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Find The Ability  作者: 鈴木翔
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生前のシゴト

時は3020年 僕の名前は黒野タクト。あれは30歳のある日。「新型モコヒウイルス」という爆発的な感染力を持っているウイルスが流行した。


 最初は死亡率0%。そのため最初は危ないとは言われたが、死亡率0%からなかなか変わることは無く警戒心が薄かった。

 だが、ウイルスが確認されてから2ヶ月程経ち世界で初めての死者が発表された。世界は衝撃を受けたが、急速的に死亡率が上がることは無かったので、まだ世界も日本もあまり気には止めていなかった。


 しかしそれからが早かった。

 死亡者が確認されて1ヶ月後に日本での感染者が確認され、その翌週には死者が確認された。そしてモコヒウイルスが確認されてから10ヶ月で死亡率は10%、20%、30%と増えていき、世界での感染者数も1億人を突破した。かなり強力な変異株が発見され、死者が増加。死亡率が45%と死亡率が強く、日本でも死者が1万人を超え世界でもこのウイルスの脅威を意識し始めた。

 そのため政府は次々に対策を打ち出した。マスク着用、外出を控える、などと言った対策も取られロボットで直接家まで配達をするサービス、ロボット宅急便が注目を集めた。どんどん世界の常識が変わっていく。


 そして、世界中で家で仕事をすることが原則になり、うちの会社も同じような対策をとった。

 そしてワクチンの開発を世界連合が検討したため世界中の多くの優秀な研究者が実験を始めようやく復活の目処が立ってきた。といってもワクチン開発にはあと一年掛かりそうだ。


 いつものように朝6:00に起きて顔を洗い、ご飯を作る。今日はリモートでの大事な会議があるため、気合を入れてベーコンエッグを作り適当にきゅうりとキャベツを切ったものとミニトマトを皿に盛り付け、一日分の米を三合炊いて茶碗に盛り食う。

 

 一人分の食器を洗い、乾かす。その間に歯を磨き、髭を剃り上だけスーツを着るそして時間を確認する。

 7:30分ミーティングは8:30なのであと1:00も時間がある。

 在宅になったおかげで少し余裕ができた。

 その時間に朝のジョギングをする。モコヒ太りというモコヒウイルスによる在宅時間が長くなったために運動をせず太るようになってきた。

 朝のジョギングはそれを解消するためのものだ。マスクをしてジャージに着替えランニングシューズを履く。そしていつものようにランニング用のアプリを起動し、距離を4キロメートルにセットし走り出す。

 このジョギングは4キロメートル走るだけの簡単なジョギングだ。

 家から南の方向の交差点に行ってその交差点を渡り道なりに行く。

 ひたすら走って2キロメートル地点にある公園まで行きベンチに座って休憩。5分くらいしたら同じ道をひたすら走って戻る。

 わずか30分のこの運動、3ヶ月くらい前から、晴れの日雨の日風の日と毎日欠かさず行っているおかげで慣れてきたが朝の運動としては少しつらいのが正直なところだ。しかしこれを始めたおかげで近所の人々との会話が増え、登校中の学生とのふれあいも増えた。一部の小学生にはランニングおじさんと呼ばれるようにもなった。近所のおばあちゃんやお母さんたち、僕と同じ在宅ワークになった人達と井戸端会議をして、帰路につく。するとランニング用のアプリが

「4キロメートルになりました」

という通知が鳴り通知が終わる頃に家に着く。


 玄関から風呂に直行、ジャージを脱ぎシャワーを浴びて着替える。大事な会議なので一応スーツを着る。

 8:30まであと10分、飲み物を持ち部屋の端の椅子に座り机においてあるパソコンの電源を入れ、ミーティング用のソフトを立ち上げる。

 5分前にはルームが作られていてそこに入る。おはようと挨拶をし、みんなが入るのを待つ。3分前にはだいたい入り終わり、ミーティングが始まる。

 今日の仕事内容と今月のノルマについて話す。そこで上司が来月の話を始める。

 色々あったが最後にこんな話があった。

「来月に出張の命令が入った」

 皆一斉に騒つく。画面の中でみんな困った顔をしている。部長が続ける。

「ということで、本部の研修を受けていない28歳以上でできれば40歳以下の社員に行ってもらいたい。そこで経験も豊富で一番慣れている黒野君に行ってもらいたい。できるかね?」

