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21話・裏の冒険者

 

「見つけた!」

「行く!」


 徐々に人影へ近づく。

 そこには冒険者達が数十人が集められ、全員気絶して横たわっていた。


 彼らの身体にも粘液が付着している。

 つまりスネークスライムに攫われた、という事だ。


「おい、起きろ!」


 抱き上げて安否を確認する。

 死んではいない。

 重傷を負ってる者もいなかった。


 ひとまず安心出来る。


「ラクトューナ、そっちは?」

「……うん、こっちも無事」


 彼女が見ていた人達も同じようだ。

 しかし、どうしてこんな。

 彼等は全員高レベルの冒険者だ。


 それがこんなあっさりやられるなんて。

 確かにスネークスライムは強敵だ。

 けれども、ここまでとは……


「……何が目的なんだ」


 分からない。

 とりあえず倒れてる冒険者達を一列に寝かせる。

 一、二、三……合計十二人も、多いな。

 その中にはさっき攫われたライルもいた。


 フレアは無事だろうか?

 彼女がスネークスライムに襲われるところを想像する。

 ……いや、やめよう。


「スネークスライムは、どうして攫った人達をここへ?」

「食べる、為?」


 捕食の為に冒険者を集めた。

 しかしそれなら、直ぐに食べればいい。

 謎が深まる。


 千里眼で辺りを見回す。

 そして奴を見つけた。

 真っ直ぐこっちへ向かって来ている。


「……くるぞ」

「うん、今度は負けない」


 触手の化物が壁を這いずりながらやってくる。

 多分、あの触手を一本一本使って動いているから、見かけよりも速く動けるのだろう。


「フシュウウウウウ!」


 スネークスライムは怒ったように触手をうねらせる。

 体長も五メートルくらいあるので大きい。

 そんな魔物が襲いかかってきた。


 まず、無数の触手をフェイクデュランダルで斬る。

 切れ端は闇魔法・吸引で直ぐに吸い取り、奴の足元へ接近していく。


 近づく。今だ。

 雷魔法でスネークスライムを痺れさせる。

 物理が駄目なら、電流はどうだ。


 しかし、あっさりと動き出すスネークスライム。

 ならばと闇魔法・重圧を使う。

 この魔法は対象物を重くする。


 自らの重みでスネークスライムは動けなくなる。

 それどころかべちょりと、触手が潰れ始めた。

 雷魔法を追撃で放つ。


 これはいけるか?

 触手の数が減り続けるスネークスライム。

 だが、またも再生し始める。


「させない」


 その瞬間を狙い、ラクトューナが前へ出る。

 再生しようとしてる部位を狙い、斬り刻む。

 目にも留まらぬ速さで細切れになる触手。


 俺は更に【拘束】を発動した。

 奴自身からトレースしたスキル。

 魔力の縄が生成され、奴を縛る。


 これで身動きを封じた。

 だけど……一手足りない。

 スネークスライムを滅ぼす手段が無いのだ。


 拘束もいつかは解ける。

 再生スキルがここまで厄介とは……

 倒す方法が無いか考える。


 その最中。


「ジュウウウウウ!」

「あいつは!」


 もう一体のスネークスライムが現れた。

 紫色ではない、赤色の体表。

 別個体が紛れ込んだか!


「能力看破!」



 名前:レッド・スネークスライム

 レベル:1〜6

 性別:雄

 年齢:不明

 職業:不明

 スキル:【魔法・火】【再生】【捕食】



 レッド・スネークスライム……!

 火魔法を操る亜種個体か。

 とりあえず欲しかった火魔法をトレースする。


 そして直ぐに使う。


「火魔法・焼却!」


 狙いは拘束中のスネークスライム。

 奴の肉体もとい触手が火炎に包まれる。

 いいぞ、そのまま燃え尽きろ。


「ジュウウウウウ!」

「くっ!」


 レッドが同じように火魔法を使ってくる。

 まずい、気絶してる冒険者達が危険だ!


「風魔法・風壁!」


 竜巻の壁を作る。

 これで少しは時間が稼げるはずだ。

 その間に二匹とも倒す!


