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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔王談、メイド著 【 勇者さまの殺し方 】@vs最下級魔法で神話級魔法の威力を再現出来るチート野郎

作者: ぷにぷに黒饅頭

 魔王城に務めているメイドさんは準備を欠かさない。

 何時いかなる時も対勇者の方策を考え、魔王さまに上申しなければならないのだ。

 だから今日もイメージ・トレーニングをするのである。勇者さまが何時来ても対処できるように。

 それが魔王城勤務のメイドが求める理想のメイド姿なのである。だが――


「浮かばない! 正統派勇者さまばっかりで、亜種系勇者さまの対策が浮かばない!」


 何でどいつもこいつも規格外の魔力持ちで、最下級魔法で神話級魔法の威力を再現出来るんだ!

 こんなの幾ら魔王さまでも倒せっこないじゃないか! チートだ、チート!! ズルい!!


「何を喚いているのだ。メイドよ」


 そんな風に一頻り喚いた所で、通路の奥から魔王さまがひょっこり現れた。

 二本の角に真っ黒フェイス。見た感じのビジュアルが些か適当だが、この御方こそ魔王と呼ばれるに相応しい実力と冷酷さを兼ね備えていらっしゃる、魔王の中の魔王さまである。


「魔王さまっ、申し訳ございません。勇者さまを倒す方法が思いつかないのです!」


「ふっ……その程度の事で悩んでいたのか。良い。どのような勇者なのか、私に話してみるが良い」


「おぉっ……」


 不甲斐ないメイドを叱責するどころか、率先して相談してみろと仰って下さる。器の大きい方です。ビジュアルは残念ですけど。


「最下級魔法で神話級の威力を発揮する勇者さまの倒し方ですっ」


「成程、初見殺しの亜種だな。弱い弱いと油断した所で、呆気無くやられてしまうという良くあるパターンだ」


 流石は魔王さま。既に出会ったことがあるような体で話されている。


「で、では対策が?」


「そいつらはやや狭い、漆黒の檻を模した空間魔法にガチガチに閉じ込めた後、海の底に沈めたな」


 ――え? もう、倒したことがあるのですか?


「で、ですが勇者さまは規格外の魔力持ちで……」


「だろうな。で? そんな魔力を狭い檻の中でぶちかましたらどうなる? 十中八九、壮絶な自爆になるであろう。よしんば檻が壊れた所で既に半死、水深ウン千メートルなら海水がそのまま直葬してくれるわ」


 魔王さまはインテリ。メイド覚えました。

 ですがまだまだ不安要素があります。そんな規格外な魔力があるのなら、防御や回復だって出来るはず。


「ぼ、防御とか、回復……されたりしませんかね?」


「なるほど。予め防御膜を作り、それに耐えられる火力で魔法を放つ……その後回復か……ふむ、メイドよ。その着眼点は良い。だが甘いな」


「なっ!?」


 異世界に召喚された勇者は大概がチート持ちだ。神々が何やら力を分け与えまくっているらしい。

 だが、それこそ隙がある証左なのだと魔王さまは仰られました。


「まず初級魔法を使うような勇者は魔法の使い方をそもそも熟知しておらん。神の恩恵に預かったまま、自らの力に自惚れ未研究のままの者も多く、最近では一系統以外の魔法が使えない者すら居る有様だ。無理に檻を壊した所で酸素無く活動できる人間が――さて、どれほど居るであろうな?」


「ですが、それを乗り越えられたら……!?」


「それはそれで、大いなる脅威になるであろうな」


 だが、魔王さまの表情は涼やか……な、気がする。ビジュアルが残念すぎて表情がよく解らないけど。


「勇者は幸運にも生き残ったとしよう。だが先に言ったとおり、油断怠慢が骨身に染みている連中だ。一瞬でパニックに陥るか、あるいは暴走しフルパワーで力を使うであろう。しかし何故、私が海をわざわざ指定したと思う? そんな海の底で、全力を出したらどうなる?」


「そうなれば当然、海が押し上げられて……まさか、津波がっ!」


「そうだ。勇者とやらが護りたい、あるいは護れと命じられた世界そのものが大津波によって破壊される。なるほど、これは魔王要らずだな。クックック……やはり山の上に創って正解だったようだ」


 この魔王城が絶壁のような山の上に建てられていたのは、そのような理由があったのかとメイドは目から鱗が落ちる想いだった。

 決して勇者が攻めてこないようにとか、倒すのが面倒くさいとか言い出す、ものぐさな魔王さまが居らっしゃったとか、そういう理由ではなかったのだ。 


「さ、流石でございます! 魔王さま!」

「ふっ……止せ。この程度のこと、造作も無きことよ」


 何処まで本気なのかはビジュアルからは想像も出来なかったが、今日も魔王城は平和でした。


なんか漫画とかで数頁で終わるコメディタッチな殺戮劇を脳内展開しています。

人気とか出たらいいなぁ(願望

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