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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

お風呂場で起こった怖い話

作者: 花月 餡澄

家庭内に現れる黒い悪魔が嫌いな方は、ブラウザバックを推奨します。

 それは、とある日のお風呂の中のことです。


 私はその日、部活動の本番があって、疲れていた私は歌を歌いながらシャワーを浴びていました。


 疲れた体に当たるシャワーの感覚は非常に心地よく、「あ”~」なんて声も出てしまうほどでした。


 そしてふと顔を上げ、湯船の縁を見ると『それ』はいました。


 私は視力が悪く、近視にプラスで乱視まで入っています。御陰様で幸か不幸か、私はそれを綺麗に視認することが出来ませんでした。


 幸だった理由は私がその場から飛び退かなくて済んだこと。以前私がそれを玄関で見たとき、二階まで逃げてお祖母ちゃんに助けを求めたのは良い思い出です。


 不幸なのは本当にそれがそれであるのかの確認が自分で取れないことです。もし本当にそれであった場合、顔を近づけるなんて事恐ろしくて出来ません。もしそれだった場合、腰を抜かして大怪我する自信が私にはあります。


 そこで私がとった行動は緊急時用呼び出しボタンを刺激しないようにゆっくりと置くことでした。


 遠くからは『ピッピッピッー』という、少し間抜けな音と、家族が急いで風呂場まで走ってくる足音がガラス越しに聞こえてきます。


 すると、すぐにお母さんはやってきました。そして「どうしたのっ!」という緊迫した声と共にガチャリと風呂部のドアを開けました。


 そして私はつい敬語で聞きました。


「あのー、あれは、もしかしてもしかしたら、あれですか……?」


「あっ、あれは……あれですね」


 ついついお母さんも敬語で返し、ゴキジェットの捜索を開始しました。なかなか見つからないらしく、ゴソゴソしている中、遂にあれは動き出しました。


「うひゃあぁっ!?う、うごいた!動いたぁ!」


 私はガタガタ、お母さんはゴソゴソとしている間に、叔母さんが来ました。


 叔母さんはおもむろに履いていたスリッパを手に持ち、浴槽の縁の端っこ、つまりあれが居る場所に無言でスパンといい音を鳴らして潰しました。


 これにはもう、私もお母さんもガクブルです。


 叩かれたことで力を無くしたあれはお湯の中に入り、それをすかさず叔母さんは洗面器で周りの水ごと掬い上げ、お風呂場のゴミ箱の中に入れました。


 そのゴミ箱には水だけ抜けるように穴が開いているのですが、そこから謎の黒い物体が出ています。それが元々のゴミなのか、あれの死骸から出てきた物なのか、私には考えることが出来ません。思考を放棄しました。


 お母さんはようやく見つけたゴキジェットをゴミ箱の中に噴射。


「これでもう大丈夫だよ」


「う、うん……ありがとう」


 しかし、どうも私は一瞬でもあれの入ったお風呂と、洗面器を使う気になれず、シャワーだけ急いで浴びてお風呂場から逃げるように出ました。


 この話の何が怖いかって、あれよりも何よりも、その私が親の敵のように嫌うあれを容赦なくスリッパで、まるで漫画のように潰した叔母さんです。


 私はそれ以降、叔母さんに今までより優しくなりました。


 怖いですからね。

ほんと怖い……ゴキブリまじ怖い……っていう話でした。

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