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カラスの魔法  作者: 小川春佳
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 胸がどきどきしている。僕は今日初めて、玩具の言葉を聞いた。お姉ちゃんが、話せるって言って聞かない汚いぬいぐるみ、そう、僕はいままであいつのことをジャックとは呼ばなかった。僕にとってあいつは、汚いぬいぐるみだったから。

 初めて、ジャックって言ったとき、ジャックは「なんだとー!」と言った。確かに言った。

 耳で聞いたんじゃない、僕の心に確かにジャックの声が届いた。

 お姉ちゃんが、ジャックを宥めているのも見えた。お姉ちゃんは、こうやって本当に、玩具と話してるんだ。

 僕は、たまらなくなって今まで買ってもらったけれど、しまいっぱなしにしていた玩具を出した。

 ロボット玩具は、「おやおや、あっしもそろそろ年貢の納め時かね」と言った。

「どういう意味?」

 僕が聞くと、ロボット玩具はびっくりした顔をして「ぼっちゃん、いよいよ玩具は卒業だって、あっしを捨てにきたんじゃないのかい?」といった。

「僕は・・・僕は君を捨てないよ。買ってから何年も経つけど・・・それまでさわらなかったけど・・・ごめん。」

 ロボット玩具はうれしそうな顔をして、「それなら」と言った。

「それなら、あっしに名前をつけてくだせぇ。どんな名前でも、あっしは文句言いません」

 僕は、ロボット玩具を抱きしめながら言った。

「君は、ロボ。僕の、相棒!」

 ロボット玩具・・・ロボは、「そのまんまじゃねぇですかい」といいながらも、それ以上文句は言わなかった。

 僕は、物心ついてからたぶん初めて、玩具と一緒に寝た。初めての僕の相棒と、一緒に寝た。

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