4話・スキルの整理
「スキルの数が多すぎる……」
帰宅後、俺は頭を抱えていた。
これだけの数のスキルがあれば何でも出来るが、ありすぎて全てのスキルを自分が把握出来ていない。
とりあえず、幾つかの種類に分けよう。
俺は自らのステータスを閲覧し、紙にスキルを書き込む。
更に戦闘に使えそうなスキルのみピックアップした。
・【トレース】
・【剣術】【短剣術】【弓術】【大剣術】
・【格闘技術】
・【怪力】【部分強化】【身体強化】
・【鉄壁】【鋼鉄化】【金剛化】
・【跳躍】【回避】【先読み】【俊足】
・【千里眼】【透視】【暗視】
・【魔法・風】【魔法・雷】
・【魔力増量】
余り使えるスキルは無いな。
スキルには当たりハズレがある。
当然だが、ハズレの方が割合的には多い。
今度は戦闘系では無いが使えるスキルをリストアップする。
・【能力看破】
・【錬金術】
・【交渉術】【人心掌握】【カリスマ】
・【道具作成】【アイテム再生】
・【気配察知】【気配察知(魔物)】
・【解体技術】【冒険術】
・【料理】【洗濯術】【整理整頓】
ざっとこんなものだ。
残りのスキルは踊りの才能とか、泳ぎの技術とか、使いどころが限られてたり、そもそも用途不明なモノが殆どなので今回は弾いた。
その内活用するかもしれないので、損は無いだろう。
さてと……これからの方針は先程決めた。
遠慮せずにどんどんスキルをトレースし、強くなる。
その為に……冒険者になろうと思う。
冒険者とは各町に存在する冒険者ギルドに所属する、市民からの依頼を受ける何でも屋みたいな職業だ。
その依頼内容は多岐に渡る。
魔物の討伐や遺跡の探索、時には貴族の護衛と、命を賭ける代わりにどれも高額な報酬を期待出来るものが多い。
その冒険者をサポートするのが、冒険者ギルド。
市民からの依頼を仲介する役割の他、荒くれ者の多いい冒険者を管理するのも仕事である。
また、冒険者は有事の際召集される事もある、これは税金が免除される代償らしい。
その緊急召集の依頼にも報酬が出るので、文句を言う冒険者は少ない。
まあ冒険者は元来血気盛んな連中が殆どなので、魔物の大進行とかなら喜んで戦う。
「ふあ……疲れたし、もう寝るか」
床に転がって眠る。
硬い床だけど、疲れてる時は関係無い。
「……んぐ?」
良い子なら寝静まる深夜。
どうも、家の外が騒がしい。
おかしいな、こんな町外れに人なんていないし。
一応様子を見てみるか。
眠気を振り払って扉を開ける。
するとーー
「ブモオオオオッ!」
「ま、魔物っ⁉︎」
二メートル近くある巨大、茶色の体毛。
豚のような顔をした筋骨隆々の人型魔物。
間違いない、オークだ。
オークは一般人でも知ってる魔物である。
つまりそれ程危険度が高い。
人間の女を攫って繁殖する、というのもあるが、それ以前に純粋に強いのだ。
人間を遥かに超える腕力。
ナマクラじゃ到底斬り裂けない筋肉の鎧。
そして、昼でも夜でも暴れられる体力。
新人冒険者はまず勝てないし、中堅の冒険者でもパーティーを組まないと逆に狩られる恐ろしい怪物。
それがオークという魔物だ。
もし、俺が成人前のままだったら、ここで死を覚悟するか必死で命乞いをしていただろう。
だが、俺は儀式でスキルを得た。
そして昼間の一件でストレスが溜まっている。
丁度良い、新しいスキルの練習台にしてやる!
「かかってこい豚野郎!」
「ブモオオオオ!」
オークの剛腕から繰り出される槍の横薙ぎ。
身を低くしながら避け、素早く股の下を転がりながら通り抜ける。
武器は無い。
奴の槍をトレースしてもいいが、サイズが合わない。
まあ、こんな時もあるだろう。
俺は冷静に思考を整えていく。
まずは、敵の力を分析しよう。
「能力看破!」
オークのステータスを暴く。
名前:オーク
レベル:2
性別:男
年齢:不明
職業:無し
スキル:【怪力】【精力増大】
馬鹿な、魔物もスキルを持っているのか!
そういえば聞いた事がある。
魔物には魔物が信仰する邪神がいると。
もしかしたら、その邪神から授かったのかも。
ちっ、怪力は面倒だな。
多分直撃したら即死だ。
もう一つの方は、うん、スルーしよう。
……使う機会があるか分からないけど、トレースしといた。
「ブモオオオオ! グオモモ!」
「よっと!」
連続で繰り出される突き。
それらを寸前で避け、接近し、衝打を放つ。
が、分厚い筋肉の鎧に阻まれる。
オークが首を捕まえようとしてくるが、跳躍し背後へ回りもう一度衝打を放つ。
今度のはダメージが入ったのか、よろつくオーク。
その隙に魔法の準備を行う。
「風よ、雷よ……敵を穿て、貫け!」
ビュオオオオ!
一陣の風が竜巻のように発生する。
ビリイイイイ!
空から雷が降ってくる。
風と雷。
二つの魔法がオークの巨体に突き刺さる。
これなら、筋肉の鎧は関係無い。
「ブモオオオオ⁉︎」
風の刃で皮膚を切られ、雷で内臓を焼かれるオーク。
巨体が徐々に震え、そして最後には煙を上げながらズシンと倒れた。
ピクピクと痙攣している、まだ生きているようだ。
俺は落ちていた槍を拾い上げる。
狙いは心臓。
せめてもの情けと、怪力で一気に貫いた。
ザシュッ
命を奪う音が、森に響いた。
「はあ、はあ……疲れたけど、勝てたな」
その場で腰を下ろす。
武器無しだと、攻撃力に欠けると思い知った。
次金が溜まったらちゃんとした武器を買おう。
「でも……どうしてこんなところに、オークが?」
オークの生息地はこんな所ではない。
そもそも、魔物が生息していた事に驚いた。
これは冒険者ギルドに報告した方がいい。
もしかしたら……
この町で、何かが起きているのかもしれない。
「ま、どうでもいいか」
とりあえずオークを解体しよう。
こんな時に解体技術スキルが役に立つ。
「よし、と」
持ってきた解体用ナイフで、手早くオークをバラす。
オークは強い魔物だが、その分使える部位が多い。
毛皮、骨、肉、内臓……あと睾丸も。
これらを売れば装備を買えるくらいの金にはなるだろう。
というかやはり、魔物退治は金になるな。
実力さえあれば幾らでも稼げる。
無論、命懸けだが。
もしかしたらそこを含めば、値段相当なのかもしれないが、ひっそりと狩猟で生きていくよりマシだ。
解体したオークを腐らせないよう、魔法で掘った冷たい土の中で保存する。
朝一で買い取って貰えば問題無い。
「ふあ……寝直すか」
俺はもう一度夢の世界に旅立った。
因みに夢の世界の俺は既に英雄として祭り上げられている。
いつか、その夢が現実になるといいなあ。