 うーん...迷う。適任者は僕だがウイルスの危険を考えると行きたくないし、せめてメリットさえあれば。

「このご時世だし、出張が成功すればボーナスを出そうかと考えている。」

「僕が行きます」

 決まった。部長がメールで資料を送ってくれた。

「これで今日のミーティングは終わりだ。各自ウイルスに気をつけるように!そして黒野くん、頑張ってくれ」

 拍手でこのミーティングは終わった。


 さあ今日の仕事を始めよう。いつもの通りパソコンを開き、プログラムを作る。2、3時間仕事をし、ご飯を食べる。今日の昼は納豆ご飯だ。ご飯が終わると、食器を洗い、服を洗濯をする。洗い終わるまで走る。昼は5キロメートル走る。2キロメートル地点のコンビニで飲み物を買う。そして東の環状線沿いに3キロメートル走り家に着く。ランニングアプリの通知が届いた。そしてシャワーを浴びる。

 またパソコンを開きプログラムを作る。このプログラムは出張先で使う大事なもので取引先の会社の運営に使われるものなので出張するのは俺のほうが双方にとって都合がいいのだろう。そう考えると出張の判断は良かったのかもしれない。

 ただ淡々とプログラムを書き続ける。6時になるとまたミーティングが始まる。今日の成果と新しく決まった予定を話し合い、各自日報を書き終えた人から抜けていく。今日は中華だ。豚肉と野菜と飲み物を買い、帰る。米を炊き回鍋肉を作り食べる。自炊し始めて十年、上手にはなったほうだろうと思う。飯を食べ終え食器を洗う。そしたら風呂に入る。そしてリビングに行く。テーブルにゲーミングPCを置く。


 ゲームの時間だ。いつものように集めッターで人を募集し仕事のストレスを晴らす。種類はもちろんFPS。これが僕の生き甲斐。敵を倒すのが爽快すぎる。僕は所謂上位勢で毎シーズンそれなりの順位を取るほどの廃人だ。今日は女の子が2人釣れたので一緒にゲームをする。

「そいつ激ロー!」

「ナイス!」

「ナイスーもう一人削れちゃったよ」

「そいつ倒した。あっ、ごめん!やられてしまった。でもそいつもロー!」

「やったよ」

「ナイスー!」

 2人とも上手くチャンピオンをたくさん取り順位を上げた。やはりストレスの発散になる。いつのまにか27時。集めッターでやりとりをしたあとベッドに倒れ込む。そのまま深い眠りにつく。この生活を毎日繰り返す。


 そしてついに出張日前日。会社から資料をもらい説明を受け帰宅するついでに買い物をする。そして帰宅。風呂を沸かし、出張の用意をしたら風呂に入る。出てきたら換気扇を回して焼肉の準備をする。米を用意しグラスにワインを注ぎ肉を焼き始める。

「おいしい」

 これの一点張り。米と肉が程よくあいさらに肉とワインもよく合う。全然飽きない。食べ終わると集めッターを弄りながらゲームを始める。もしかしたらこれが最後のゲームになるかもしれないが明日が出張なので長くできない。今日は特に調子が良く連続チャンピオンを取り相当順位を上げた。そして布団に入る。明日のことを考えると早く寝なければならないが不安で眠れない。もし感染したら帰って来れるのか。死んだ場合どうなってしまうのか。もし感染してたらどうしようか。取引先に迷惑がかからないか。いろんなことを心配した。がこれ以上迷ってもつまらないので覚悟を決めて寝た。

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