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悩み相談

作者: 無花果



先生先生聞いてください。

私の悩み。

どうせお暇でしょう。

嫌そうな顔しないでください。

税金もらってるんですし、ちょっとくらいいいじゃあありませんか。

ふふ、なんだかんだ言って、聞いてくれる先生私好きです。

ここじゃ言いにくいので、違う部屋行きません?

えーと、何から話せばいいのかな。

あらためてむきあうと緊張しますね。

自分から悩み持ち出したんですけど。

私のクラスに山田さんいますでしょ?

そのこ、ちょっとういてるんです。

いじめ・・・とまではいいませけど、

少しの行動を笑われたり・・くらいかしら。

先生気づいていらっしゃらなかった?

うそ。

見てみぬふりですよね。

わかってますわ。

私もそうですから。

なにかしたからといって、解決できるわけでもないですし。

自分への風当たりが強くなったら生きにくい。

見ている人が一番悪いだなんてエゴです。

いじめている人が悪くて、とか、

いじめられている人がわるいだ、なんていうのもエゴだと思うんですけど。

あら、先生やめてください。

じゃあ誰が悪いんですかなんて意地悪ですよ。

そんな事を見過ごして解決策を見出せない教師が悪い、って返してしまう私も意地悪でしょうか。

山田さんは決して悪い人ではございません。

小学生までは私も親しくさせていただいておりました。

そう、小学生までは、です。

彼女はなじめなかったのです。

中学と言う、残酷で優しくて自己主義な世界に。

彼女は、純粋で優しい人です。

それ故に、自己を守って他を蹴落とすという世界からはじかれました。

私は弱い人間ですので、

強い人間に逆らうこともできず、

精々波紋を作り、落ち葉を揺らす程度のことしかできない。

救い上げるなんて、できません。

自分が代わりにそこに落とされますから。

先生も分かりますでしょう。

私の気持ち。

そんな嫌そうな顔して、どうしたんです?

自分はそんな人間じゃないと?

そうおっしゃりたいのですか。

くすくす。

私きれいごとってキライです。

綺麗に表面上だけ繕っても意味なんてないのに。

御託を並べてるだけです。

先生、別に繕わなくていいんですよ?

話がそれている?

ああ、すみません。

思わず熱くなってしまいましたわ。

今は山田さんですものね。

この間、授業で、進路について発表しましたでしょう。

そう、谷崎君が、ニートになります発言をしたときです。

そのときにね、山田さんは、私立に行くって言ってました。

パティシエールになりたいんですって。

立派な夢ですよね。

ああ、よく覚えていますとも。

はきはきとした喋りが、今でも耳に残っています。

その後、話したんですよ。

すごい、立派な夢ですね、おかし食べさせてくださいね、なんて、

少しの距離を置いて、愛想笑い浮かべて。

彼女、私の汚い心なんて知らないで、

純粋に笑うんですよ。

御世みよちゃんが、私のお菓子食べておいしいって言ってくれたのが忘れられないんだ。

ちょっと失敗しちゃってたんだけど、それでも笑顔になってくれてうれしかったんだ。

あの子は私のこと、友達だと思ってくれているんでしょうね。

私は大体単純ですから、その言葉に心打たれました。

そうなんです。私って単純なんですよ。

簡単に人を憎み、簡単に好きになります。

八方美人ですよ。

それがわたし。

簡単に言うと、私がんばろうと思うのです。

少しずつでもいいから、距離を戻して生きたいな、って。

ええ、都合がいいなんてことは百も承知。

今までの罪滅ぼし、と呼べるほどでもありませんが・・・。

先生のおっしゃることはごもっとも。

私は先生に悩みの解決求めたわけではありません。

背中を押していただこうと、ワタシのしていることは正しいとおっしゃってほしかったのです。

・・・もう先生は天邪鬼ですね。

ひどいわ。

あなたのやっていることは自己満足です、それは山田さんのためではない、あなたのためにしていることだ、

なんて。

じゃあ、私は何をすればいいの?

・・・?

それでいいってどういうことですか?

ねぇ先生、先生。

教えてください。

それが、先生の勤めでしょう。

ああ、ああ、意地悪な人。

もういいです。
















性格悪い。

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