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お父さんは、あの日からずっと家にいて、何か悩んでいる。会社に入る鍵も、なくしたというか、とられたのかもしれない。わたしにできること・・・それは、お父さんのために情報を集めることだ!
「若葉!作戦会議しよう!」
学校からの帰り道、私は若葉を追い抜きながらそう言った。
若葉は無言でうなずいた。そして私と若葉は、会社の近くの公園に放課後集まった。家にいると、お父さんに聞かれてしまうからだ。
「作戦会議って、今更なに?」
「会社を取り戻すには、どうしたらいいのか。わたしにはわからないの。若葉は頭がいいから。それを考えて!わたしは・・・」
いいながら、木を見上げる。この木は、高橋さんの席の真横の窓につながっている。
高橋さんなら、力になってくれる。こっそりかもしれないけど。
「高橋さんのところに行く!」
若葉は、眼鏡を中指であげながら、言った。
「高橋さんがお父さんの味方して、会社にいれなくなってたら?」
「そしたら、高橋さんの家に行って、一緒に考える!」
私はするすると木を登り始めた。何回も、何十回も、ひょっとしたら何百回も登った木なので、目をつぶっても登れるかもしれない。
高橋さんの席の真横の窓まで登って、窓に手をかけようとしたとき、青い顔の高橋さんに、ブラインドをおろされて。
私は、目の前が真っ白になってしまった。
高橋さんが、内緒だよっていって、窓を開けてくれると信じていた。それか、窓が開いていなくて、高橋さんもお父さんと一緒なんだと思っていた。
どちらもちがった。高橋さんは、お父さんを裏切ったんだ。
「・・・お姉ちゃん?」
若葉が、木の下から怪訝な声で言った。わたしは、登ったときと同じように、するすると降りて、「高橋さんは、敵だった。」と言った。若葉の顔がひきつる。
そして私たちは、暗い顔のまま、二人で家に帰った。




