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無法者への対抗策  作者: 柿サブレ
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時間停止の対抗策

ここは魔法がある世界。モンスターだって、人間とは違う種族の知的生命体がいる世界。

王都が広がっており、石レンガや木でできた家に住み、薪で暖をとる。

ゲームの世界みたいな、夢みたいな世界。

みんな生まれつき1つ魔法を持っている世界。

そして、この世界に生れ落ちるときに神様から強い能力をもらう人間もいる。



第一話 時間停止の対抗策


古「・・・今回のターゲットですね。」

ふるは双眼鏡を覗きながら言う。

実華「ん?見つけた?」

古の隣にいた実華みかが反応する。彼女も双眼鏡を持っている。

古「黒の髪にツンツンヘアー。悪い目つきに狼女を連れています。間違いないでしょう」

実華「どこ?」

古「定食屋の前です」

実華「ほんとだ。いた。」

古「あの人が神様の言っていた『チート能力者』の『とき 止目小とめお』ですね。」

実華「今回の被害者だね」

余裕そうな実華に対して古は問う。

古「思いついたんですか?『時を止める能力』に対しての作戦。」

実華「そう簡単に思いつくわけないじゃん」

吐き捨てるように笑う実華。目をつぶり、溜息を吐く古。

古「しかも止めた時間の中を自分は自由に動けるとかいう・・・。ふざけてるだろ。」

実華「参ったなぁ」

古「取り合えずターゲットをマークしましょう。動向を探らないと」

ドゥゥゥン

古は空間に穴を空けて双眼鏡を入れる。

実華「私のもお願い」


二人は止目小に近づくために足を進める。

止目小と狼女は定食屋で食事をしているようだ。

実華「パンを2つください。」

止目小の席の隣に座る。

古は聞き耳を立てる。

止目小「なあ、ルナ。金銭に余裕があるからこの街にしばらく滞在しようと思うんだがいいか?」

狼女はルナというらしい。

ルナ「ルナはご主人様のいうことには何でも賛成です!」

止目小「そうか。ありがとな」

ルナ「ルナはご主人様のそばにいられるだけでいいから、許可なんて必要ないですよ!」

古「・・・」

実華がにやけながら真顔の古を見る。

そして小さな声で言う。

実華「実華はご主人様はもっと愛想を良くしたほうがいいと思うなぁ~」

古は鼻で笑って返す。

実華は古の足を踏む。

古「あだだだっ!?ちょっ!?すいませんって・・・」

実華「ほら。目立つよ。」

パンが運ばれてくる。運んできた店員は二人をにらんでいる。

古「・・・すいません。」

古は実華をにらむ。

パンを胃の中に入れながらまた、聞き耳を立てる。

止目小「そろそろ宿を探しに行くか」

ルナ「はい!」

古「つけますよ」

実華「うん」




ー宿屋ー

止目小「3日間分予約したいんだが」

店員「かしこまりました。こちらお部屋番号になります」

止目小「ありがとう」

止目小は部屋に入っていく

実華(103か・・・)

実華「203号室あいてますか?」

店員「空いています」

実華「じゃあそこでお願いします」

店員「かしこまりました」


ー203号室ー

古「3日間のチャンスができましたね」

古は荷物を下ろす

実華「うん。ここで仕留めたいね」

古「・・・一応下に聞こえるかもしれません。続きは夢の中で。」

実華「そうだね」

二人は眠りにつく。


ー夢の中ー

視界が徐々に明るくなる。

ただ、明るくなったところであるものは無だ。

実華「古くん。起きな。」

古「・・・ども。・・・あ」

目の前に人の形をしたものが現れる。

それは徐々に明確になっていく。

神様「どうもー神様でーす。今回の件うまくいきそう?」

古「・・・チッ」

実華「無理難題押し付けといて気楽そうですね。」

神様「我神ぞ?崇めよ?せめて舌打ちはやめて?」

古「敬語で話すだけありがたく思ってほしいですよ。」

神様「怒ってる?なんか怒ってる?」

実華「そりゃぁ、そうですよ。十分な前情報もなしに格上相手を殺せって言われてるんですよ?」

神様「だって!情報持ってるの上の神だもん!集めることのできた情報は全部渡してるもん!あいつら調べようと知ると嫌なカオするし!人間にチート能力渡したお前らの後始末なんだけど!?」

古「もん、とか言うなよ・・・」

実華「それで、新しい情報わかりました?」

神様「そうそう。なんか時間を止めてる間でも薬や強化魔法は継続するらしい。それでもってその間は薬や魔法の効果時間は進まないんだって。」

古・実華「クソ」

神様「それに時間を止めてる間は外部からの攻撃・・・まあ、例えば炎に触れても何も問題ない。エネルギーの伝達も止まるのかな?」

古「尚更なんで動けるんだか」

古は腕を組む

実華「・・・近づいたら返りうちは目に見えてる。かといって時間が止まってる場合はほぼ無敵。トラップも作動しない・・・いや、作動させとく?時間がたつと死んじゃうやつ」

