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二つの愛  作者:
23/26

第二十三話

41

助手席で揺られながら私は現実を受け入れられずにいた。

槇岡はなぐさめるように私の手を握る。

「これでいい。仕方なかったんだ。いつかはやらないといけなかったんだ」

「いいわけないじゃないでしょう! なんでばらすのよ」

「おまえに任せてたらいつまでたっても言えないだろう」

「それは……」

「ずるずる先延ばしにしても無駄だ。どのみちいつかはケリをつける時が来る。とりあえず今は時間を置くんだ」

「でも……」

「莉奈を縛っておくほうがよっぽど悪い。そうじゃないか?」

「……これからどうすればいいの」

莉奈を失いたくない。失えない。

「……この世でたった一人の家族なのよ」

涙がとどめなくあふれた。

血じゃない。血のつながりがじゃない。

求めているのはあの子の……あの子の……


槇岡は大きく息を吐いた。

車を止めて手のひらで私の頬をぬぐう。

「亜矢、苦しいのは分かる。だが自分の幸せを選べ」

私の手をたたいた後でぎゅっと握り締める。

隣に座るたくましい槇岡の姿。もはや槇岡の愛もかけがえない。


私の目の前に手の平を突き出して見せる。

「何かをつかんでるのに、別の何かはつかめない。別のものがほしいなら、今つかんでる手を開け」

「……莉奈のことをあきらめろって?」

「そうは言ってない。自分が一番大切な愛をつかんでおけ」

何かを得たいなら何かを失わないといけないのだろうか。


槇岡は私を抱き寄せた。

「莉奈だけじゃない。おまえにだって自分の人生がある。おまえも不幸になるな」

「ダメよ、無理だわ。ずっと家族だったんだから……」

莉奈を失った世界は考えられない。槇岡の身体をそばに感じながら孤独と寂寥感で涙が止まらない。

「莉奈にはよくしてやる。今は受け入れられなくても時が解決する。莉奈が幸せになれるよう全力でバックアップするから。その時からまたみんなで家族なれる。莉奈を失うなんて思うな」

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