僕の意味
電車の中
咳き込む女性
白い目線
しきりに頭を下げる
「良かったらこれ」
ビニールに入った
まっさらなマスクを差し出す男性
「買えなかったんですか?
マスク」
うなづく女性
「ありがとうございます」
やっと言えた感謝の言葉
「オーバーな話」
男性が話し出す
「人生1度は死にたいと
思うと思うんですね。
何かから逃げたい
思うように行かず絶望する
でも行き着くホントの理由って
『僕の生きてる意味ってなんだろう?』
だと思うんです。
今日こうして貴女と出会って
貴女に感謝されて
その事で僕は生きてる意味を
僕という人間の意味を知るんです。
だから貴女に感謝です」
電車のモーター音だけが
響いていた
君は
ピンチの女の子を
カッコよく助ける
少年の気持ちを
忘れたか
*フィクションです。