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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

星花女子プロジェクト番外編・短編

めぐるおもい。

作者: しっちぃ

「今日は、一緒に遊んでくれてありがとね、有里紗ちゃん」

「そんなのいいっすよ、あたしだって、楽しかったんですから」

 寮も同じ部屋で、部活も一緒で、なんとなく雰囲気も似てて、友達って枠にもうまく入らないくらい仲良しで。今日だって、一緒に大会を勝ち上がれたお祝いで来てるってだけなのに……、なんでだろう、寮じゃないとこで二人きりってだけで、なんでか分からないけど、変な感じになっちゃうや。

「……でも、やっぱり寒いっすね」

「そうだねぇ、動いてないと凍っちゃいそう」

「もう、志乃先輩、さすがにこれくらいじゃ凍らないっすよー」

「へへっ、そ、そうだねっ」

 そうやって冗談で話が盛り上がっても、季節秋から冬に向かっていく途中で、もう長袖のシャツだけじゃ足りなくなってくる。そんな中で待つ観覧車の長い列の間に、体は冷え切ってしまう。

 もう、夕方だもんね。こんなに寒くなるなら、もうちょっと厚着すればよかったかな。

「あの、……あたしの上着、使います?」

「いいって、それじゃあ有里紗ちゃんが寒くなっちゃうでしょ?」

「でも、先輩だって大会まだあるわけですし……」

「それだったら、有里紗ちゃんだっておんなじでしょ?」

 お互いに譲り合って、……一瞬、頭の中で何かがひらめく。

「それなら、……ちょっといい?」

 そう言って、有里紗ちゃんの体に抱きつく。うちよりもちょっとだけ大きい体は、あったかくて、やわらかい。

「これなら、うちもあったかくなれるや」

「ひゃあっ、し、志乃先輩!?」

 そう言って、慌てた声を出す有里紗ちゃん。かわいいけど、……嫌、だったかな。あったまった体も心も、一瞬で冷えて。

「ご、ごめん、……嫌なら、離すけど」

「そ、その……、嫌じゃないけど、なんか照れちゃうっすから……っ」

「ここ、お外だもんね……、何だかうちまで顔熱くなってきた……」

 何でかな、今まで何ともなかったのに、急に、これが恥ずかしいことみたいに思えてくる。軽いスキンシップだったらよくするし、これだって、それくらいの意味しかないはずなのに。

「ぷはっ……、思ったよりも、熱くなっちゃった」

 有里紗ちゃんの温もりじゃなくて、胸の中にあるドキドキのせい。でも、今までなかったような、体の芯から溶けちゃいそうな感じは、なぜか嫌じゃない。

「あたしもっすよ……、でも、何でかわからないですけど……、嫌なんて、思えないんす」

「てへへ……、うちも、一緒だよ?」

 こんなとこまで一緒だなんて、本当に、うちと有里紗ちゃんは似たもの同士で、……ずっと、一緒にいたくなる。

「あ、……もう、列ちょっと進んじゃってるね」

「うわ、本当ですね……、す、すみませんっ」

 バタバタと、ちょっと進んでしまっていた列にぴったりと付ける。そんな失敗も、二人でなら笑い飛ばせそうで。

 有里紗ちゃんと、一緒にいたいな。できるなら、ずっと――

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても、あたたかく、ほのぼのしながらも、途中少しヒヤッとさせられて、でも最後はまた幸せな気持ちになれるところが、とてもよかったです。女の子っていいなあー、しみじみ。 [気になる点] 番外編…
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