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復讐の華を散らす6

 まだ転入生が来てから、六日だと言うのに桜花先輩は、少し痩せているような気がした。夏休みの過ごし方について話していた、あの時よりも少しだけ痩せているように見えた。

 私が知っている桜花先輩は、風紀に関しての鬼だ。それだけの人だったら、人見知りな七瀬が名前呼びをするまで懐くはずがない。だから、面倒くさがり屋の私が忙しいであろうことは簡単に予想がつく、風紀の仕事を自ら率先して手伝おうとはしない。

 ……まあ、あまりに七瀬が体調が悪そうだったら、そんな状態の親友を放っておくほど私は冷酷な性格をしてないから、生徒会の仕事を“期限つき”を条件に手伝っていたとは思う。

 バイトしているし、“期限なし”に生徒会に入れって言われたら、いくら七瀬の為とは言え、手伝うことは断るけど。……ここの学園に通う大体の生徒のように一応は“貴族”ではないし、次期社長候補でもなかいから……、流石に日和兄さんにおんぶにだっこは気が引けるし、いくら本人にそんなことを気にせず甘えとけって言われてもね。


 今やっているバイトは、趣味も兼ねてるし? 楽しみを奪わないでくれと頼んだもんだから、日和兄さんは渋々と言ったような表情を見せずに、むしろ嬉々とした様子でバイトをさせてくれている。あの人の基準は、私が自らの意志でやっているかどうかだから、大体のことは反対しない。

 唯一、反対したことと言えば警察と言う職業につくことと、日和兄さんの本業を手伝うことくらい。

 警察と言う職業についたことで父さん達は逆恨みされ、暗殺された。

 ……私達が生きているとわかれば、恐らくまた、暗殺を依頼した奴らは暗殺者を雇い、殺しにやってくるだろう……いや、必ず殺しにくるはずだ。

 そういう思いが日和兄さんにはあるから、警察と言う職業につくことだけは反対されてるんだと思う。警察の何処に敵がいるのか、流石のわからないから。

 だから、七瀬にああ頼まれてしまえば確実に、風紀委員会の仕事を手伝うことを反対はしないだろう。

 むしろ、あの人のことだ。弟である私の起こしそうな行動なんて予測済みで、七瀬から話を聞いても、私から聞いても大賛成かもしれないな。


 ああ、申し訳ない。考えることに夢中になりすぎて桜花先輩を放っておいてしまった。そのことを怒ってないだろうかと、恐る恐ると言った様子で彼の表情を良く見てみれば、隈が出来ており、少しどころか結構顔色が真っ青だ。

 当たり前か、荒れた日向学園の生徒を落ち着かせながらも、その生徒についての始末書を書いたり、行事ごとの見回りについての話し合いがあったりと、風紀副委員長がいない中、多忙な仕事を終わらせるためには睡眠時間を削るしかないだろうし、この状態の桜花先輩だと、一日か二日くらいは全く睡眠時間をとっていないのかもしれない。

 桜花先輩を見て改めて思った、生徒会ではなく風紀委員会を“期限つき”だとは言え、手伝うことにした判断は我ながら正しかったかもしれない。

 何よりも、自分を犠牲にしてまでも、この学園の姿を元に戻そうと頑張っている桜花先輩を何故だかはわからない、放っておけないとそう思ってしまった。


 私はものさし一個分まで桜花先輩に近づき、手首を掴んで、自分の懐へと引き寄せてしまう。……あとで怒られてしまうかな、と内心でそう思いながら。

「……少し、休まれてはいかがですか? あまり顔色が良くなさそうですし」

 と、なるべく穏やかで、優しい声であろうと意識しながらそう言えば、何故か素直に私に抱きしめられている桜花先輩の顔は、朱に染まっていた。

 ……何故だろうか? 私はどちらかと言えば平凡顔よりの顔をしている訳で、特に照れる理由はないはずなのだけど。何時だっただろうか、七瀬に携帯電話で話すと別人の声みたいだと言われたことがあるが、それのせいかもしれないと思うことにしたのだった。



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