表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カラスの魔法  作者: 小川春佳
2/19

2

 僕は玩具が嫌いだ。なんで玩具会社の息子になんて生まれてしまったんだろう。僕は世界一不幸だ。

 僕はお姉ちゃんが嫌いだ。お姉ちゃんは青葉と言う。僕の名前は若葉。わかめとか言われてとても腹が立つ。お姉ちゃんが嫌いなわけは、お姉ちゃんが玩具と仲がいいからだ。

 もう小学校の5年生になるのに、まだジャックと名付けた汚いぬいぐるみをいつも離さない。僕はそんなものもう卒業した。ちなみに僕は小学校の3年生だ。僕の方が大人だ。

 お父さんとお母さんは、お姉ちゃんの方が可愛いのかもしれない。だって玩具会社の社長の息子が玩具が嫌いなんていえない。僕は大人だから、家族以外の前では、玩具が好きな振りをする。

 お姉ちゃんはぬいぐるみとしゃべれるんだって。そんなの空想だ。ばかばかしい。そんなこと考えてる時間があったら、明日の宿題をしていたほうがましだ。

 僕は食卓の前に座りながら、まだ帰ってこないお姉ちゃんにいらいらしていた。今日は僕の大好きなカレーなのに。家族みんなそろわないと食べられない。さっきお母さんが公園までお姉ちゃんを迎えに行った。

「ただいまー!」

 ノーテンキですって顔に書いたような表情で、お姉ちゃんが帰ってきた。汚いぬいぐるみを背中にくくりつけている。アホだ。

「ねえ若葉、きょう私カラスと喋ったんだよ!雛を助けたらカラスが喋ってくれたの!」

 お姉ちゃんは頭がおかしい。カラスはカーカーしか言わない。

「そうなんだ。すごいね。僕は今日テストで100点だったよ」

 僕は大人だから、お姉ちゃんの話は聞かないことにしている。そして話を変える。

「おっ!若葉すごいぞ!」

 お父さんが僕のあたまをわしわしと撫でた。この撫でられかたは嫌いだけど、お父さんは唯一僕の理解者だ。

「テストで100点なんか、とったことないよ!若葉すごいね!」

 お姉ちゃんも勉強すればとれるよ。と言いそうになったけど言わなかった。僕は大人だから。でも、「お姉ちゃんも勉強すれば」までは言ってしまった。

「若葉に勉強教わろうかな?代わりに木登りの仕方教えてあげる!」

「いらない」

 思わず即答してしまった。大人げない。でもお姉ちゃんは気にしてないみたいだった。

「さあさあみんな揃ったことだし、いただきましょう」

 お母さんがお姉ちゃんに手を洗わせて、ぬいぐるみもおろさせて、テーブルについた。

「いただきます」

 家族みんなで言って、頭を下げる。これは恒例の行事。これをしないとご飯が食べれないからする。

 頭を下げたことでずれた度のきつい眼鏡を、僕は服の裾で無言で拭いた。こんな眼鏡をしていたら、木登りなんてできる訳ないんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