ニヤリと笑う実華に対して古は目を見開く

古・実華「毒!」

実華「薬の効き目が続くなら毒も続くはずだよね」

古「となれば寝てる間に毒を吸わせましょう」

古の声のトーンが上がる

実華「いや、前言撤回。解毒されるのがオチだよ。この町に滞在とか言ってたし冒険者だろうね。毒を治す薬は持ってると考えたほうがいい。菌で行こう。標準的な治し方が確立されてないヤツ」

古「菌・・・どうやって入手します?簡単じゃないでしょう。」

実華「手に入れても人に影響を及ぼすかどうか・・・」

古「死体を使うのはどうですか?菌が発生しやすいし、人から発生するものなら感染する可能性は高いはず。」

神様「両方使っちゃえば?」

実華「あー。いいですね。病気にかかったら治療薬と言って毒を渡そう。」

古「なら治療薬を渡すのは狼女のほうっすね。もしものために直接止目小に見られない方がいいですし。騙しやすそう。」

実華「決定だね。死体から菌を抽出するには・・・いや。腐った死体を部屋においておけばいいのか。古君の魔法で運べばいいし。」

古「・・・、腐った死体を部屋に置いたら多分狼女にばれますね。菌を抽出は僕らにはできませんし。」

実華「良い案だと思ったんだけど・・・解毒させない方向かぁ。」

実華は

古「解毒するには薬が必要です。薬が入ってるであろう鞄を僕の魔法で奪えれば・・・」


古の魔法は空間に穴をあけて物や人を入れることができる。入ったものは特別な空間に送られて、自由に取り出すことができる。一定の容量を超えると古の体に負担がかかり吐いたり倒れたりする。穴は古を中心に半径4m以内かつ、目視可能な場所なら自由に出すことができる。尚1つのみ。

実華「ドゥゥゥンで起きちゃうよ」


そして魔法発動時ドゥゥゥンと音が鳴る。

古「あんまドゥゥゥンって言わないでください。うーん・・・目視できる場所じゃないと穴をだせないからバックの中身だけ取るわけにもいかないし、ダミーの鞄を用意しましょうか」

