表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/21

先輩と僕【完結】

 あれから先輩はこう話していた、家の事情で学校に来られなかったんだと。

 そう言われて安心した、僕が嫌われて避けられていたんじゃないんだって。

 そう思った瞬間、一瞬で僕の心がポカポカと温かくなったような気がした。

 それから家に帰った後、姉に「幸せそうな顔」とそう言われ、僕はとても恥ずかしくなったけど……、否定はしなかった。


 次の日。

 当たり前のことのように先輩は現れ、僕のことを由衣ちゃんと呼んだ。

 いつもなら恥ずかしくて逃げてしまうけど、今日は進歩したと思う。

「……おはようございます、……先輩」

 と、先輩しか聞こえないような小さな声でそう言った後、僕はすぐ逃げ出した。

 そんな僕の進歩に、先輩がどんな顔をしていたのか僕だけが知らない。


◇◆◇◆◇◆


 いつものように屋上で一人、昼食を摂っていれば後ろから誰かに抱きしめられた。……まあ、僕にこんなことが出来るのは先輩くらいなのだけど。

 こんなことを簡単にやってのけてしまう先輩は苦手だ。僕は家族以外からのスキンシップに慣れていないのだから、ほどほどにして欲しいとそう思いつつ、抵抗は全くしなかった。

 そんな僕に先輩は、

「駄目だよ、由衣ちゃん。そんなに無防備な姿を見せて。抱きしめたのが俺じゃなきゃ、どうしてたの? ちゃんと抵抗するくらいはしなさい」

 と、そう怒られてしまったけど……、僕は躊躇いながらもこう言った。


「敵意がなかったから、先輩だと思った。だから、別に抱きしめられたままでも良いかなってそう思ったから、抵抗しなかった」

 そう言葉にした後、先輩は僕の肩に顔をうずめたまま、しばらく顔を見せようとはしてくれなかった。……その時、先輩がどんな顔をしていたのか、本人じゃない僕にはわからない。



とりあえず、「先輩と僕」は完結です。次の話も現代ものだと思います。

さきほど、“完結”を入れ忘れたのを直しましたので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