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もう夜も遅い時間なのに、玄関のチャイムがなってちょっとびっくりした。
「僕が出るよ」
お父さんはそう言って、玄関に向かった。私と若葉は、なんだろうねといいながらカキフライの残りを食べていた。
玄関で、誰かとお父さんが話をしている。してるというか、話し込んでいる。
「あらあら、お客さんなら中にいれてあげればいいのに。」
お母さんが立ち上がって、玄関に向かった。私と若葉は食事中なので立ち上がらなかった。
少しして人が帰ったらしく、お父さんもお母さんもリビングへ帰ってきた。書類をもって。
そして、温厚なお父さんらしくない表情でそれを見つめていた。
「・・・これを、許すわけには・・・いかないね」
見ると、玩具の企画書みたいだった。加藤が作ったのかな?
「若葉、青葉、この玩具、買いたいと思う?」
お父さんは、いつもは見せてくれない企画書を私たちに見せてくれた。中の玩具は、友達が持ってたらほしいかも、って感じだった。
「友達が持ってたらほしいかな・・・」
「というか、これ持ってないといじめられそう」
私と若葉の答えに、お父さんはそうだね、と相づちをうった。
「ブームは子供たちが作り出す物で、玩具会社が作り出すものじゃないと思うんだよ、僕は。でも、それをわかってくれる人は、とても少ない。うちの会社じゃ、高橋君のプロジェクトチームぐらいじゃないかな。」
でも。高橋さんは敵になった。
「お父さんは、青葉とジャックのような、相棒になれる玩具を作りたいんだ。・・・そうだよ、玩具の相棒だよ!」
お父さんが、自分でいいながらだんだんと興奮していくのがわかる。お父さんの中で、玩具の企画書ができてきているのかもしれない。
「でもたぶん、ワンダー君の方がはやるよ。お姉ちゃんのジャックみたいな、汚いぬいぐるみ、売ったら終わりじゃん」
若葉の言葉に、ジャックが「なんだとー!」と言ったので宥めておいた。今はジャックと若葉が喧嘩している場合じゃない。
「・・・若葉?」
若葉の様子が変だった。こっちを見て、口をあんぐりあけている。
「・・・なんでも、ない。空耳だよ」
空耳?それって、若葉に、ジャックの言葉が聞こえたってこと?
「ごちそうさま!」
若葉は足早に、自分の部屋に戻ってしまった。私とジャックもごちそうさまをして、自分の部屋に戻った。
ジャックが若葉と話せるなら、チームプレイができるかもしれない。




