穏やかな恋1
プロローグです。
俺は椎野青葉、坂野高等学校に通う高校一年生だ。
ちなみに彼女いない歴、生まれた年と同じ。そして……、追い討ちをかけるような情報だが、しかもここは男子校だ。
先ほど友人らが、青春を謳歌するぜッと合コンに行ったようだが、そもそも青春の基準はなんなんだ? だってそうだろう。恋愛、部活、友情……その三つも重要かもしれない、だが! 将来就職するために大学に行く人もいるだろう? それも青春とは呼べないのだろうか。
……そう考えてみると青春とは難しいものなんだな、姉妹揃って、
「「アンタは乙女心をわかってない! これを読んで勉強しなさい!」」
と、そう言われ、少女漫画を大量に読まされるようになった今日この頃。
……うーん。そもそも、ここは男子校だぞ? どう恋愛しろと言うのだ。
現在、スーツ&眼鏡が似合いすぎる男前な優しい兄貴からは、
「妹達のことは鵜呑みにしちゃいけないぞ? 少女漫画のようなことをさらりとやってのける男なんて、なかなか居ないからな」
と、そう兄貴から言われた言葉に一安心し、その言葉を鵜呑みにした俺は、少女漫画を渡して来た時の姉達の必死な顔に恐れを少し抱いていたため、未だに“合コン”とやらに参加出来たことがない。
兄貴も、姉も、妹も美男美女なんだがなぁ〜……。俺だけは平凡顔なんだよね、まあ良いけど。彼らは何かと容姿のせいで色々あったからなぁ、羨ましいとは思わないんだよ。
よし、“青春の基準”について兄貴に聞いてみよう! やっぱり、いつも一番頼りになるのは兄貴だからな〜……と、上機嫌で考えながら帰路を歩き始めた俺を見つめる生徒がいたことに、当本人である俺は全く気がつきもしなかった。