「はああっ!」


 フェイクデュランダルに炎を灯す。

 帯電剣の応用、帯炎剣。


【跳躍】+【飛翔】


 火炎の剣を携えながら空中を舞う。

 そして、押し当てるようにスネークスライムを斬る!

 焼ける音と斬る音、二つが重なる双曲へ。


「ブシュウウウウッ⁉︎」


 もがき苦しむスネークスライム。

 触手は全て焼け落ちている。

 最期は断末魔と共に、絶命した。


 一方、レッド対ラクトューナ。

 レッドは壁に張り付いたまま、火魔法でラクトューナを焼き殺そうと荒ぶる。


 しかし、当たらない。

 火の球も、火の刃も、火の槍も。

 踊るように避けるラクトューナ。


 彼女は構え、剣術レベル2を発動した。


時空剣術(ウルズダンシング)帝炎(ヴァーミリオン)!」


 光り輝く星々から、炎弾ける火山の如し。

 ラクトューナの周囲を炎が舞う。

 炎と炎、二つの火炎が交わる。


「くっ!」

「ジュウウ!」


 凄まじい熱量が放出される。

 だが、両者譲らない。

 このまま相打ち……否。


 ラクトューナが、焔を纏いながら突撃した。


 彼女の本領は、剣技。

 接近し近づくモノ全てを斬り刻む剣王。

 それが彼女だ。


 剣にも炎を纏わせ、レッドの身体を斬り裂いていく。

 斬る。斬る。斬る。

 たった三度で、レッドの身体は両断されていた。


「これで、終わり」


 一線。

 美しく洗練された動きから繰り出される、最高の一撃。


 バラバラになる触手。

 その全てを燃やし尽くすラクトューナ。

 彼女の、完全勝利だ。


「ふう」

「お疲れ、凄かったな、最後の技」

「うん、キミこそお疲れ」


 互いの勝利を労う。

 しかし、油断は出来ない。

 今のレッド・スネークスライム。


 明らかに、意志を持って戦いに介入してきた。

 これは同じ種族の仲間意識なのか、それともーー


「いやあ凄い、まさかあの二匹を倒すとは」


 ーーそれとも、誰かが操っているか。


 その場合、状況は混沌を極める。

 だから当たって欲しくなかったけど。

 やはり俺の悪い予感は、当たってしまうみたいだ。


「あの二匹はそれなりに強いと自負していたけど、流石剣王だ。そっちの君も、知らないけど強いね」


 若い男だ。

 黒いスーツを着用した、一見普通の青年。

 右手には先端に宝石が付いているステッキを持っており、左手は被っているシルクハットの位置を整えている。


 マジシャンや手品師、遊び人のようにも見える男だが、まあそんな事はあり得ないだろう。


 ニコやかな笑顔の裏に、静かな怒りを感じられる。

 それは俺よりも、ラクトューナや横たわっている冒険者達に注がれていた。


「幹部を倒す秘策として用意したんだけど、仕方ない。また出直すとするか」

「……逃すと思う?」


 ラクトューナが剣を構える。

 俺は能力看破で男のステータスを見た。



 名前:エイター

 レベル:7

 性別:男

 年齢:28

 職業:闇ギルド構成員

 スキル:【転送】【物質透明化】【自己暗示】



「レベル7……それに、闇ギルド構成員だって⁉︎」

「む、あっさりバレてしまったか、面白くない」


 闇ギルド構成員・エイターは杖を器用に回しながら、芝居がかった演技で言う。


「私は闇ギルド所属の裏冒険者エイター。カルマの塔に復讐を誓っている、以後お見知りおきを」


 ニッコリと笑うエイター。

 それは黒く、影のある笑み。

 取り繕った仮面の下に、どんな本心を隠しているのか。


「ああ剣王、さっき君はこう言ったね、逃さないと……ふふ、それは無理な話だ、何故ならーー」


 杖をこちらへ突きつけるエイター。


「君達は、私に絶対、勝てないからだ」

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