穏やかな恋〜弟は天然タラシ〜【完結】
俺、椎野黒都には十一歳離れた弟がいる。
こんなにも歳が離れているのだから、感覚的には父親のような気分だ。
そんな弟に、急に恋人が出来たらしい。
弟、青葉が通っている高校は男子校だ。……となると、恋人は同性か。
と、思っていたのだが、いざ自宅に帰ってみれば、このような肌を雪肌と言うのかと納得出来るくらいに真っ白で、目はクリクリとした大きな目。
ブラコンな妹達(今日は幸いなことに彼氏の家に泊まりだ)よりも身長は小さく、男子制服を着ていなければ女の子と間違われそうな男の子が、青葉の膝の上に乗せられていた。
弟の恋人だろう彼は、顔を真っ赤にさせている。そりゃそうだろう、顔を向き合うように自分の膝の上に座らせて、青葉は愛しさに満ちたような微笑みを浮かべているのだから。
「あっ、兄さんおかえり。この人がメールで伝えた俺の恋人の頼くん」
と、普段のワンコのような笑顔を向けられて、お兄ちゃんは安心しました。
妹達はどうかはわからないけど、俺は同性同士の恋愛に偏見はないし、この交際を反対するつもりはない。青葉の幸せのためなら、この恋だって応援する。……頼くんも人の良さそうな子だしさ、応援しない訳にはいかないでしょ。
「弟を頼む」
と、そう言い残し、俺はリビングから出ていった。その直前、青葉は……、
「これでもまだ心配? 姉さんや妹のことは気にしなくて良いよ。説得するし。
兄さんが認めてくれたんだし……、俺はもう頼くんのものだよ」
と、そう言う。そんな言葉に俺は……、いつの間に天然タラシに育ったんだろう? と疑問を抱いたのだった。
穏やかな恋の話はとりあえずこれで完結です。ありがとうございました。
次話は、転生ものになる予定です。今まで書いた、二作品よりは長くなると思います。よろしくお願いします。