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メグミのぼうけん  作者: すとろべる
3/7

メグミ けっしんする

「お父さん、このカギは?」


メグミは、暖炉の中から(ひろ)ったカギをお父さんに手渡(てわた)しました。


そのカギは、黄金(おうごん)の色をしていて、太陽(たいよう)の光のようにキラキラと輝いていました。


「わしも初めて見るカギじゃ…。おお…!これは、(きん)でできておるぞ…!金は金でも、これはかなり上等(じょうとう)なやつじゃ…きっと、この小さなカギ1本で、豪邸(ごうてい)()てられるぞ!」


「そんなすごい高価(こうか)なカギがどうして、家にあるの?」


「さぁ?わしにもわからん…。こんな上等な金を持てるのは、大貴族(だいきぞく)王族(おうぞく)クラスの人間じゃろうなぁ…。ん?…このカギ、なにか小さな文字(もじ)()ってあるぞ!あぁ…だめじゃ、小さすぎて()めん。メグミ、わしの(むし)メガネを持ってきておくれ。」


メグミは(いそ)いで、虫メガネを持ってきて、お父さんに渡しました。


メグミから受け取った虫メガネでお父さんは、黙々(もくもく)とカギに彫られた小さな文字を読み始めました。


「ふむふむ…。おおーーっ!なるほどぉ…。」


「お父さん、なにが書いてあるのー!?早く教えてよ!!」


「おぉ、すまん…。メグミ、このカギはわしらの100年前のご先祖様が、わしらのために残してくれたものみたいじゃ!」


「100年前のご先祖様って、その年の夏の王女様の病気を治した人だよね?」


「そうじゃ!このカギには、わしらのご先祖様からのメッセージが書かれておる。」


カギに彫られた文章(ぶんしょう)は、かなり(ふる)くて(なにせ、100年前の人が使っていた言葉ですから)(むずか)しい言葉(ことば)で書かれていたので、お父さんはメグミにもわかりやすいように、簡単な言葉に(やく)して言いました。


以下(いか)、カギに彫られていた文章(メグミのお父さん訳)


未来(みらい)を生きるわが子孫(しそん)

 この金のカギは、お城の地下(ちか)にある、私(ご先祖様)が調合したどんな病気でも治す万能薬を(おさ)めている金庫(きんこ)のカギである。万能薬は国民全員(100年前当時(とうじ)人口(じんこう))にあたえるだけの(りょう)がある。

 その金庫は、国王様が国一番の職人(しょくにん)に作らせたもので、この金庫に収められたものは、永遠(えいえん)()ちることはない。金庫は、とても頑丈(がんじょう)にできており、たとえゾウ100(とう)()まれても壊れることはない。金庫を開けることができるのは、この唯一無二(ゆいいつむに)の金のカギだけだ。

 どうしても治せない(やまい)におかされたものを救う時だけにこのカギを使って金庫を開けなさい。』


以上(いじょう)



「じゃあ、お城の地下に行けば万能薬があるんだね!」


「そうじゃ!…こうしては、おれん!メグミ、留守(るす)(たの)むぞ。わしは、お城へ行って、このカギで金庫を開けて万能薬を手に入れ、今年の冬の王女様のご病気を治しに…ゴホッ、ゴホォッ!!」


突然、お父さんが(くる)しそうに(せき)ごみながら、その場に崩れるように座りこみました。


お父さんのカゼは、メグミが思っていた以上に症状(しょうじょう)が重いようです…。


メグミは、お父さんの(かた)を支えてあげながらベッドへおくりました。


「お父さん、そんな(よわ)った体で、お城へ行くなんて無理(むり)だよ。」


メグミたちの家からお城までは、歩いて丸1日以上かかるほど遠く(はな)れているのです。


しかも、外は吹雪(ふぶき)()っていました。


重いカゼをこじらせた、年寄りのお父さんは、お城へ行きつく前にきっと命をおとしてしまうでしょう…。


「ゴホッ、ゴホッ…でも、このカギをお城に届けなければ…!ゴホォッ、ゴホッ…!冬の王女様のご病気が治らなければ…この、冬はいつまで待っても、終わらないのじゃ…ゴホッゴホッ…!!」


弱々(よわよわ)しくベッドから起き上がろうとするお父さんをメグミは、優しく制止(せいし)しました。


「お父さん、僕がお城へ行くよ。お城へ行って、この金のカギで万能薬を手に入れて…冬の王女様のご病気を治して…この冬を終わらせて、この国に春を訪れさせるよ!!」





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