遺された者達は
掲載日:2012/01/01
命は、尊い。
だが、それはあまりにも、脆い。
あっけなく崩壊し、消えてしまう。
初雪が舞う曇天の下。
「綺麗だね……」
全身を黒衣で包んだ少年が、呟く。
「うん。……すごく、綺麗」
隣には、少女がたたずんでいた。
雪が、黒衣に舞い落ちる。
それはすぐに、溶けて消えてしまった。
「おじいちゃんにも、見せたかったな」
「うん。でも」
少女が、笑う。
儚く脆い、小さな灯火。希望。
「きっと、おじいちゃんも見てるよ。上から『綺麗だなぁ』って」
「うん。きっと、そうだね」
少年も微かに、笑う。
だが、その瞳は暗い。
少女の持つ小さな光では、少年の瞳の底を照らし出す事は、出来ない。
しばらく、黒衣を着た2人はじっと雪を見詰める。
「はい。どーぞ」
差し出されたハンカチ。
少年はそれを、不思議そうに見詰める。
「使うでしょ?」
やっと、その意味に気付いようだった。
少年がハッと目を見開く。
だがすぐに、少女に微笑みかけた。
「ありがとう。鈴香は、優しいな。でも、大丈夫だよ」
少年が、服の袖で目元を拭う。
また、少女に笑いかける。
その瞳の奥は、暗い。底のない暗闇。
「お兄ちゃんも、すごく優しいよ」
「……おじいちゃんも、優しかったね……」
「うん……」
雪は、降り続ける。
少年少女は何を思って、初雪を見詰めるのか。




