好きな休日のカップケーキ
休日はひとりで過ごす。
就職後もわたしは実家住みなのだけれど、普段の休日は平日で家族と休みが重ならない。
学生時代からの友人たちは、ほとんどが地元を離れて都会へ行った。
わたしはもともと、友人に誘われて出かけることが多かった。
そんなわたしだから、休日は家でひとり、何か作ることが多くなった。
わたしは多趣味だ。
そして飽きっぽい。
熱しやすく冷めやすい、というやつだ。
今は高校生の弟と妹が喜ぶから、お菓子作りをしてる。
喜ばれるとつい、作ってしまう。
『男と付き合うときは便利な女にならないように気をつけなよ』と、わたしに言った友人は結構いる。
そんな縁がわたしにあるとは思えないけど、一応覚えてる。
何かを作ってプレゼントするのは今のところ身内にだけだから、いいんじゃないだろうか。
ちゃんと『ありがとう』とか、みんな言ってくれるし――。
そんなことを思いつつ、わたしは紙カップを取り出した。
今はちょうどハロウィンが近く、黒猫やパンプキン、コウモリや十字架のお墓にガイコツといったデザインのものがお店に並んでいる。
好きだ。
オレンジ、紫、黒。
このいかにもハロウィンというカラー。
デザイン。
外国の行事であるハロウィンが日本に浸透したのはこのカラーとデザインのおかげだとわたしは思ってる。
だって、いい。
とにかくいい。
かぼちゃもいい。
かぼちゃの煮物もかぼちゃのグラタンもかぼちゃのお菓子もわたしは全部好きだ。
ハッピーハロウィン!
会社帰りに素敵なハロウィンデザインの紙カップを見つけたから、今日は作るぞー!
食卓のテーブルの上に戦利品を並べる。
正直紙カップは買いすぎた感がある。
「食べ盛りがいるから、まあいっか」
うちは二世帯同居でもある。
祖父母も一緒だ。
祖父母に両親に、わたしが長女。
高校生の弟と妹。
カップケーキは冷蔵庫に入れておけば二日は大丈夫。
さつまいもクリームに紫芋クリームでデコレーションするし、祖父母もひとつは食べてくれるだろう。
「ただいま姉ちゃん! 甘い香り!」
「おかえりなさい食いしん坊くん」
弟が帰って来れば、次は妹、母さんに父さん。呼びに行けば祖父母も腰を上げる。
ただいま、ただいま、おかえりなさい、ありがとう。
ああ、今日もいい休日だった。