実華はうなずく。

実華「うん。実行は明日の夜だね。」

神様「じゃああとは頼んだぞ」

実華と古は夢から覚める。


神様「・・・すまんな。二人とも。世界の均衡のために上の奴らの尻ぬぐいを頼む。」




ー現実ー

実華が目を覚ます。

実華「ん・・・んぅ」

実華「はぁ・・・いつまで続くんだろうなぁ」

実華はベッドから出る。

日が昇っている。朝だ。

古も目を覚ます。

実華「ベットと壁のスキマ好きだね。ふふっ」

ベットと壁の隙間に挟まっている古を見て笑う。

古「落ち着きますね。微妙に涼しい。」

実華「そっか」

古「・・・」

実華「・・・」

実華「準備・・・しようか。」

古「ですね。」

今日の夜。人を殺す。

相手が相手だ。

実華と古はこれまで三人のチート能力者を殺している。

そのたびに一度間違えれば返り討ちに合う恐怖を味わっている。

今日。殺されるかもしれない。

古「103号室に止目小と狼女はいません。出かけてますね。」

実華「今のうちに仕込んでおこうか。」

先ずは古が鞄の位置をしっかり補足できるように床に穴をいくつも空ける。

空けると103号室が見える。

古「毒は僕のお手製を使いましょう。」

ドゥゥゥン

古は穴の中に手を突っ込んで毒を取り出す。

実華「強力な毒なんだっけ?精製してるとこ見てたけど得意なの?」

古「得意・・・なんですかね?小さいころから水を蒸留したりしてたので。そうしないと飲めませんでしたから。まあ今は好きかもしれませんね」

実華「私のとこも水汚かったなぁ。隣国だったよね。」

古「そうでしたね。」

二人の顔が曇る。

古「・・・今は止目小を殺すことを考えましょう。」

実華「うん。そうだね。」



幸い鞄は市販のものだったので止目小と同じものが手に入った。

古はその鞄を穴の中に入れる。




ー夜ー

作戦実行の時期を見計らう。

古「鞄の場所わかりましたんで、いつでもいけます」

実華「ベットに入ってから大分たったから、もうやろうか。」

ドゥゥゥン

鞄の下に穴を作り、鞄を回収する。

ドゥゥゥン

鞄があった場所の上の位置に穴を出してダミーの鞄を置く。

ルナ「・・・?」

ルナが目覚める。狼なだけあって物音には敏感なようだ。

ルナ「・・・何の音だろう」

ルナはまた眠りにつく。

少し時間をおいてから床にあけた穴を一つを除いてふさぐ。

そして唯一の穴から毒の霧を流し込む。

古「無臭のはずですが・・・気づくなよ・・・」

この毒霧は空気より重いのでどんどん下にたまる。

実華「よし。これでいいね。」

古「念のために外から観察しましょう。」

実華「うん。」

二人は窓から外に出て離れた場所から103号室を見る。


止目小が苦しみ始める。

止目小「ぐっあっ?」

ルナ「ご主人様!?どうされましたか!?っ・・・ゴホッ!」

止目小「く、苦しい・・・」

細胞が悲鳴を上げる痛みと息ができない苦しさ。

止目小「時間停止!」

止目小を除く時間が止まる。

だが、毒は止目小の体の中にあるので止まらない。

止目小「これは・・・毒!?部屋にまかれているのか!?」

何故か察しの良い止目小はルナを担いで廊下に出る。


古「・・・!止目小が消えた!」

実華「魔法を使ったのかな?」

古「実華さん。行きましょう」

実華「うん」


止目小(部屋からは出たが・・・)

止目小「ガハッ・・・ルナ!毒だ!」

止目小は血を吐き出す

ルナ「ご主人様!ご主人様!っ鞄に解毒薬があるはず!」

ルナはドアを開けて急いで鞄を取り、廊下に戻る。

止目小「ゴフッ・・・ル・・な・・」

ルナ「今・・・解毒薬を・・・」

ルナ「・・・え?なんで?」

鞄を開けると、そこには土が入っていた。

ルナ「は・・・え?」

ルナ「なんで?まって・・・ご主人様!」

止目小「ゴフッ、ガッ・・・じ、時間停止ぃ!」

時間が止まる。だが毒の浸食は止まらない。

止目小(なんで・・・俺がこんなことに・・・)

はいつくばって移動するが、限界が近い。

止目小は時間の停止を解除する。

そしてその場に俯け倒れこむ。

ルナ「そんな・・・ご主人様!」

その時、宿屋の扉が開く。

月明かりが宿屋のロビーに入る。

このタイミングはルナにとっては救世主に見えただろう。

古「どうされましたか?大丈夫ですか?」

実華「人が倒れてるよ!」

だが、やってきたのは死神だ。

ルナ「解毒薬持っていませんか!お願いです!一本でいいんです!お金はいくらでも出します!だから・・・」

古(なんでこの狼女は生きてるんだ?強力な毒のはずなんだけど・・・)

実華「解毒薬?うーん・・・あるにはあるんだけど・・・」

ルナ「お願いします!譲ってもらえませんか!?」

涙をボロボロ流しながら訴えてくるルナを見て実華は口を開く。

実華「その人。もう死んでるよ。」

ルナ「え?いや・・・まだ助かるかも・・・」

古は止目小に近づいて仰向けにし、心臓に手を近づける。

ルナ「嫌・・・嫌だよぉ・・・」

古は首を横に振る。

古「その人についてあげてください。僕はこの方を安全な場所・・・僕らが借りてる203号室に運びますんで。」

ルナ「私も・・・行きます・・・」

実華「落ち着いてからにしようよ。ね?」

実華はルナにハンカチを渡す。

ルナ「ありがとうございます・・」


ー203号室ー

古は止目小をベットの上に置いて、心臓がある部分を確認して背中の下に穴を用意する。

ドゥゥゥン

古「・・・ごめんなさい。」

心臓にナイフを突き立てる。

古(これで確実に死んだな)

血は穴の中に入るので血痕が残らない。

古「ふぅー・・・」

古がふと窓の外を見ると夜空には星が浮かんでる。





次の日

止目小をくるんだ布を抱えたルナと二人が宿屋の前にいた。

実華「私たちはもう行くね。」

ルナ「・・・はい。」

古「・・・」

実華は何か言おうとして、口を閉じた。

ルナは抜け殻みたいだった。

古「それでは。」

実華と古は速足で宿を後にする。

そして、少し離れたところで話し始める。

実華「お疲れ様」

古「お疲れ様です」

実華「慣れないね。悪者じゃない人を殺すのは。」

古「慣れたくないですけどね。」

実華「でも、殺さないと私たちが殺される。」

古「はぁ」

実華「おいしいものでも食べようよ。気晴らしにさ。」

古「甘いもの。甘いものがいいですね。」

実華「決まりだね」

こんな作品読んでもらえて光栄です。

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