚えられるよ!」
「う、うん…頑張るよ…!」
・°*・°*
「こ、こうか?」
「そうそう…そのあとこっちの薬草を小さくちぎって2・3枚入れて、それから…」
へへ、エルが楽しそうにしてくれててなんだか嬉しい。
というか、思ったより器用だな…男勝りなかんじがするから何となく不器用なイメージだったんだけど…
でもよく考えたらエルの剣ってオリジナル武器なんだよね。
剣を作れるのに不器用なはず無いや。
「ジ、ジオっ…なっなんか変な草混じってるけど、いいのか!?」
ん?どれどれ…
「ってうわぁあああ!?!?こっこれロジルナだよ!!!」
何それって顔してる…
まぁ知らないのも無理ないよね、
結構マニアックな薬草だし。
「これはね、ロジルナって言うすっごい希少な薬草なんだ!!」
僕はロジルナを手にして太陽にかざしてみる。
…本で読んだ通りだ!葉にうっすらと浮かぶ星のマーク…!ほ、本物のロジルナなんだ…!
「普通の薬草の変異種なんだけど、なぜか人工的に栽培することが出来ないから薬草に詳しい人とかは本当に1度でいいから見てみたい!ってレベルなんだよ!」
「そ、そうなんだ…で?なんかすごいチカラとかあるの?」
すごいチカラ?いや、別に無い。
「うーん…まぁ大して何かあるわけじゃないかな…でもこれ1本で薬草600本分の回復力があるからこれを使えば5個くらいハイパーポーションが作れるよ。」
普段ハイパーポーションなんてものは作らない。というか作れない。
普通の薬草でハイパーポーションを作ろうとすると110~120本の薬草が必要になる上に、その100本以上の薬草を煮詰めたり粉にしたり干したり裂いたりちぎったり…こんなの、余程の暇人じゃないと出来ない。
だけどロジルナなら!
葉を5等分くらいに切って普通のポーションに入れるだけでハイパーポーションが作れちゃうんだよ。
「ハ、ハイパーポーション!?これ1本で5個も!?すごいな!」
「よし、早速作るぞー!」
「お、おおーっ!」