表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メグミのぼうけん  作者: すとろべる
4/7

メグミ いえをでる

メグミは、お城へ行くことを決心(けっしん)しました。


「ダメじゃ、メグミ…!お前は、まだ子どもじゃろ。お前ひとりで、この森をこえてお城へ行くなんて無理じゃ!!」


お父さんはメグミがひとりでお城へ行くことに大反対(だいはんたい)のようです。


お父さんが反対するのも無理はありません、だってメグミはひとりで家の庭より外へ出たことは一度もないからです。


というか、お父さんがメグミをひとりだけで家の庭からでることを禁止(きんし)してるからです。


「お父さん、僕はもう14歳だよ!まだ、大人じゃないけど…小さな子どもでもないよ!!ひとりでだって、森をこえてお城へ行けるよ!!」


「ダメじゃ!いつも、わしが言っとるじゃろ、森の中には(おそ)ろしい動物がたくさんいるんじゃ…!西(にし)の山には、()いしん(ぼう)で、(あら)くれもののクマがおるのはお前も知っとるじゃろ?やつは数年前に、うちで育てているミツバチたちが(あつ)めたハチミツを(ぬす)むためにやってきて庭で大暴(おおあば)れしたじゃろ!わしがクマが(きら)う薬草を(いぶ)して()(はら)わなかったら、この家は、めちゃめちゃに破壊(はかい)されていたじゃろう!もし、お前がある日、森の中でひとりでやつに出会ったらどうなる?やつの(するど)(つめ)の生えた大きな(てのひら)で、ぶたれたら!お前のかわいい顔は一瞬(いっしゅん)でズタズタになってしまうじゃろ…!!」


「クマは、今の時期(じき)は山の奥のねぐらにこもって冬眠(とうみん)してるよ!」


「むむぅ~!そうじゃったな…。じゃあ!東の谷に住むフユオオカミはどうじゃ?やつらは、冬眠せんぞ!!やつらは、普通(ふつう)のオオカミの何倍(なんばい)も大きな体をしているんじゃぞ!お前みたいなチビはフユオオカミの大きな口で一飲みで食べられてしまうぞ!!」


「たしかに、フユオオカミは冬眠しないけど…フユオオカミは大人(おとな)しい動物で人間を(おそ)わないって、お父さん言ってたじゃん!」


「あぁ、たしかに昔のフユオオカミは人間を襲わなかったが…。最近は、人間を襲うようになったのじゃ…!わしがカゼをこじらせる前に、最後に城下町へ薬草を売りに行った時に、情報通(じょうほうつう)商人(しょうにん)に聞いたのじゃ…東の谷に行った狩人(かりうど)が何人もフユオオカミに食い(ころ)されたと!!」


お父さんは、恐ろしさで布団の中でぶるぶるとふるえだしました。


お父さんがこんなに怖がるのはめずしいので、メグミもちょっと怖くなってしまいました…。


けれど、家の薪はあと2、3日分しか残っていないません。

このまま、家で冬が終わるのを待っていたら二人とも凍え死んでしまいます。


「…お父さん、大丈夫だよ。ちょっと、遠回(とおまわ)りになるけど、フユオオカミの縄張(なわば)りの東の谷を通らずにお城まで行けばいいんだよ!僕だって、お父さんと一緒に城下町までの長い道のりを何回も歩いて行ってる間に、すごく足が(はや)くなったんだよ!遠回りするぶん、早く走って行けば丸1日とちょっとでお城まで行けるよ。」


メグミの決心は、にぶることはありませんでした。



お父さんも、メグミの強い決意(けつい)(かた)さには(かな)わないらしく…メグミがお城へひとりで行くことを許すことにしました。


メグミは、森をこえてお城へ行くための準備(じゅんび)をはじめました。


お父さんは、メグミに冬の森を冒険(ぼうけん)する時に気をつけることや、必要(ひつよう)道具(どうぐ)

を教えてくれました。


☆以下は、お父さんに教えられてメグミが用意したもの☆


地図(ちず)

 森の中とお城までの道のりが大まかに書いてある。


・よく切れるナイフ

 いろいろな用途(ようと)に使える。


・お裁縫(さいほう)道具(どんな布でも()うことができる(はり)(いと)

 極寒(ごっかん)の冬の森をぬけて行く途中で、防寒着(ぼうかんぎ)(やぶ)れてしまった時などに(つくろ)うため。


・100種類の薬草と薬

 これは、城下町の人々にあげるためのもの。お父さんがカゼをひいてから城下町に薬草を売りに行っていないため、みんな薬草や薬がなくて困っていると思うから。


・食べ物

 ハチミツ(1(びん)

 干し肉

 干した果物(くだもの)、木の実


☆以上☆



メグミは道具を全て、いつも使っているリュックに入れようとしましたが、荷物(にもつ)が多すぎて入りきりません…。


「お父さん、こんなに持って行けないよー。」


「それなら、この『なんでもの入る不思議(ふしぎ)なポケット』に入れて持って行くのじゃ!」


「『なんでも入る不思議なポケット』!?」


お父さんは、半月(はんげつ)の形をした白い1枚のポケットをメグミにあげました。


不思議なことに、その小さなポケットの中に全ての荷物がすっぽりと入りきってしまいました!


「すごーい!本当に全部はいっちゃったー!しかも、ポケットの重さも大きさも荷物を入れる前とちっとも変わらないよ!」


「すごいじゃろぉ~?すごいじゃろぉ~?中のものを取り出したいときは、取り出したいものを頭に思い浮かべながらポケットに手を入れるだけで取り出すことができるのじゃ!」

お父さんは得意げに言いました。


メグミは、この不思議なポケットを上着(うわぎ)のおなかのあたりに縫い付けました。


「よし、荷物はこれで大丈夫だね!あとは、着るものだけだ…。」


メグミは、極寒の冬の森の中で凍え死なないように、動きやすいしっかりとした服を着こみ、最後にいつもお父さんと一緒に城下町へ行くときに着ている大きなマントを身に(まと)いました。


このマントは、メグミの頭のてっぺんから足の先まですっぽりとおおうほどの大きく、とても丈夫(じょうぶ)な布でできていて、冬の冷たい北風を通しません。


「これで、準備万端(じゅんびばんたん)だね!それじゃあ、お父さん、行ってきます!」


「待て!メグミ!!お前、一番大事なものをわすれとるじゃろーーー!?」


「えっ?」


「金のカギじゃ!!これがなけりゃ、お城に行っても無意味(むいみ)じゃーーーーー!!」


「ああっ!いっけない、うっかり忘れてたよー…。てへへ…。」







 









 


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